↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/453

4 母エミリア 解放の指輪

そこからの父の動きは、早かった。

まず父は、義兄であるヴァリアード様を自宅へ招くため、国王へ面会の許可を求める手紙を書いた。


『長い、長い時間がかかりましたが、ようやく妻の思い出の品を整理し始めました。

その中に、義兄であるヴァリアード様にお渡ししたい遺品がございます。

一度だけで構いません。

どうか、マクアリール公爵家へお招きする許可をいただけないでしょうか』


本来、魔塔の長であるヴァリアード様との接触は、誰であっても自由にはできない。


面会するには、国王の許可が必要だった。


一方では、王が魔塔の長を厳重な檻に閉じ込めている、とまで囁かれているほどだった。


父がどのような方法を使ったのかは、私には分からない。


ただ、驚くことに翌週には、国王から正式な許可が下りた。


そして――。


初めてお会いしたヴァリアード様の姿を見た瞬間、私と父は、涙を止めることができなかった。


そこにいたのは、何年も会うことのできなかった、背の高くなったお母様を思わせる人だった。


父は、特にひどかった。


しばらく言葉を失ったあと、震える声で頭を下げる。


「すみません、ヴァリアード様。

なんとも情けないのですが……言葉が出てきません。

ただ……抱きしめさせていただいても、大丈夫でしょうか?

できれば……娘も一緒に、お願いしたいのですが……」


ヴァリアード様は、しばらく父を見つめていた。


そして、ただ一言。


「はい」


そう答えると、父を強く、強く抱きしめてくださった。


私も、その腕の中へ入れてもらった。


「妹は、今も変わらずに愛されているのですね」


ヴァリアード様の声は、少し震えていた。


「あの時は……結婚に反対してしまい、申し訳ありませんでした。

私も、まさかあれが最後になるとは思っていなかった。

今回、手紙をいただけなければ……もう二度と、あなた方に会うことはできなかったでしょう。

妹の結婚を祝福して、結婚式にも出ればよかった……」


ヴァリアード様は、静かに目を伏せた。


「ただ……妹から届いた手紙は、いつも読んでいました。

幸せに暮らしているのだと知って、安心していたんです。

返事も書かず……申し訳ありませんでした」


ヴァリアード様は、妹であるエミリアお母様を、とても大切にしていた。


けれど、いずれ宰相となる父との結婚を受け入れることができず、二人は長い間、疎遠になっていたのだ。


やがてヴァリアード様は、私の顔をじっと見つめた。


「……小さなエミリアだ」


その瞳に、涙が浮かぶ。


「可愛いな……やっぱり……」


そして、優しく微笑んだ。


「はじめまして、ルノア」


「……はい」


「ルノアという名前は……小さい頃、エミリアに聞かれたことがあるんだ。


『お兄ちゃん、もし私に女の子が生まれたら、どんな名前をつける?』って。


だから私は、


『白い花弁に、淡い水色の瞳を持つ、エミリアにそっくりな花がいい。ルノア、という名前はどうだ?』


そう言ったんだ。


そうしたらエミリアが……」


ヴァリアード様は、涙を拭いながら微笑んだ。


「『そうする』って……言ったんだよ」


父も、私も、もう耐えられなかった。


三人で、また泣いてしまった。


そして私は、昨日、父から許可をもらっていたものを取り出した。


ゲームの知識がある私には、それが何なのか分かっている。


母の遺した二つの指輪。


そのうちの一つは、ゲームの中でも入手が難しいレアアイテムだった。


父ラルフも、攻略対象の一人。


けれど、このルートは超難関だった。


何をしても、まったく靡かない。


ネット検索をしても、攻略情報はほとんど見つからない。


それなのに、なぜか一度だけ、ガチャでこのレアアイテムを引き当てた。


そのため、全員攻略を目指していたプレイヤーたちの間では、


『絶対に百点を取らせない先生が、制作側にいる』


と、嘆き節が並んでいたほどだ。


私は、手のひらに乗せた指輪を見つめた。


そして、ヴァリアード様に差し出す。


「これを……お渡ししたいのですが……」


ヴァリアード様は、何も言わずに左手を差し出してくださった。


私は、その左手の小指に、そっと指輪を通した。


レアアイテム――。


『解放の指輪』。


その瞬間だった。


ヴァリアード様の身体を縛りつけていた黒銀の鎖が、音を立てて崩れ始めた。


まるで積み上げられたブロックが、一つずつ外れていくように。


カシャッ――。


カシャ、カシャ……。


黒銀の鎖は次々と砕け、ヴァリアード様の身体から離れていく。


そして、大きな渦を巻きながら、すべて同じ方向へと飛んでいった。


私たちは、ただ呆然と、その光景を見つめていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。