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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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5 ヴァリアード 護りの指輪

母も、とても優秀な魔術師だった。


魔力量も多く、特に浄化と解呪に優れていた。


ただ、生まれつき身体が弱かった。


黒銀の鎖がすべて消えたあと、ヴァリアード様はゆっくりと顔を上げた。


そして目を閉じ、何かを小さな声で呟いている。


しばらくして、ヴァリアード様は目を開けた。


そして、私と父を見て、穏やかな笑顔を向けた。


私は、ゲームの知識をどう伝えるべきか考えながら、口を開いた。


「夢の中に、お母様が出てきたんです。

『この指輪を左手の小指につけて』って……。

他にも何か言われたと思うのですが、思い出せなくて……ごめんなさい。

今日、ヴァリアード様にお会いして、周りにたくさんの黒銀の鎖が見えました。

だから、お母様が何かを知らせたかったのかなって……。

それと、この指輪のことは、昨日お父様からも聞きました。

お母様が、ヴァリアード様とお父様に渡すために、お揃いで用意していたものだそうです」


私は、父が持っていたもう一つの指輪をヴァリアード様に見せた。


ヴァリアード様は、その指輪を見つめると、静かに微笑んだ。


「素晴らしい。さすがエミリアだ。

すべての鎖が解け、術返しまでされた。

私は……自由になれたのだな」


そして、父へ視線を向ける。


「ラルフ殿。左手の小指を出してくれ」


「はい」


父が左手を差し出す。


ヴァリアード様は、そこへ指輪を通した。


「私の魔力を追加しておこう。これで、ラルフ殿を守れる」


すると、父とヴァリアード様の身体が、同じ青白い膜に包まれた。


「そうなると……ルノアにも必要だな」


ヴァリアード様は、今度は私を見た。


「これは、エミリアに渡すつもりで作ったものだ。


私が作った『護りの指輪』だ。


ルノアがつけてもいいだろうか?」


父は大きく頷いた。


「もちろんです」


ヴァリアード様は、私の左手をそっと取ると、小指に指輪を通してくれた。


――これは、本物の『護りの指輪』だ。


魔塔の長が作った、ゲームの中でも超がつくほどのレアアイテム。


私の給料では、ガチャに課金できる金額も限られていた。


ゲームの中では、マリナとしてヴァリアード様を攻略すれば、攻略成功の証として手に入れることができた。


でも、本来の私はヴァリアード様も、父ラルフも攻略対象として見ていなかった。


ただ、ゲームを進めるうえで、この『護りの指輪』があれば、とても楽になる。


「これがあれば……」


そう思いながら、課金できないことを悔しがっていた。


お金さえあれば、と何度思ったことか。


それが今、私の左手にある。


本物の『護りの指輪』が。


私は指輪をじっと見つめた。


指先に伝わる重み。


細部まで施された装飾。


ゲーム画面でしか見たことのなかったものが、今は本当に私の指にはまっている。


嬉しくて、涙が滲んだ。


すると――。


私たち三人の頭上から、青白い光が降り注いだ。


まるで三人とも、指輪から祝福されているかのように、柔らかな光に包まれていく。


今回、私がここへ来た一番の目的は、お母様が遺した指輪をヴァリアード様へ渡すことだった。


そして、できることなら、もう一つ聞きたいことがあった。


私にも、ヴァリアード様と同じように黒銀の鎖を見る力が現れたこと。


そして、王宮でのお茶会で起きたこと。


そのことを、ヴァリアード様に相談したかったのだ。


ヴァリアード様は、私の顔を見つめた。


「私の黒銀の鎖が見えたということは……世界で二人目なのだな」


「はい」


「私は自由の身にはなった。

だが、王家からは、マクアリール公爵家の安全を盾にされている。

当面は、この指輪があれば大丈夫だろう。

だが……王家から婚姻を求められるようなことになれば、かなり難しいな」


ヴァリアード様は、少し考えるように目を伏せた。


「いざとなったら、マクアリール公爵家の領地は隣国のヨーリアン帝国に隣接している。

領地ごと仕える国を変える、という選択をしてもいいのではないか?」


「国替え……ですか?」


「ああ。

ヨーリアン帝国は、技術も魔術も我が国より発展している。

暮らしやすい国だ。

エミリアも、身体が健康であれば留学してみたいと話していた国だからね」


ヴァリアード様は父を見る。


「最悪の場合でも、ラルフ殿の実力があれば、ヨーリアン帝国は喉から手が出るほど欲しがる交渉力の持ち主だろう」


父は苦笑した。


「そこまで評価していただいているとは、知りませんでした」


「世界魔法会議に出ると、ヨーリアン帝国の帝王から必ず言われるのだよ。

『義弟殿とは、もう交流を再開させないのか?』とな」


ヴァリアード様がそう言うと、父は困ったように笑った。


その表情には、長い間離れていた義兄との再会を喜ぶ気持ちと、これから先のことを考える緊張が、同時に浮かんでいた。


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