347 ルル王女について
レオンが話を続けた。
「……まあ、今ここで話しておきたかったのは、カーナリアンとの関係だけではないんだが……」
レオンがふと思い出したように言った。
重臣たちは嫌な予感を覚えた。
先ほどから、この王が「そういえば」と口にするたびに、とんでもない情報が飛び出している。
「もう一つ、リオンブランに関わる話がある」
「……何でございましょう」
レオンは隣のジュニアをちらりと見た。
ジュニアも「ああ……」という顔をして、苦笑する。
「竜皇国の王太子の子供、三男サンセールのことだ」
「……はい?」
「こいつがなぁ……」
レオンはあっさりと言った。
「ルルの運命の番らしい」
「…………」
「………………」
「……………………え?」
一瞬、誰も意味を理解できなかった。
次の瞬間。
「「「運命の番!?」」」
執務室が揺れた。
レオンは耳を塞ぎながら笑う。
「うるさい!」
「陛下!! 今、何と!?」
「だから、サンセールがルルの運命の番だと言ったんだ!」
「なぜそんな重大なことを、そんな軽く!?」
「いや、本人がそう言っているしな」
あまりにも平然とした答えだった。
ジュニアは額に手を当てる。
「父上……その話は、もう少し順序を考えてください」
「そうか?」
「はい」
重臣たちは完全に混乱していた。
竜皇国の王族。
しかも、竜皇国の王太子の三男……。
公表されていないから、分からないが……
王太子のお子様は三兄弟なんだろうと当たりをつけた。
それが、ルル王女の運命の番。
さらに……。
「……まさか……」
一人の重臣が震える声で呟いた。
「先ほどの竜皇国からの親書は……」
レオンはにやりと笑った。
「その話も入っている。ルルが十六になったら、婿入りの戦いに参加するそうだぞ」
「「………!!!」」
再び、全員が絶句した。
レオンだけが楽しそうに笑っている。
「まあ、まだ六年ある」
「六年……」
「ルル本人がどうするかを見てからだ。私はそう考えている」
そしてレオンは、何でもないことのように付け加えた。
「リアムも、サンセールも、無理に縁を結ぶつもりはないらしい。そこは安心していい」
重臣たちは、もう何も言えなかった。
今日一日で、知ってはいけないような重大情報をいくつ知ったのか。
隣ではジュニアが苦笑しながら呟く。
「……陛下、今日は皆を驚かせすぎですよ」
レオンは楽しそうに笑った。
「でも、これで全部だ」
重臣たちは思った。
……絶対に、まだ何かある。
「……では、今後どう動くかを決めよう」
レオンの言葉に、重臣たちはようやく我に返った。
「まず、マクアリール公爵家とカーナリアン王国には、こちらから親書を出す。内容は竜皇国との関係を利用するのではなく、これまでの縁を大切にし、互いに平等で誠実な関係を築きたい、と」
宰相がまとめた。
「賛成です。交易もすでに実績があります。センベイやオハギの取引を足掛かりに、物流や商人の交流を広げるのもいいでしょう。技術や職人、研究者の交流も検討できますな」
全員が頷いた。
「うん。それでいい。カーナリアンとは、竜皇国がどうこうではなく、リオンブランとカーナリアンとして付き合っていけばいい」
レオンも頷いた。




