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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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445 新たな生活

 二十名の留学生による、新たな生活が始まった。


 彼らが所属することになったのは、魔力増幅を専門に学ぶ学科だった。


 初日の授業では、一人ひとりが魔力の総量や循環速度、属性ごとの適性などを調べる検査を受けた。その後、教師との面談が行われ、それぞれの目標に合わせた訓練方針が決められていった。


「今の数値だけで、皆さんの能力が決まるわけではありません。自分の得意なことと苦手なことを知り、少しずつ成長していきましょう」


 教師の言葉に、留学生たちは頷いた。


 翌日から始まったのは、魔力の循環訓練だった。


 体内の魔力を一定の流れに保ち、乱れることなく循環させる。単純な訓練に見えたが、少しでも流れが途切れれば、最初からやり直しだった。


「また失敗した……」


 何度目かのやり直しに、一人の男子生徒が疲れたように息を吐いた。


「焦らなくていいですよ。まずは安定させることを意識してください」


 教師に助言され、彼は再び魔力を動かし始めた。


 魔力を長時間維持するには、集中力だけでなく体力も必要になる。そのため、循環訓練と並行して、持久力を高める運動や筋力を鍛える基礎訓練も行われた。


 さらに、別の日には最新式の魔道具が並ぶ実習室で、魔力の測定と分析が行われた。


 装置に手をかざすと、魔力の総量や出力、循環効率などが数値となって表示される。


「魔力の総量は増えているのに、出力が安定していない……」


 自分の測定結果を見つめ、留学生の一人が首を傾げた。


「魔力を引き出すときに、無駄が生じているようですね。次の訓練では、量を増やすことよりも制御の安定を優先しましょう」


 教師は測定結果を確認しながら、具体的な課題を示した。


 別の生徒には循環効率の改善が、また別の生徒には持久力を高める訓練が指示された。


 全員が同じ授業を受けていても、取り組む課題はそれぞれ異なっていた。


「自分に何が足りないのか、ここまではっきりわかるとは思いませんでした」


 留学生の言葉に、近くにいた者たちも頷いた。


 これまで彼らは、魔力の不足や制御の難しさを補助魔道具で補うことが多かった。しかし、この学科では自分自身の能力を高めることが重視されていた。


 魔道具は、測定や分析を通じて自分の状態を知り、効率よく鍛えるために活用するものだった。


 地道な訓練を繰り返すうちに、留学生たちは魔力の制御と身体の鍛錬が密接に関わっていることを理解し始めていた。


 しかし、彼らがリオンブラン王国で学んだのは、魔力の扱い方だけではなかった。


 ある日の実技訓練で、魔力の制御に失敗した留学生が、悔しそうに肩を落としていた。


 それに気づいた犬族の男子生徒が、隣から声をかけた。


「どこで乱れたのか、一緒に確認してみようか?」


「いいのか?」


「もちろん! 僕も最初は何度も失敗したからね」


 犬族の生徒は、魔力の流れを確かめながら、乱れが生じている箇所を丁寧に説明した。


 教えられたとおりにやり直すと、今度は魔力が途切れることなく循環した。


「できた……! ありがとう」


「うん! 次はもっと長く続けられるように頑張ろう」


 嬉しそうに尻尾を振る相手を見て、留学生は思わず笑みを浮かべた。


 これまで彼が身を置いてきた環境では、誰かを助けるにも見返りを求められることが多かった。相手の家柄や立場を考え、将来の利益を見込んで行動する。それが当然だと思っていた。


 けれど、目の前の獣人には、何かを求める様子も、相手より優位に立とうとする気配もなかった。


 ただ、困っている仲間を助け、できるようになったことを一緒に喜んでくれた。


 その後も、留学生たちは獣人の生徒たちと少しずつ親しくなっていった。


 食堂で見慣れない料理を前に迷っていると、猫族の女子生徒が声をかけてきた。


「それ、食べたことがないの?」


「ああ。どんな味なのか、わからなくてな」


「おいしいよ! 私のお気に入りなの。よかったら食べてみて」


 勧められた料理を口にした留学生は、驚いたように目を見開いた。


「これは……うまいな!」


「でしょう? 今度は別の料理も教えてあげるね」


 そんな何気ない交流を重ねるうちに、留学生たちは獣人たちの暮らしにも興味を持つようになった。


 ふわふわとした毛並みや、ぴんと立つ耳、感情に合わせて揺れる尻尾。最初は珍しく感じていた姿も、今では親しみを覚えるものになっていた。


 言葉がうまく伝わらなければ、身振りを交えて教えてくれる。困っていれば、誰かが自然と手を差し伸べてくれる。


 彼らにとって、それは母国ではあまり経験したことのない日常だった。


 魔術学園の授業日程は、彼らが通っていた魔術学院と同じだった。五日間の授業を終えると、三日間の休みがある。


 留学生たちは休日になると、友人たちと王都や周辺の街へ出かけるようになった。


 厳しい訓練に疲れ果てる日もあったが、休みの日には仲間と過ごす時間が待っている。


 いつしか、彼らの会話にも変化が生まれていた。


「次の休みは、みんなで街へ行かないか?」


「いいね。今度は案内してもらった店にも行ってみたい」


「それなら、ほかの店も紹介するよ!」


 楽しそうに話す彼らの表情からは、留学当初の緊張が薄れていた。


 もちろん、授業は厳しく、課題も少なくなかった。それでも、失敗を責めるのではなく、次にできるようになるために助言してくれる教師がいる。困ったときには、手を差し伸べてくれる仲間がいる。


 その安心感は、彼らが想像していた以上に大きなものだった。


 なかには、母国へ戻って再び身分や家柄を気にしながら暮らすよりも、この国で生活を続けたいと考える者まで現れた。


 そして、彼らの心には、もう一つの思いが芽生え始めていた。


 獣人たちは、あまりにも素直で、裏表がない。


 相手を疑うことなく手を差し伸べ、見返りを求めずに親切にしてくれる。


 だからこそ、悪意を持つ者に利用されることがあってはならない。


 自分たちが学び、力をつけ、この優しい獣人たちを守れるようになりたい。


 それは、留学を決めた当初にはなかった、新たな目標だった。


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