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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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356 三国合同演習 実力の違い

ヴァリアードが大きく手を上げた。


「これより、リオンブラン王国と竜皇国の試合を開始する。定位置まで全員戻れ」


全員が配置についた。


「試合開始!」

ヴァリアードの声が響いた。


開始直後、竜皇国側が一気に前へ出た。

フォルとジュストを中心に、圧倒的な身体能力で距離を詰める。

「速い……!」

クロリナラドが観客席から思わず声を漏らした。


だが、リオンブラン側は慌てなかった。

レオンジュニアが一歩下がると、三人の隠密が左右へ散る。

竜皇国が追えば、別の者が旗へ向かう。

フォルがそれを察して引き返そうとした瞬間、リキ、ロア、ライが同時に進路を塞いだ。

一瞬の攻防。

その隙に、別の選手が旗を奪う。

「取った!」リオンブラン側が走る。

竜皇国も追う。

最後までフォルとジュストが食らいついたものの、獣人の足の速さに、わずかに届かなかった。


「試合終了!」

旗はリオンブラン王国の陣へ戻された。

個々の能力では竜皇国が上回っていた。

しかし、五分という短い時間の中で相手の動きを読み、互いに補い合ったリオンブラン王国が勝利した。


観客席でその様子を見ていたラルフは、小さく頷いた。

「やはり、そうなったか……次も通用するかな……」


カーナリアン王国のロバートも執務室で映像を見ながら苦笑する。

「ラルフ公爵の予想通りだな。次はいよいよ我が国か……」


次の試合は、カーナリアン王国とマクアリール公爵家二軍。


開始直後、カーナリアン王国は正面から攻めた。

三兄弟を中心に、一気に二軍の守りを崩しにかかる。

二軍も応戦する。

激しい攻防が続き、互いに一歩も譲らない。

「やはり正面か……ならば……」サンセールが呟いた。


ラルフは二軍の成長に驚いていた。

以前ならば、正面から押し込まれた時点で崩れていたはずの陣形が、今は崩れない。

そして、その中心にいるのはサンセールだった。

「右!」短い声。一人が動く。

「下がれ!」別の者が下がる。

「今だ!」その瞬間、二軍の二人が逆方向へ走り出した。

カーナリアン側が追う。しかし、それは囮だった。

その間に手薄になった別の場所から、別の選手が旗へ向かう。

「しまった!」気づいた時には遅かった。

ナイドも走り、追いついた選手を倒す。だが、それもまた囮だった。

一割の魔術で旗の幻影を見せたのだ。

マラドも走るが、追いつけない。

二軍が旗を奪い、全員が一斉に守りながら退く。

カーナリアン側も必死に追う。

だが……。別の二軍選手がカーナリアンの三兄弟の前に立ちはだかり、足止め倒す。

「行け!」別の走り手が旗を持って全力で走る。

そして、そのまま自陣へ戻った。


「試合終了!

勝者、マクアリール公爵家二軍!」


カーナリアンの執務室では、映像と音声を聞きながら、ロバートが驚いたように目を見開いた。


「負けたのか……いや、まだ一戦目。分からん! 切り替えろ。立て直せ!」

執務室では、全員が声を上げていた。



観客席では、ルノアがクロリナラドに話しかけた。


「サンセール様の判断が早く、素晴らしかったです」


「あぁ……正面から打ち負けなかったし、囮が何人もいて、一割の魔術の使い方もよく考えたな。皆、体力や速さ、強度増強に使っているのに……

あれでは相手は翻弄されて、気がつけば五分だ。

見ていて楽しいな」


「カーナリアン王国は、戦略なのでしょうか……指示待ちになってしまって、その分、出遅れてしまいますね。そこを狙われているような……」


ラルフは少しだけ笑った。

「二軍全員の成長が予想以上だ。サンセールの分析と指示が的確で早く、皆も修正が早い。一切の無駄がない」

その言葉通りだった。二軍は敗戦を重ねながらも、確実に成長していた。

そして、その成長を一番嬉しそうに見ていたのは、他でもないラルフだった。


その後も試合は続いた。


竜皇国は圧倒的な身体能力を見せ、カーナリアン王国を破る。


リオンブラン王国は、前回のサンセール率いるマクアリール公爵家二軍との試合に負けたあと、練習を重ねに重ねて挑んだ。

敗因を探し追求していた。今日は相手を侮ることなく挑んだ。だが、前回の試合でも相手の動きは読めたが……囮を捕まえようとしているうちに旗を取られ、負けた。


「俺らは囮だと思わず倒すが、いつも囮なのだ。何で囮なんだ?! 

