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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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65/443

65 ルノアを怒らせてはいけない?

二人は手をつないだまま、ラルフの執務室へ向かった。


扉の前で入室の許可を待っていると、中から声がかかった。


「入りなさい。二人とも、体調は大丈夫かな?」


「お義父上、ご配慮ありがとうございました。

ゆっくり食事を取ることができました。二人とも体調は落ち着いています。

ですが、いろいろと問題があるようですね。詳しく聞かせていただけますか?」


クロリナラドが答えると、ラルフは二人に席を勧めた。


「ああ。今後について話しておきたい。魔術協会に関する話もあるので、そこはヴァリーから説明してもらおう。秘匿事項が多いが、ルノアが聞いても問題のない範囲については、あらかじめ許可を得てある」


ラルフは一度言葉を切り、二人を見つめた。


「結論から話そう。カーナリアン王国では、国王が交代することになる。

その前に、今後のことにも関わるお前たちの考えを聞いておきたい」


そして、少し苦笑した。


「先に伝えておくが、お前たちが眠りについてすぐ、私は体調不良と原因不明の魔力暴走を理由に、宰相を辞任した。

実際には、これ以上あの仕事を続けられる状態ではなかったからな」


続いてヴァリアードが、臨時の魔法会議が開かれることなど、現時点で決まっている事項を説明し始めた。


ところが、精霊の使役に関する話が出た途端、ルノアの表情が一変した。


怒りとともに魔力が高まり、室内の空気が重くなる。


「ノア、ゆっくり呼吸しようか」


クロリナラドが優しく声をかけた。


「感情を抑えることも、これから少しずつ学んでいこう。お父様とヴァリアードの顔を見てごらん。二人とも大丈夫かな?」


「あっ……ごめんなさい。迷惑をかけてしまいました」


ルノアは我に返り、申し訳なさそうに頭を下げた。


「続けてください。福ちゃんも、心配をかけてごめんね」


そう言って福ちゃんを優しく撫でると、深呼吸を繰り返し、静かに目を閉じた。


やがて呼吸が落ち着くと、ルノアは穏やかな笑顔で口を開いた。


「タスワンズ湖に狩りをしに来るなんて……。自分が狩られる側にならないと、分からないのかもしれませんね」


その声は柔らかかったが、言葉には明確な怒りが込められていた。


「一度、経験していただいたほうがよろしいのではありませんか? 精霊様を使役した方々には、全員、自分が何をしてきたのかを身をもって知っていただくのです。サライもそう思いませんか?」


ルノアは少し考え、続けた。


「精霊王様にもお伝えいただきたいですけれど……干渉は駄目でしたね。ごめんなさい」


一度言葉を切り、真剣な表情で三人を見渡した。


「どうすれば、二度と同じことをしてはいけないと、世界中の人たちが当たり前のこととして学べるのでしょう? 学ぶ方法があるのなら、きちんと理解していただきたいです」


にっこりと微笑むルノア。


その笑顔とは裏腹に、室内には強大な魔力が満ちていた。


クロリナラドもラルフもヴァリアードも、結界を維持しながら、内心で同じことを考えていた。


――ルノアを怒らせてはいけない。


三人は魔力による圧迫感に耐えながら、そっと息をついた。


やがてクロリナラドが、話題を戻すように口を開いた。


「お義父上は、どうお考えですか?」


「私か?」


ラルフが問い返すと、クロリナラドは頷いた。


「現在の王位継承権を考えれば、お義父上が王位を継ぐのが自然だとは思います。ですが、そのお気持ちがないのであれば、ヨーリアン帝国に協力を求める方法もあるのではないでしょうか」


クロリナラドは、カーナリアン王国の事情を思い返しながら話を続けた。


「本来なら、今の国王ではなく、優秀だった妹君が女王になるはずだったと聞いています。ところが、ヨーリアン帝国の帝王が彼女を運命の番として迎えた。その話は有名ですからね」


「彼女の息子二人も娘も優秀だと聞いています。ヴァリアードは自分と似たところがあるから、苦手なんだろう?」


「おい、余計なことを言うな」


ヴァリアードが眉をひそめると、クロリナラドは気にせず続けた。


「長男はすでに王太子となり、後継者もいる。次男も優秀で、後継者がいるのなら、次男に協力を頼む方法もあるのではないでしょうか」


話を聞いていたヴァリアードが、ふと思い出したように尋ねた。


「確か、その妹君は王位継承権を放棄して嫁いだんだったな。クローとルノアが王位を引き継ぐこともできるのか? 二人はどう考えている?」


「そうだったのか……」


クロリナラドは驚いたように呟き、ルノアに視線を向けた。


「ノアはどう思う?」


「お父様、ヴァリー伯父様。申し訳ありませんが、私はもう社交界で暮らすことを望んでいません」


ルノアは二人に向き直り、はっきりと告げた。


「これからのことは、まだ竜神様にお会いしていないので、今の段階では何とも申し上げられません。

ただ、竜神様のお手伝いだけでも、私には手いっぱいになると思います」


そして、隣に座るクロリナラドを見つめた。


「ラド様も、ひとつ確認させてください。あとから話が違うということは、ありませんよね?」


「ああ。もちろんだ」


クロリナラドは真剣な表情で答えた。


「俺が担っているのは、この世界のスタンピードの監視と管理、それに魔石の調整だ。今は、まだ誰にも引き継げない。この仕事を放置することのほうが、よほど危険だからな」


彼は過去に起きた出来事を思い返した。


「前回の魔石戦争に、天空都市への侵略行為、さらにスタンピードまで重なった。複数の危機が同時に起きれば、世界全体が危険にさらされる。二度とあのような事態を起こさないためにも、俺はこの仕事に集中したい」


クロリナラドは申し訳なさそうにルノアを見つめた。


「すまない。竜皇国の王太子の子供が優秀だから、その子に引き継げるようになるまでは、難しいと考えている」


そして、ルノアの手をそっと握った。


「世界の均衡が崩れれば、ノアの負担が増える。俺が何よりも優先したいのは、ノアを守ることなんだ」


その言葉に、ルノアは握られた手を握り返した。


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