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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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404/452

404 結界と自己紹介

「……実は」


リシューは少し迷ってから、二人を見つめた。


「私、ルノアとルルのことを、少し前から知っていたの」


ルルが首を傾げる。


「私たちのこと?」


「うん。身分のことは、学院では話してはいけないって分かっているから……言わないほうがいいと思っていたんだけど……」


リシューは言葉を選びながら話し始めた。


「ルルを助けた妖精さんが、タスワンズ湖から天上湖へ来てくれていて……

その妖精さんから、ルノアとルルの話を聞いていたの」


「そうだったんだ」


ルルが驚いたように目を瞬く。


「ルノアがタスワンズ湖を浄化して、ピカーッと綺麗にしたこととか……

オハギがものすごく美味しかったこととか……」


「オハギ……」


ルノアが少しだけ目を丸くする。


「それから、ルルがサンセールを投げ飛ばしたことも……」


「えっ!?」


ルルの顔が一気に赤くなる。


「妖精様! ちょっと違うよ。魔力で吹き飛ばしただけだから。そこまで聞いてるの!?」


「投げ飛ばすも吹き飛ばすも、あんまり変わらないよ! すげぇな、ルル!」


近くにいた妖精が楽しそうに笑った。


「ご、ごめんなさい!」


リシューが慌てて頭を下げる。


「話してはいけないこともあると思うの。

でも、知っているのに知らないふりをするのも、なんだか申し訳なくて……」


少し困ったように笑ってから、リシューは改めて二人に向き直った。


「私は、西大陸ランボトル精霊国ナターシアン公爵家次女、『西の精霊王様の愛し子』のリシューです」


ルノアは少し考えてから、柔らかく微笑んだ。

そして、念のため周囲を見渡す。


「大丈夫。ここには、しっかりと結界が張られているから」


「結界?」


「学院にも結界はあります。でも、魔法契約書で守秘義務を結んでいない人に、話を聞かれたり、知られたりする可能性はありますから」


ルノアは少し声を落とした。


「だから私の婚約者が、学院の学則に反すること以外については、私に関わる話を自室でしても問題ないよう、制限区域として結界の許可を取ってくれました」


リシューは真剣に頷く。


「これから、身分に関わる話は私の部屋でしましょう。よろしいですか、リシュー?」


「分かった」リシューが頷いた。


すると、ルノアが少し困ったように笑う。


「……敬語になっちゃった。いつも敬語だから、なかなか慣れないの」


それからルルを見る。


「あっ。ルルも知っているから、話して大丈夫だからね。

ただ、リシュー。

それ以外の人や、話す場所には絶対に気をつけてね」


ルノアは一度息を整えると、自分のことを話し始めた。


「私は、南大陸マクアリール公爵家長女のルノア。

『竜神様の愛し子』です。このことは内緒にしています。あと南の精霊王様から祝福もいただいています。」


「うん」


「それから、竜皇国王様の次男クロリナラド殿下の『運命の番』です。学院にも許可を取っています」


そして、ルノアは少し離れたところへ向かって声をかけた。


「……福ちゃん! 出てきて!」


「何? ルノア?」


魔空間から白い大きな梟が姿を現す。


「……あれ? ルルがいる!」


福はルルを見つけると、嬉しそうに近づいた。


「あっ! 西の精霊王様の愛し子様だ! 

はじめまして。聖獣の福です。

福様って呼んでね」


そして、周囲を見渡す。


「あぁ……妖精様と精霊様がいっぱい! 悪戯しないでね。よろしくね、みんな!」


一人の精霊がすぐに答えた。


「福様……西の精霊王様から、悪戯は厳禁だと言われていますから、しませんよ。ここに来ているのも、そういうことをしない者たちだけです。

よろしくお願いします、福様」


「うん! よろしくね!」


続いて、ルルが福に向かって頭を下げた。


「福様。お久しぶりです」


そして、自分のことを話し始める。


「東大陸リオンブラン王国、国王の娘で長女のルルです。王族の慣習に基づいて、『婿入りの戦い』の勝者と十六歳で結婚する予定なの。それまでは学院でしっかり学びたいと思っています」


少しだけ苦笑する。


「竜皇国の王太子の三男、サンセール様から『運命の番』と言われていますけど……王族の慣習に基づいて、それ以外の異性とは、学びの場以外では交流しないと学院に許可を取っています」


そして、リシューに笑いかけた。


「よろしくね! 分からないことは、一緒にやっていこうね!」


リシューは小さく俯いた。

二人の言葉を、ゆっくりと胸の中で繰り返す。なぜだか嬉しかった。

けれど、しばらくするとリシューの表情が曇った。


「私……結界のことも、守秘義務のことも分からなくて……何も知らないまま話してしまったんだね。

ごめんなさい。これからは気をつけるね」


「リシュー?」


ルノアが心配そうに呼びかける。


「私、今までたくさんの人に守られて生きてきたんだと思う」


リシューは自分の手を見つめながら、小さく息を吐いた。


「閉鎖された世界にいたことは、自分でも分かっていたつもりだった。

でも……社会のことも、一般常識も、私は全然知らないんだね」


少し苦笑する。


「私、凄く世間知らずなんだわ……」


ぽつりと呟いたあと、顔を上げた。


「週末に帰ったら、従事者の皆さんにちゃんとお礼を言わなきゃ」


そして、ルルを見る。


「ルルも教えてね。私が知らないことがあったら」


「もちろん!」


ルルはすぐに頷いた。


「私も分からないことがあったら、ルノアに聞くし。三人で覚えていけばいいよ」


「……三人で?」


「うん」


ルノアも微笑んだ。

リシューは二人を見つめる。

胸の奥が、また温かくなった。


今までなら、知らないことは恥ずかしいことだと思っていたかもしれない。

けれど、今は違う。


「……ありがとう」リシューが笑った。


その日は、リシューにとってたくさんの「初めて」があった。


自分が知らないことを知り、分からないことは友達に尋ね、自分で考えて、自分の行動を決めた。


まだ慣れないことばかりだけれど、これから一つずつ学んでいけばいい。


そう思うと、明日から始まる学院生活が、少し楽しみになった。


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