↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
407/451

407 週末の帰省

王城でマイルズとの面談を終えたルノアは、クロリナラドとともにタスワンズ湖にある居城へ向かった。


週末は帰省することができるが、寮生には定められた帰寮時間がある。


そのため、二泊して家族との時間を過ごし、夕方までに学院へ戻る予定になっていた。


タスワンズ湖では、久しぶりにヴァリー伯父様とお父様、そしてラド様と食卓を囲んだ。


穏やかな湖を眺めながら家族と食事をする時間は、ルノアにとって安心できるひとときだった。


食事を終え、しばらく話をしていると、ルノアがふと思い出したように口を開いた。


「お父様。週末に必ず帰る理由が、少し分かった気がします」


「何が分かったのかな?」


「食事のことですよね? 学院の食事は味が薄くて、甘い物がほとんどないので、そこが少しつらいです」


「はは……やっぱりそこか」父は苦笑した。


「学院には本当にたくさんの種族が集まっているからね。獣人の中には草食系の種族も多くて、薄味を好む者もいるんだ」


「だから、食堂に調味料が置いてあるのですね」


「そうだよ。食堂の隅に置いてあるものや、机の中央に置かれているものは自由に使っていい。

果物には、机の上にあるテンサイ糖をかけてもいいんだ」


「そうだったのですね」


「食後に甘い物が欲しくなるのは分かるけれど、種族によっては塩や、糖を制限してる者もいるからね。

食べられない食材もある。勉強したと思うけど忘れないように配慮するんだよ。

だから、果物なら多くの者が食べられるだろうという配慮なんだ」


父は少し考えるようにして続けた。


「学院では、食事一つをとっても学ぶことがあるんだ。相手への配慮や食文化の違い、そして種族ごとの違いを知ることも、その一つだよ」


「料理の味を変えてもいいのですか?」ルノアが尋ねる。


「我が国では、料理人に失礼になるから、出された料理の味を変えないのが一般的だろう?」


「はい」


「でも、他国には、自分の好みに合わせて味を調整し、料理をおいしく食べてもらうことを大切にする文化もある。

だから、まずは確認することだよ。味を変えてはいけない決まりがなければ、自分がおいしく食べられるように調整してもいいんだ」


「なるほど……。文化が違えば、失礼になることも変わるのですね」


「そういうことだよ」


ルノアは納得したように頷いた。


しばらくして、今度はヴァリーアードが口を開いた。


「ところで、魔道具人形のはどうだい? 三体購入することに決めたと聞いたけど」


「はい。ヴァリー伯父様が機能の見直しをされていますが、あと二年で破棄予定だと聞きました。

本当に素晴らしい機能を持っているのに、もったいないと思ったのです」


「ルノアなら気づいてくれると思っていたけど……よく分かったな」


ヴァリーは嬉しそうに笑った。


「本当に、破棄するには惜しいほどの高性能だったんだ。ただ、整備できる者がいなくてな。

だから、ルノアが学院に入学するのに合わせて、使い続けられるように直しておいたんだ。」


「部品と魔力さえあれば永年使えるからな。部品も無くなっても、ルノアなら、その場で作ればいいから購入するというのはいい判断だと思うよ」


「ありがとうございます」


「それに、かなり安く購入できただろう?」


「はい」


「学院には四百体ほどの魔道具人形があって、その半分ほどが毎年売却される。その収入も学院の運営を支えているんだ」


ヴァリーは穏やかに説明を続けた。


「それだけじゃない。

学生時代に発明した特許についても、卒業後十年間は収益の一割を学院に納める契約があるんだ」


「それが、学院を無料で学べる仕組みにつながっているのですね」


「そうだよ。無料というのは、何もないところから生まれるものじゃない。

誰かが学び、発明し、それを次の世代へつなげているんだ」


ヴァリーは少しだけ笑った。


「また誰かが、世界の役に立つものを生み出せるようにね。

学院を守るというのは、才能と学びの場を守ることでもあるんだよ。

来週から俺の授業も始まる。ルノアと会えるのが楽しみだ」


ルノアは静かに頷いた。


その後も家族から学院や各国の文化についていろいろな話を聞き、穏やかな時間を過ごした。


タスワンズ湖では、精霊王にもご挨拶をした。


ルノアは、周囲にいる妖精様や精霊様たちがとても可愛かったことを嬉しそうに報告した。


「学院では、リシューと一緒に過ごしています。

