40 白ちゃん水ちゃんは防護攻撃獣!?
クロリナラドは、並べられた魔石を確認すると、静かに説明を始めた。
「まず、五つの付帯効果を持つ魔石は二つを一つにまとめる。元気珠も二つを一つの魔石にする」
魔石を手に取りながら、さらに続ける。
「それぞれを丸い魔石にするつもりだ。
分ければ、その分だけ魔石の威力も分散される。
だから、できるだけ元の魔石の力を保ったまま加工しようと思う」
クロリナラドは、順番に魔石の加工を始めた。
白銀の光が部屋いっぱいに広がる。
両手で二つの魔石を包み込むと、二つの魔石がゆっくりと光の中で一つに融合していく。
さらに、それぞれの魔力量を細かく調整しながら、皆が安全に扱えるように魔力を分配していく。
やがて、五つの魔石が完成した。
クロリナラドは、それぞれを確認しながら説明する。
「一番大きな魔力の器を持っている福様には、かなりの魔力と魔石の力を引き受けてもらった」
福ちゃんが嬉しそうに羽を広げる。
「次に大きなものをヴァリアードとラルフに。
白ちゃんと水ちゃんには、魔獣よりも強く、長時間活動しても魔力切れを起こしにくいよう、魔力タンクとしての役割を持たせた」
そして、五つの魔石を並べる。
「ヴァリアードたちの背中を守れる防護と攻撃能力を持つ守護獣として成長できるよう、余裕を持たせてある」
クロリナラドは、魔石の配置を見せた。
「俺が調整した魔石三つの間に、ルノアの魔石を挟んで、五つの魔石を並べたデザインにしてみた。どうかな?」
五つの魔石は、それぞれが調和するように一つの装飾へと組み込まれている。
「ヴァリアードとラルフ殿のものは指輪にした。福様、白ちゃん、水ちゃんには、成長に合わせて魔力の出力を調節できる機能をつけた、同じデザインの首飾りにしてある」
さらにクロリナラドは、守護獣たちについて説明を続けた。
「竜人の魔力の匂いは魔獣が敏感に感じ取る。
これを身につけていれば、魔獣も近づきにくくなるだろう。
さらに魔力を調整することで、今までよりも守りは格段に強くなる」
皆を見つめながら話を続けた。
「ただし、魔獣を狩らなければならない時は、調節機能を自分で発動させて使い慣れていってほしい」
そう言った瞬間、完成した魔石が淡い光を放った。
それぞれの魔石が、持ち主の身体へ一瞬だけ吸い込まれるように取り込まれる。
「えっ?」
ルノアが驚いて見つめていると、次の瞬間には魔石が身体から浮かび上がり、それぞれの装着位置へ戻った。
ヴァリアードとラルフの指には、見事な指輪が輝いている。
福ちゃん、白ちゃん、水ちゃんの首元には、同じデザインの首飾りが収まっていた。
二人は自分の指輪を眺め、それから守護獣たちを見る。
国宝級ともいえる魔道具と、明らかに強化された防護・攻撃能力を持つ守護獣。
ヴァリアードとラルフは、なんとも言えない表情で顔を見合わせた。
「……俺たちに、いったいどんな魔獣を倒させるつもりなんだ?」
「私も同じことを思っていたよ」
二人の半信半疑な視線を受け、クロリナラドはにっこりと笑った。
「俺の番の魔石をもらうのだから、それなりの働きはしてもらうべきじゃないかな?」
にこやかな笑顔。
しかし、その笑顔にはどこか黒いものが滲んでいた。
「「…………」」
ヴァリアードとラルフは、そろって苦笑した。
一方、ルノアは二人の姿を見ていた。
「お父様も伯父様も……少し若くなったような?」
以前ほど大きな変化ではない。
それなら大丈夫だろうと、ルノアはほっと胸を撫で下ろした。
そして、福ちゃん、白ちゃん、水ちゃんを見る。
三人とも、魔石の力を受けたことで、また一回り大きくなっていた。
「みんな、少し大きくなったね」
けれど、ルノアはすぐに笑顔になった。
「でも、魔石をもらったんだもの。安全が一番だよね」
ルノアは、うんうんと頷く。
「よかった」
嬉しそうに微笑むルノアを見ながら、それぞれの首飾りを輝かせていた。




