354 三国合同演習開始
午前五時。
空の色が変わった。参加者たちの姿も、先ほどよりはっきりと見えるようになる。
演習場全体には張り詰めた空気が漂っていた。
その中で朝日が顔を出した。最初の光が、演習場の地面を照らす。
それと同時に、ヴァリアードが中央へ移転した。
ヴァリアードが大きく手を上げる。
「これより、旗取り総当たり戦を開始する!
騎士道精神のもと、互いの力を認め、正々堂々と戦うことを誓ってほしい。
勝敗だけを求めるのではなく、己の力を尽くし、それぞれの誇りを胸に、存分に力を示せ!」
ヴァリアードの声が、朝日の差し込む演習場全体へ響き渡った。
…ー…ー…ー…ー…ー…
その頃……。
カーナリアン王国の執務室では、ロバート国王夫妻と重鎮たちが、映像が映し出された演習場を見つめていた。
「我が国は、どこまでやれるかな……」
「皆様また体が大きくなられ……立派なお姿ですね。次世代も安心ですね。陛下」重鎮の一人が声をかけた。
「私も見習わなければならんな。」と自分の大きなお腹を叩いた。
…ー…ー…ー…ー…ー…
竜皇国では、リアム国王夫妻、ルディノール王太子夫妻が、執務室の大型映像を前に座っていた。
「サンセールが出ている。また体が大きくなってるな……」リアムが目を細めた。
「ああ……本当だ。まずは、力を見せてもらおう。楽しみだ。あっ。クロリナラドとルノアだ。特等席じゃないか……」ルディノールが口を尖らせた。
…ー…ー…ー…ー…ー…
リオンブラン王国の執務室では、レオン国王夫妻が椅子に座り、同じ映像を眺めていた。
「さて……みんな、どんな戦い方をするのかな。マリアはどう予想する?」
「厳しい試合になるでしょうね。ルルには知らせたのですか?」
「嫌だったけど……一応本人にも聞いたぞ。
『慣習の通りにしましょう。』って冷静に言われたぞ。婿入りの戦いの結果次第だからな。
ヨーリアンの卒業論文を書いてたぞ。凄いな」
甘々なレオンだった。
三つの国。
それぞれの執務室で、王たちは固唾を呑んで試合の開始を見守っていた。
…ー…ー…ー…ー…ー…
ヴァリアードの声が響く。
「第一試合、マクアリール公爵家一軍と二軍中央へ」
観覧席では、ラルフがゆっくりと立ち上がった。
「定刻通り、夜明けと同時に開始できたな」
その隣でクロリナラドがルノアに話しかけた。
「ああ……皆いい表情だ。良い試合が見れそうだ。
ノアもよく早起きできたね。」
「ラド様。子供扱いしないでくださいませ。
ヨーリアンにいく前に見たかったのです。
マクアリール公爵家の皆も緊張してますね。」
「そうだな……特に二軍は昇給がかかってるしな。
一軍の十人の枠に入る戦いも見応えがあったぞ。楽しみだ。」
ラルフが皆を見つめた。
五組による、戦いが始まった。




