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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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379 卒論提出

午後の授業が終わると、ルノア、リシュー、ルルの三人は、それぞれ卒業論文を抱えて教室を出た。


入学初日だというのに、すでに卒業論文を提出する。

通常の生徒なら考えられないことだが、三人にとっては入学前から準備してきたことだった。


「教務部へ提出すればいいんだよね?」


ルルが手元の書類を確認する。


「うん。提出先は教務部になっています。」


リシューが答えた。


ルノアも卒業論文を抱え直す。


「提出が終わったら、あとは審査を待つだけですね」


三人はそのまま教務部へ向かった。


廊下を歩いていると、前方に二人の生徒の姿が見えた。


「フォル?」


ルノアが声をかける。


「ルノアさ……」


振り返ったフォルの隣にはジュストがいた。

二人も、それぞれ卒業論文を手にしている。


「二人も卒業論文の提出?」


「はい。私たちも今日、提出です」


フォルが頷いた。


五人はそのまま連れ立って教務部へ向かった。


やがて教務部の扉が見えてくる。

中へ入ると、アガサが待っていた。


「来ましたね」


アガサは五人の手元を見ると、すぐに事情を察した。


「卒業論文の提出ですね」


「はい」


五人は順番に論文を差し出した。


アガサは一冊ずつ受け取り、表紙と名前を確認していく。


「ルノア、リシュー、ルル、フォル、ジュスト。確かに受け取りました」


「よろしくお願いいたします」


五人が礼をすると、ルノアが尋ねた。


「アガサ先生。私たちは飛び級卒院試験を受ける予定ですが、手続きはどうなりますか?」


「受験の意思は確認しています」


アガサは手元の書類を確認した。


「五人とも、受験希望として記録されています」


五人が頷く。


すると、アガサがもう一枚の書類を取り出した。


「今回、飛び級卒院試験を受ける予定なのは、もう一人います」


「もう一人?」


ルルが首を傾げる。


「はい。下級クラスのサンセールです。サンセールもすでに卒業論文を提出しており、飛び級卒院試験を受ける意思も確認済みです」


アガサは五人を見渡した。


「今回の受験予定者は、合わせて六人になります」


「サンセールも……」


ルノアが呟く。


「はい」


アガサは頷いた。


「ただし、現時点では六人全員が受験できると決まったわけではありません」


五人が顔を上げる。


「まずは提出された卒業論文を審査します。論文に合格し、受験資格を得た生徒だけが、飛び級卒院試験を受けることになります」


「なるほど……」


リシューが頷いた。


「それでは、論文の審査が終わってから面談をするのですか?」


「そうです。ただし、ルノアについては入学前にすでに確認と面談を終えています」


ルノアが小さく頷く。


「ほかの五人については、卒業論文の内容を確認したうえで、明日の放課後に面談を行います。面談の時間は、それぞれに連絡します」


「面談では、論文について確認するのでしょうか?」


リシューが尋ねた。


「はい。本人が自分で研究したものなのか。そして、書かれている内容をきちんと理解しているのかを確認します」


アガサは淡々と説明する。


「卒業論文の内容、面談の結果、その両方を確認したうえで受験資格を判断します」


「分かりました」


ルノアが頷いた。


「明日の放課後までには、結果が分かるんですね」


「はい。受験資格を得た生徒には、その時点で連絡します。面談が必要な場合も、同時に時間を伝えます」


五人は揃って頷いた。


するとアガサが、さらに続けた。


「もう一つ重要なことがあります」


五人が顔を上げる。


「卒業論文に合格し、受験資格を得た生徒は、同じ日に飛び級卒院試験を受けてもらいます」


「全員、一緒に?」


ルルが目を丸くする。


「はい。クラスは関係ありません。上級クラスでも下級クラスでも、受験資格を得た生徒は同じ試験を受けます」


その言葉を聞き、ルノアは静かに頷いた。


クラスではなく、実力で判断する。


それが、ヨーリアン帝国魔術学院の考え方なのだろう。


「分かりました」


五人は揃って頭を下げた。


「それでは、今日はこれで終わりです。明日の放課後まで待っていてください」


「ありがとうございました」


五人はアガサに礼をして、教務部を出た。


廊下へ出ると、夕方の静かな空気が流れていた。


「明日、結果が分かるんだ」


ルルが呟く。


「そうだね」


リシューが頷く。


「全員で試験を受けられるといいですね」


ジュストが言った。


「はい」


ルノアも頷いた。


五人はそれぞれの寮へ向かうため、廊下で別れた。


その頃、特級クラスでは、今日の授業を終えた生徒たちが教室に残っていた。


前方の四列に座っていた生徒たちも、後方の男子生徒たちも、疲れた身体を椅子に預けている。


特に前方十名の生徒たちは、もともと高い魔力を持っていた。

そこへ、リシューの周囲にいる精霊たちの視線まで加わっていた。


精霊たちは、リシューを守るように静かに生徒たちを見つめている。


その視線を感じるたび、生徒たちは反射的に結界を張っていた。


「……まだ、体が重い」


「魔力酔いって、こんなに辛いのか……」


「今日はもう魔力を使いたくない……」


生徒たちは疲労困憊だった。


しかし、彼らには一つだけ理解できないことがあった。


なぜ、自分たちは精霊様や妖精様たちから警戒されているのか。


何か失礼なことをした覚えはない。

そう思っている生徒も多かった。


その様子を見ていたギルトが、静かに口を開いた。


「君たちは、まだ分かっていないようだね」


生徒たちが顔を上げる。


「妖精様や精霊様は、リシューを守っている。リシューに対する侮りや悪意を、決して許さないんだ」


「……」


「自分たちに悪意がなかったとしても、言葉や態度が相手を傷つけることはある」


ギルトは一人ひとりを見渡した。


「分からないなら、まず自分の言動を振り返りなさい。相手の立場を考えず、自分の常識だけで判断してはいけない」


生徒たちは黙って聞いていた。


「妖精様や精霊様に守られているリシューを、羨む必要も、必要以上に恐れる必要もない」


ギルトは穏やかに続ける。


「これから同じ学院で学ぶ仲間なんだ。互いを尊重して、誠実に学べばいい」


疲れ切った生徒たちは、それぞれ顔を見合わせた。


まだ納得できない部分はある。

それでも、今日一日の出来事を思い返せば、ギルトの言葉を無視することもできなかった。


「教えてくれてありがとう」


誰かが小さく答えた。


「もう少し……これまでのことを振り返ってみます。」


別の生徒が答えた。


入学初日。


魔術学院で学ぶということは、魔術の知識だけを身につけることではない。


自分の力を知り、相手を尊重し、誠実に学び続けること。


そのことを胸に刻みながら、生徒たちはそれぞれの寮へ戻っていった。


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