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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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375/465

375 ヨーリアン帝国魔術学院入学式

ヨーリアン帝国魔術学院、入学式当日。


広大な学院中央ホールには、新入生たちが次々と集まっていた。

保護者の姿はない。

ヨーリアン帝国魔術学院では、入学式への保護者の出席は認められていない。

今日からは家柄も身分も関係なく、すべての新入生が一人の学生として扱われるからだ。

壇上には、ヨーリアン帝国の帝王様と魔術学院の学院長と教員全員が並んでいる。

そして、ホール中央には新入生の席が整然と並んでいた。

席順は成績順。

今年は、例年とは大きく違っていた。

最前列に三つの席が並んでいる。

ルノア。リシュー。ルル。

三人とも、推薦入学試験で満点を取った異例の新入生だった。


ルノアとルルにとって、リシューとは今日が初対面だった。

二人が最前列の席へ向かうと、ルノアとルルは、思わず足を止めそうになった。


リシューの頭や肩には、精霊様や妖精様たちがところ狭しと乗っていた。


小さな妖精様が髪の上にちょこんと座り、別の妖精様は肩に腰掛けている。

中にはリシューの服の襟に隠れるようにしている者までいた。


ルノアは、その姿を見てすぐに気づいた。

『西の精霊王様の愛し子様』

竜神様からは聞いていたが、実際に目にすると想像以上だった。

ルルも目を丸くしながら、隣のルノアを見る。

ルノアは小さく頷いた。

リシューも二人の視線に気づいたらしい。

だが、式の前ということもあり、声を張ることはしなかった。


「……初めまして。リシューです」

「初めまして。ルノアです」

「ルルです。よろしくお願いします」


三人は小さく頭を下げる。

すると、リシューの肩にいた妖精がふわりと飛び上がった。

ルノアの肩へ移り、ちょこんと座る。


「……まあ」ルノアが小さく目を見開く。


続いて別の妖精様が、リシューの頭から飛び立った。

今度はルルの肩へ。


「わあ……可愛い」


ルルは嬉しそうに、肩の妖精様をそっと見た。


リシューは少しだけ困ったように笑う。


「……いつもこうなんです」


「仲がいいのですね」ルノアが微笑む。


すると、ルノアの肩にいた妖精が、今度はふわりと飛び上がった。リシューの肩へ戻っていく。

さらにルルの肩にいた妖精も、その後を追う。

三人の間を妖精たちが行き来し、まるで互いを確かめるように、それぞれの肩や頭へちょこんと座っていく。


ルノアとルルは顔を見合わせた。

初対面なのに、不思議と緊張がほどけていく。


「妖精様たちとも、仲良くなれそうです」

ルルが小声で言う。


「そうですね」リシューも微笑んだ。


その時、ホールの扉が閉じられた。

三人はすぐに前を向く。

その後ろには、成績順に特級クラスの生徒たちが男女別に整然と座っていた。

さらにその後方には、上級百名、中級百名、下級百名の席が続いている。

総勢三百五十名ほどの新入生が、一切の私語もなく前を向いていた。


誰もが同じ制服。靴も靴下も同じもの。

男子も女子も、長い髪は後ろで一つに束ねている。

王族も貴族も平民も関係ない。

ここにいる全員が、同じ服を着て、同じ椅子に座っていた。


やがて、壇上に立った学院長がゆっくりと前へ進む。


「新入生諸君。ヨーリアン帝国魔術学院へようこそ」


低くよく通る声が、広いホールに響いた。


「今日より諸君は、家名を背負った者でも、王族でも貴族でもない。ただ一人の魔術を学ぶ者だ」


新入生たちの表情が引き締まる。


「この学院では、身分は諸君を助けない。財力も、人脈も、家の権力もだ。諸君自身が学び、考え、努力し、積み重ねたものだけが残る。誠実に生活をしなさい。」


そこで学院長は、突然、片手を高く掲げた。


「皆を歓迎する」指を鳴らした瞬間。

ホールの天井いっぱいに、無数の光が咲いた。

星のような光が舞い、青、金、銀、紫と次々に色を変えていく。

さらに光は小さな魔法陣へ変わり、空中で巨大な花を形作った。


「わぁ……」思わず声が漏れる。


花が一斉に開く。

そこから小さな光の鳥が飛び出した。

何百羽もの光の鳥が新入生たちの頭上を旋回し、最後には一つの大きな光へ集まって、学院の紋章を描き出した。

ホールから拍手が起こる。

学院長は満足そうに頷いた。


「これが我が学院に代々伝わる歓迎の魔術だ。入学式でしか見ることはできない。しっかり覚えておくといい」


緊張していた新入生たちの顔に、初めて笑顔が浮かんだ。

ルルも目を輝かせている。

ルノアは空を見上げながら静かに微笑んだ。

そして隣では、リシューの肩にいた妖精が、こっそりルノアの肩へ戻っていた。

三人はそれぞれの肩に座る妖精を見て、小さく笑った。

やがて光が消える。再び静寂が戻った。


「では、これより各クラスを発表する」


教員たちが動き始めた。

特級クラス、上級クラス、中級クラス、下級クラス。

それぞれの担任が名前を読み上げていく。

呼ばれた生徒たちは順番に立ち上がり、指定された教室へ向かう。

最初に呼ばれたのは、最前列の三人だった。


「ルノア」

「はい」


「リシュー」

「はい」


「ルル」

「はい!」


三人が立ち上がる。

周囲から一斉に視線が集まった。

満点入学。今年は異例の三人。だが、三人とも特別扱いされることはない。


教員は淡々と告げる。

「特級クラスへ」


三人は頷き、並んで歩き出した。

その後ろから、特級クラスの生徒たちが男女別に続いていく。

その中にはフォルとジュストの姿があった。

さらに上級、中級、とすすんでいく。

下級クラスの列にサンセールの姿があった。

ルルの姿を焼き付けるように見ていた。

名前を呼ばれ、教室へ向かっていった。

広いホールから、新入生たちの姿が少しずつ消えていく。

最後の生徒が退場すると、教員たちも静かに壇上を降りた。

こうして、ヨーリアン帝国魔術学院の新たな一年が始まった。


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