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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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395/463

395 ヨーリアン帝国 王太子の次男マイルズ

魔術学院が休日となる週末になった。


今日は、マイルズと面会する予定の日だった。


当初、面会はカーナリアン王国のマクアリール公爵領にあるタスワンズ湖で行う予定だった。しかし、面会の日が近づくにつれて、マイルズの体調が悪化してしまった。


とても長距離を移動させられる状態ではない。


そこで予定を変更し、ルノアとクロリナラドがヨーリアン帝国王城へ向かい、マイルズの自室で面会することになった。


ルノアは竜神様の愛し子であり、聖女が持つとされる数多くの力も宿している。


そして、運命の番であるクロリナラドに配慮し、異性との距離を考えたうえで、クロリナラドも同席する形で面会が整えられた。


クロリナラド自身も竜神様の愛し子であり、マイルズとは幼い頃から親交がある。これまでにも何度も見舞いに訪れており、マイルズにとってクロリナラドは、気を張らずに話すことのできる相手だった。


王城の奥にあるマイルズの部屋へ、ルノアとクロリナラドが入る。


室内には、王太子夫妻も立ち会っていた。


ベッドの上には、一人の青年が穏やかな表情で横になっている。


ルノアはベッドのそばまで歩み寄ると、丁寧に頭を下げた。


「初めまして、マイルズ様。ルノアです。よろしければ、ルノアとお呼びください」


「はじめまして、ルノア様。……恐れ多くて、呼び捨てにはできません」


マイルズは微笑んだ。


「クロー様から、ルノア様のお話はよく聞いておりました。ですから、今日を楽しみにしていたんです」


「ラド様から……?」


ルノアが隣にいるクロリナラドを見上げる。


クロリナラドは少し困ったように苦笑した。


「……まあ、いろいろ話していたからね」


「ふふっ」


マイルズが小さく笑う。


その穏やかなやり取りに、室内にいた者たちの緊張も、少しだけ和らいだ。


マイルズは、ヨーリアン帝国の血筋に久しぶりに生まれた『神眼』を持つ子供だった。


神眼によって、魔力の流れだけではなく、人が抱く悪意や、魔術、契約、書面などに込められた僅かな異常まで見抜くことができる。


現在のマイルズは、王城の自室に置かれたベッドから、帝王や王太子の仕事を支えていた。


各国から届く親書や条約の中には、ヨーリアン帝国にとって不利となる条件を巧妙に隠したものもある。


マイルズは、それらを神眼で確認し、危険な内容や隠された異常がないかを調べていた。


その能力は、帝国にとって非常に大きな助けとなっている。


しかし、その代償も大きかった。


神眼を持つ者は、昔から短命だった。


さらにマイルズは、生まれつき非常に多くの魔力を持っていた。


本来なら、その膨大な魔力を制御するための訓練が必要だったが、身体が弱く、思うように訓練を進めることもできなかった。


魔力を外へ逃がすため、マイルズは毎日魔石を作っている。


それでも、身体の中に余った魔力は少しずつ蓄積していた。


そんなマイルズのことを、竜神様も気にかけていた。


命そのものへ直接干渉することはできない。


それでも、何か改善する方法はないか。


竜神様は、先月の面談でルノアに頼んでいた。


『ヨーリアン帝国魔術学院へ入学したら、一度マイルズを診てほしい』


それが、今回の面会につながっていた。


「マイルズ様」


ルノアは、ベッドの横に置かれた椅子へ腰を下ろした。


「少しだけ、魔力の状態を見てもいいですか?」


「もちろん」


マイルズが素直に頷く。


ルノアは右手をそっと伸ばした。


まずは、身体の中を巡る魔力の流れを確認する。


しばらく目を閉じて魔力の状態を探ったあと、ルノアは静かに息を吐いた。


「……やっぱり、魔力が行き場をなくしていますね」


「そうなんだ」


マイルズは驚くことなく答えた。


「自分でも分かるんだ。身体の中に、ずっと重いものがあるような感じがする」


「魔力を外へ出しているのに、それでも溜まってしまうのですね」


「はい」


ルノアは少し考えた。


「毎日、魔石を作っていると聞きました」


「作っています。でも、それでも追いつかないんです」


「それなら……魔力を外へ出すだけではなく、身体の中で安全に循環させる場所を作ってみませんか?」


「循環させる場所ですか?」


マイルズが不思議そうに尋ねる。


「はい」


ルノアは自分の胸元に手を当てた。


「私もヴァリアード伯父様から助言をいただいて、自分の中にある魔力を、マクアリール公爵領にあるタスワンズ湖のように考えるようにしました」


「タスワンズ湖を?」


「はい」


ルノアは頷いた。


「湖には水が流れ込みます。でも、いっぱいになれば、周囲へ水が流れていきますよね。

足りなくなれば、また水が流れ込んでくる。

そんなふうに、自分の魔力を水の流れのように考えるんです」


マイルズは黙ってルノアの話を聞いている。


「魔力を全部、無理に外へ押し出そうとしなくてもいいんです」


ルノアは、ゆっくりと言葉を続けた。


「自分の中に、大きな湖があると思ってください。

魔力が多いときは湖へ流す。反対に、魔力が足りなくなったら、そこから必要な分だけ取り出すんです」


「……でも、僕は、そういうイメージをするのが苦手なんだ」


マイルズが少し困ったように笑う。


「大丈夫です」


ルノアは微笑んだ。


「最初は、私と一緒にやりましょう」


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