350 竜皇国とリオンブラン王国の親書
竜皇国 国王リアム陛下
謹んで申し上げる。
このたび、第二王子クロリナラド殿下とルノア様とのご婚約が正式に整ったこと、心よりお祝い申し上げる。誠におめでとうございます。
お二人が末永く支え合い、幸福な歩みを重ねられることを、心より願っている。また、今回のご婚約が両家の結びつきをより強固なものとし、竜皇国のさらなる繁栄につながることを、リオンブラン王国一同、心より祈念する。
さて、先般、竜皇国より賜った、リオンブラン王国を友好国として迎えるとの申し出について、国内にて慎重に協議を重ねた。
まず、我が国に対してそのような申し出を賜ったこと、改めて厚く御礼申し上げる。竜皇国より寄せていただいた信頼とご厚意は、我が国にとって誠に光栄なことである。
しかしながら、現時点において正式に友好国としての関係を結ぶことについては、今しばらくの猶予をいただきたい。
我が国には、王族が代々守り受け継いできた慣習がある。ルル王女の婚姻についても、従来の慣習に則り、「婿入りの戦い」の結果をもって決定することとなっている。
この結果が定まる以前に、我が国の都合によって長く守られてきた慣習を変更することは、決して誠実な判断ではないと考えている。
また、獣人である我が国が、竜皇国との友好関係を得ることによって他国からの評価を変えていただくのではなく、まずは我々自身の力によって国を整え、民が種族や身分にかかわらず誇りを持って生きることのできる国を築くことが先決であると考えている。
そのため、六年後、ルル王女が十六歳となり、「婿入りの戦い」の結果が定まった時に、改めて竜皇国よりいただいた申し出について検討させていただきたい。
それまでの間も、竜皇国との友好を願う我が国の意思に変わりはない。今後とも、これまでと変わらぬ交流を賜れば幸いである。
このたびは、竜皇国より賜ったご厚意に対し、このような返答となったこと、何卒ご理解いただきたい。
末筆ながら、皆様のご健勝と末永きご幸福を心より祈念する。
リオンブラン王国
国王 レオン
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リオンブラン王国 国王レオン陛下
謹んで申し上げる。
先般の親書、確かに拝受した。
このたびは、第二王子クロリナラド殿下とルノア様との婚約に際し、丁重なる祝意を賜ったこと、厚く御礼申し上げる。両名にとっても、誠に喜ばしいことである。
また、竜皇国より申し入れた友好国の件についても、レオン陛下の考えを承知した。
リオンブラン王国が長く受け継いできた伝統を尊重し、その結果を見届けた上で、六年後を目途に改めて判断するとの意思、十分に理解している。
竜皇国としても、その決定を尊重する。この件について、これ以上急いで話を進めるつもりはない。
時機が至った折には、改めて両国の今後について話し合うこととする。
さて、ここよりは別件となるが、一件、提案がある。
現在、マクアリール公爵家には、カーナリアン王国の王族ならびに王国軍が演習訓練を定期的に行っていると承知している。
そこで、この機会に、リオンブラン王国、カーナリアン王国、竜皇国による三国合同演習を実施してはどうだろうか。
各国の軍が相互に戦術を学び、実戦を想定した訓練を行う機会として、演習の一環に『旗取り合戦』を取り入れることを提案する。
なお、王太子ルディノールも参加を希望していたが、今回は立場上、参加を見送ることとした。
この機会に参加できぬことを大変残念に思っていると伝えてくれとのことだ。
その代わりとして、現在タスワンズ湖に駐留している竜皇国軍とマクアリール公爵家にいるフォルとジュストを参加させることとする。
また、サンセールについては、本人よりリオンブラン王国側として参加したいとの希望があった。
その意思を尊重し、今回の演習ではリオンブラン王国側の戦力として参加させることとする。
三国の軍が一堂に会し、互いの戦術や力量を知る機会は、各国にとっても有益なものとなるだろう。
また、演習の実施にあたり、マクアリール公爵家には負担をかけることとなるが、協力を願いたい。
以上、決定事項について申し上げる。
皆様のご健勝と末永きご幸福を心より祈念する。
竜皇国
国王 リアム




