43 竜神様の愛し子様のお仕事は?
「私の番の件は秘匿案件だから、詳しくは言えない。
ただ、言葉通り、前回は誓いを交わせなかったんだ。今回が初めての誓いになる。
誓いを交わすと、魔力の多い方の色に変わると言われている。
だから、白銀髪と紫眼の私の色になった。
腕輪の誓いはすでに成立しているから、成人するまでは二週間ほど離れていても大丈夫だ。
精神も、お互いの腕輪によって安定している。
何か聞きたいことがあるなら答える。
遠慮なく質問してくれ。
それと……敬語もやめてほしい。頼む」
ラルフが、まず尋ねた。
「では、ルノアは愛し子様だと聞いたが、その役割とは何なんだ?
危険な役割ではないのか確認しておきたい。
私たちの古傷まで治せるほどの力があるのだから、聖女ではないのか?」
「それは福が答えるよ。
竜神様から許可をもらわないと話せないことだから」
福がそう答えてから、ゆっくりと続けた。
「まず、ルノアは聖女としての仕事もできる。
でも、竜神様はルノアに聖女としての役割を望んでいない。
竜神様がルノアにお願いしたいことは、主に二つだよ。
一つ目は、竜神様のお話を聞いて、それを皆に伝えること。
二つ目は、魔石を作ること。
世界中でスタンピードが起こりそうな場所へ、竜や竜人がルノアの作った魔石を持って行き、スタンピードを鎮めるんだ。
それでも、魔石だけでは抑えられないスタンピードもかなりある。
だから竜神様は、まずスタンピードを抑えるための魔石、そして浄化の力を持つ魔石を作ってほしいとルノアに伝えているよ。
それが、竜神様がルノアに望んでいる仕事だと伝えてほしいって」
福は一度言葉を切り、自分の胸元を指した。
「それから、福は使役獣から守護獣になったけど、こういう例はほとんどないんだ。
他の国では、神獣や聖獣と呼ばれるような存在だと思ってほしい。
それも竜神様から伝えてほしいと言われているよ」
「聖女としての仕事もできると分かった。それでも、危険はないのか?」
今度はヴァリアードが尋ねた。
「一番最初に受けた神託が、全ての基準なんだ。
私がもう話すことのできない契約を、教会内の全員に署名させていた。
その後、公爵家へ来ただろう?
白銀の番の誓いを急いで済ませたのも、ルノアの安全のためだ。
世界で最も魔力の多い私と、私に次ぐ魔力を持つノア。その二人の魔力を込めた魔石の腕輪があれば、もう安心できる。
竜神様が急がせた理由は、それなんだ」
ヴァリアードは静かに頷いた。
「そうか……。いずれルノアは、竜皇国で暮らすんだな」
「できれば、ヴァリアードも、お義父上も、ノアの近くに住んでほしい。
ノアが二人のことを心配するからね。
それに、あの指輪は二人を守るためだけじゃない。
竜皇国で暮らすためにも作ったものなんだ。
竜皇国の王太子にも、ぜひ宰相として来てほしい。
ヴァリアードにも、竜皇国で活躍してほしい。
竜神様がそう言っていたからね」
そう伝えると、クロリナラドはにっこりと笑った。
その笑顔は――どこか黒かった。