妖精様や精霊様もたくさんいて、癒されます」


精霊王は穏やかに耳を傾けていたが、ルノアの話を聞くと、少し嬉しそうに目を細めた。


「ああ……西のとも話した。本当に喜んでいた」


「そうなんですね」


ルノアが嬉しそうに笑う。


精霊王は少し考えるように沈黙してから、静かに続けた。


「愛し子として、民は皆、緊張してしまうからな……。これからも、よろしく頼む」


「はい」


ルノアは素直に頷いた。


そして、ふと思い出したように尋ねる。


「精霊王様、一つ聞いてもいいですか?」


「ああ」


「ルルに、妖精様や精霊様と念話で話せることを伝えても大丈夫でしょうか?」


精霊王はすぐには答えず、少し考えるように目を伏せた。


「ああ……そうだな」


やがて、静かに頷く。


「話してもよい」


「ありがとうございます」


ルノアが嬉しそうに笑う。


「心根一つで、いつでも念話ができなくなることもある。民の心は、時とともに変わるものだからな……」


「はい」


ルノアはその言葉を静かに受け止めた。


精霊王は少しだけ考えるような表情を見せ、それから穏やかに続ける。


「……だが、あの子なら大丈夫だろう」


「ルルなら、ですか?」


「ああ」


精霊王は小さく頷いた。


「そなたが友として見ている者なら、きっと大丈夫だ」


「はい。私もそう思います」


ルノアは嬉しそうに微笑んだ。


「では、また来ますね」


「ああ。いつでも来るがよい」


ルノアは小さく頭を下げると、穏やかな笑顔のまま精霊王のもとを後にした。



十分に家族との時間を過ごしたあと、ルノアはクロリナラドとともに学院へ戻った。


寮の門の前で、クロリナラドがルノアをそっと軽く抱きしめる。


「これから実戦技能訓練も始まると思う。気をつけてね」


「はい、ラド様もお気をつけて。魔石も私の飴も渡せてよかったです。いつも腕輪にラド様から魔力が送られてきて、心穏やかに安心して過ごせています。

あとサンセール様とルルの謝罪の場も明日お昼休みに設けます。フォル様もジュスト様も立ち会うそうです。」


「あぁ……早かったな、サンセール。特級クラスか……。

勉強頑張ったんだな……。

今度の帰省では、竜神様との面会があるから。竜皇国で待っているからね。

竜たちも俺と同じく、首を長くして待ってるから。」


「はい。楽しみにしています」


寮へ到着したのは、まだ空が明るい時間だった。


「学則の帰寮時間にも間に合いましたね」


ルノアがそう言うと、クロリナラドは小さく笑った。


「学院の規則はきちんと守る。それがルノアらしいな」


「せっかく学院にいるのですから、決められたことは守りたいです」


二人は門の前で別れた。

クロリナラドはルノアの姿が見えなくなるまで見送った。


ルノアは自分の寮の部屋へ戻った。

部屋は静かだった。

荷物を整理して少し休んでいると、部屋の中にいた魔道具人形のワムが声をかけた。


「ルノア。今、少しお話をしても大丈夫ですか?」


ルノアが顔を上げる。


「先日の件について、少々ご報告がございます」


「先日の件?」


「はい。ルノアからいただいた魔道具人形の修繕についての提案と、その後に設定された運用についてです」


「何かありましたか?」


「先日の設定に従い、必要な情報を記録し、関係部署へ報告するようになりました」


「そうですか」ルノアは小さく頷いた。


「他の魔道具人形たちも、改善されましたか?」


「はい。全員、問題なく改善されております」


「それは良かったです」


ルノアは安心したように微笑んだ。


「他に問題がなければ、あとはワムの判断で大丈夫です。報告してくれてありがとう」


「承知いたしました」ワムは一礼すると、部屋の隅へ戻っていった。


小さな不具合は一つずつ修理され、動作環境も改善された。


記録や報告の仕組みも整い、魔道具人形たちは以前よりも安定して役目を果たせるようになっていた。


その日の夜。

修繕を終えた魔道具人形のワムたちは、それぞれの持ち場で静かに言葉を交わしていた。


「……ルノアに、感謝しなければなりませんね」


「はい。私たちの不具合に気づいてくださったのですから」


「これまで、誰にも気づかれなかったことでしたからね」


魔道具人形たちは、静かに頷いた。

誰かに褒められるためでも、感謝されるためでもない。

ただ、自分たちがより正しく役目を果たせるようになったことを、静かに喜んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。