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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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52 クロリナラド殿下の指輪

一人残っていた侍女精霊が、静かに話しはじめた。


「大丈夫です。

遥か昔からの約束を代々守り、私たちの住む地域と自然を大切にしてくださり、ありがとうございます。

命に干渉することはできませんから……エミリア様を見送ることしかできなかったと、皆で話しております。

ルノア様のお気持ちも痛いほど分かっておりますので、大丈夫です。

もしよろしければ、これからも細やかなおやつを置いていただけたら……と、皆で話しております」


そう言って、侍女精霊は少しだけ微笑んだ。


「そうだったんだな。

これからも自然を大切にして、今まで通り領民と一緒に、この土地を守り、引き継いでいこう。

ところで……皆には、君たちが侍女精霊だと分かるのか?」


ラルフがセバスに尋ねた。


「いいえ。

皆様には、普通の侍女としか見えません。

ラルフ様とヴァリアード様には、同じ顔に見えているかと思いますが、他の者には印象が残りにくい精霊魔法で守られております」


それを聞いたヴァリーが、以前から気になっていたことを尋ねた。


「ずっと気になっていたのだが……聞けずにいた。

『命の調整』と言われても、私はクロリナラドの年齢がかなり上だということしか知らない。

その『調整』というのは、具体的にどのくらい長く生きることになるのか……聞いてもいいのか?

人族と竜人族では時間の感覚も違う。

ルノアが、長く生きることを苦痛だと感じる可能性はないのか?」


侍女精霊は、落ち着いた様子で答えた。


「愛し子様は、成人されるまでは人族と同じように成長されます。

十八歳で成人を迎えられますと、そこからはクロリナラド殿下と同じような年の重ね方へと変わっていきます。

それ以降は、ほとんど容姿が変わらなくなり、時間の経過もあまり気にならなくなると聞いております。

実際、人族の方が竜人族の方と番婚をされることも多くございます。

私も長く生きておりますが、長い年月を苦痛だと考えておられる方には、お会いしたことがありません」


侍女精霊は、ふとヴァリアードへ視線を向けた。


「それと……ヴァリアード様は、私にも分かるほど、人族より何倍か長く生きられるお方だと思います。

それにしても……愛し子様とクロリナラド殿下の指輪が、かなり……」


侍女精霊は少し困ったようにヴァリアードを見る。


「ヴァリアード様。

クロリナラド殿下に、何かなさいましたか?」


その言葉に、ヴァリアードが苦笑した。


「……クロー、なんてことを。

まだ根に持ってやがる……」


「ヴァリアード様。ラルフ様のこともございます」


侍女精霊が静かに続ける。


「ラルフ様は、人族としての寿命を全うされるよう、しっかりと定められているようです」


「……ああ。

サバス、不敬な言い方をしてしまってすまない。


私の番はエミリアだった。

身体が弱かったから、腕輪の誓いをさせてもらえなかったんだ。


でも、今は違う。


これからもしっかり人生を生きて、自分にできることをやっていく。

父親としても、ルノアのためにできることをしていきたい。


そして、次にエミリアに会える時には……ちゃんと褒めてもらえるように生きると決めているんだ」


「ラルフ様……そうでしたか……」


侍女精霊が、静かに頭を下げた。


しばらく沈黙したあと、ラルフが口を開いた。


「こんなことを聞くのはどうかと思うんだが……サバスの意見も聞きたい。


私は二年ほどで宰相を辞職しようと考えていた。

だが、サバスが考えるなら……一番良いタイミングはいつだろうか?


ヴァリーはどう思う?」


ラルフは二人を見ながら続けた。


「もちろん、ルノアの意向は一番大事だ。


ただ、結局のところ、私たちの安全や今後の立場がどうなるのかによっても、判断は変わるのではないかと思っている」


ヴァリーも腕輪のことを思いながら答えた。


「確かにな。

ルノアとクロリナラドには番の腕輪がある。

そして、私たちにも二人が作ってくれた指輪がある。

それでも、新しい魔術や誘拐など、今後何も起こらないとは言い切れない。

ルノアが嫁ぐ竜皇国が、今後どう考えているのかも聞いたうえで判断したいところだ。

クローには、『王太子様に会えば、すぐに分かる』と言われたが……正直、まだよく分からないからな」


サバスは少し考えてから、慎重に口を開いた。


「私、サバスが申し上げられる立場ではございませんが……。

一般的な見方をすれば、愛し子様の存在が発表された直後に婚約となれば、どうしても周囲から様々な憶測をされる恐れがございます。

もちろん、それだけが理由とは限りませんが、全くないとも言い切れません。

そして、クロリナラド殿下が最も心配されていることといえば……今となっては、番様の安全ではないでしょうか。

私も、お二人にとって最も安心できる場所を尋ねられたなら、竜皇国王のお近く、とお答えいたします。

竜皇国の魔塔も、安全を確保できる場所の一つでしょう。

ですから、まずは一度、竜皇国へお二人でご訪問されることをお勧めいたします。

実際に竜皇国の方々とお会いになり、これからのことを話し合われたうえで、今後の時期を決められるのがよろしいかと思います」


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