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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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368/466

368 エミリアの残した手紙

ラルフとヴァリアードは、エミリアの手紙の続きを読んだ。


「きっと、天から二人がこの手紙を読んでいる姿を見ながら、『ようやく見つけたわね! 遅いわよ! でも、安心したわ!』って、笑っていると思います。

今も寂しい、辛いと、ラルフは苦しんでいるのでしょうね。

ヴァリー兄様は、結婚式に出ていれば……

番の腕輪の誓いを確認していれば……

いろいろ後悔して、苦しんでいるのでしょう。

二人とも、何年もごめんなさい。

私は母親として、自分の運命を変えずに、ルノアを守ると決めていたの。

『誠実に生きなさい』と言っていた私が、誠実でなくては駄目でしょう?

ラルフとヴァリー兄様なら、きっと違法魔術で私を延命してしまうわ。

魔塔には、危険な魔術がいっぱいあるもの。

でも、それは私であって、私ではない。

だから、ヴァリー兄様には会えなかった。

ラルフにも、『魔塔と政は離れていた方がヴァリー兄様のためになるから、連絡しないで』とお願いしていたの」

エミリアの文字を追いながら、ラルフの手が止まった。

隣ではヴァリアードも黙ったまま、便箋を見つめていた。その表情には、明らかな動揺が浮かんでいる。

「……エミリア。なんで……」

ラルフは実際、延命についての魔導書を世界中から集めていた。


ヴァリアードの声が掠れた。

「なんで、秘匿されている違法魔術のことを知っているんだ!」

ヴァリアードは便箋から目を離さない。

「魔塔でも、誰でも知っているような術じゃない。正式な魔術書に記されているものでもない」

「それほどなのか?」

「あぁ。特に生命に干渉する魔術は、厳重に秘匿されている。寿命そのものを延ばすような術は、成功したとしても代償が大きい」

「……代償?」

「術者の魔力だけじゃない。場合によっては、対象者の魔力や生命力そのものを無理やり繋ぎ止める。

身体が生きていても、人族として生きられる保証なんてない」

ラルフの顔が強張った。

「そんなものを……エミリアが知っていたのか?」

「知っていただけじゃない」ヴァリアードの指が、便箋の上で止まる。

「『ラルフとヴァリー兄様なら、きっと違法魔術で私を延命してしまう』……そう書いてある」

「…………」

「おかしいだろう」ヴァリアードが低く呟いた。

「俺が何をするかなんて、まだ何も話していない。

ラルフだって、そんなことを口にしたことはないはずだ」

「……あぁ」ラルフも否定できなかった。

「俺も……もし、エミリアを失うことになったら……何をしてでも生かしたいと思ったかもしれない」

「俺もだ」ヴァリアードは苦しそうに息を吐いた。

「だからエミリアは……」

「分かっていたんだな」

「あぁ。俺たちが禁じられた術に手を出す可能性まで考えていた」

ヴァリアードの顔から血の気が引いていく。

「だから俺に会わなかったのか……」


ラルフが手紙の一文を見つめる。

「『でも、それは私であって、私ではない』……」

「エミリアは、延命すること自体を望んでいなかったんだろう」

ヴァリアードが静かに言った。

「たとえ身体が動いても、魔術で無理やり命を繋いだものが、本当にエミリア自身なのか……そういうことだ」

「だから……俺たちに、そんな術を使わせないために……」

「俺には会わず、ラルフにも連絡するなと頼んだ」

二人の間に重い沈黙が落ちた。

エミリアは、自分が死ぬことだけを考えていたのではない。

残される二人が、その死を受け入れられず、禁忌に手を伸ばすことまで考えていた。

「……エミリア」ラルフが小さく呟く。

「最後まで、自分のことより俺たちのことを考えていたんだな」ヴァリアードは答えなかった。

ただ、震える指で便箋をそっと押さえた。

「……それでも、どうしてそこまで知っていたんだ」

その問いに、答える者はいない。

エミリアの丸文字だけが、五年の時を越えて二人の前に残されている。

まるで、二人の知らない未来を知っていたかのように。

ヴァリアードは答えず、本棚へ視線を向けた。

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