お前たち、分かったか? 俺の何が読まれているのか!?……誰か教えてくれ!」

絶叫するロアとライに、いい笑顔のサンセールが握手を求めた。

「次は必ず勝つ! ルルはやらん!」

ロアとライの大人げない言葉に、皆が大笑いだった。

レオンジュニアは冷静にサンセールを見ていたが……余裕がない自分に驚いた。

一旦、冷静になろうと頭から水をかけた。


次の試合では、サンセール率いるマクアリール公爵家二軍は、兄二人が所属する竜皇国と兄弟対決となったが……。

ラルフの予想通り、個人の能力は高いが、竜皇国には連携の隙が多かった。

旗を渡す一瞬の隙を二軍に突かれ、旗を奪われる。

そのまま一気に陣地へ戻り、サンセール率いる二軍が勝利した。


フォルは皆に謝った。

「連携の練習不足だ。これでは勝てない。すまなかった、皆。

私たちも学院入学に向け、時間の余裕がなかった。

次回があるのなら、団長が指揮をとり、一軍で参加をしてほしい。皆の長所を生かした連携で勝てる!」

潔く頭を下げたが……。

気まずそうに皆も頭を下げた。

「私たちは、『旗取り』を侮っていました。遊びだから、練習などしなくてもと……。これがもし、タスワンズ湖を守る時の最悪の状態だと仮定すれば、やり直しはききません。

引き締めて、今後も魔力に頼らない訓練もしていきます」

竜皇国では最上位の騎士である者たちの悔しさから、目の色が変わった。


そして、次々と試合が行われ、最後の試合となった。


リオンブラン王国と、マクアリール公爵家一軍の試合が始まった。

会場の空気が変わった。

一軍の十人が、静かに立っている。

誰も作戦を確認しない。

ただ、相手を見た。

向こうでは、レオンジュニアたちも構えていた。


ヴァリアードの声が響いた。

「試合開始!」


一斉に駆け出した。

リオンブラン側は、まず三方向へ散った。

正面から攻める者。

旗へ向かう者。

その援護へ回る者。

だが……一軍は追わなかった。

一人が左へ。

二人が中央へ。

別の二人が後方へ。

誰かが指示を出したわけではない。

それぞれが相手の動きを見て、自然に位置を変えていく。

「……速い」レオンジュニアが呟いた。

リオンブラン側が一人動けば、一軍の一人がその進路を塞ぐ。

別の者が動けば、別の一人が回り込む。

追いかけているように見えるのに、いつの間にか先回りされている。

「右!」ジュニアが声を上げた。

だが、その時にはすでに一軍の一人が右へ回っていた。

「左!」今度は左へ。しかし、そこにも一人。

「…………!」

リオンブラン側の動きが止まった。

ほんの一瞬。それだけだった。

だが、一軍には十分だった。中央にいた一人が一気に前へ出る。

その動きに合わせ、左右の二人が同時に動いた。


リオンブラン側の視線が三方向へ分かれる。

その瞬間……。

その中央の隙間へ、一軍の二人が旗へ向かって走った。

「しまった!」

レオンジュニアが振り返る。

だが、もう遅い。旗が抜かれる。

旗を持った一人の前には、残りの仲間が道を作っていた。

追手が近づけば一人が止める。

別の方向から来れば、別の一人が塞ぐ。

誰も命令していない。

それでも全員が、必要な場所にいる。

旗を持った選手が、そのまま自陣へ駆け込んだ。


「試合終了!」


会場が一瞬、静まり返った。

あまりにも鮮やかな勝利だった。


ラルフは、にっこりと笑った。

「……圧勝だな。長年、同じ相手と戦い、同じ訓練を繰り返し、誰がどこへ動くのか。誰が何を考えているのか……言葉にする必要がない」


各国の執務室では、ため息とともに、圧倒的なマクアリール公爵家騎士団を次はどう倒すかという議論が始まっていた。

各国、全員がリアム国王のお遊びに付き合ったつもりだった。

だが、終わってみれば……。

「お互いを知る機会になった……」

全員が思うことは同じだった。


「なるほどな。相手の国を知り、自分の国も知る。

そして、切磋琢磨するとは、やはり対面することが大事なのだな……。

不干渉であっても、知る必要は今後もある」

お遊びの提案だったリアム国王が、一番深く考える機会となったことを、皆は知らない。


結果は、ラルフの予想通りだった。

一位 マクアリール公爵家一軍。

二位 マクアリール公爵家二軍。

三位 リオンブラン王国。

四位 竜皇国。

五位 カーナリアン王国。


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