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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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331/350

331 竜の森

「まだ先にも、見せたい場所があるんだ」

クロリナラドがそう言うと、ラグナは大きく翼を打った。風が一段強くなり、二頭の竜は王城から離れていく。

「どこへ行くんですか?」

「竜の森だよ」

「竜の森?」

「ああ。竜皇国の東側に広がっている。人間の立ち入りは制限されているけれど、竜の乗り手と竜医、それから許可を持つ者なら入れる」

その言葉に、ルノアの目がぱっと輝いた。

「興味がある?」

「あります!」

あまりに即答だったので、クロリナラドが小さく笑う。

「ノアは本当に竜のことになると目の色が変わるね」

「だって……」

ルノアはエルナの首筋をそっと撫でた。

「こんなに大きくて、強くて、賢い生き物なのに、分からないことがたくさんあるんでしょう?」

エルナが嬉しそうに喉を鳴らす。


ーーそうだ。我らにも分からぬことは多い。

ーー人間は我らを強いと思いすぎる。

ーー強いからといって、痛くないわけではない。


その声に、ルノアの表情が少し曇った。

「……さっき聞いた話も、そうでしたが……竜たちは、思っていたよりずっと我慢しているんですね」

クロリナラドはしばらく黙っていた。

「……そうかもしれない。竜舎の者たちも、悪気があるわけではない。でも、言葉が通じないから、分からないことがたくさんあるんだな……」

「だったら……」

ルノアはエルナの背から前方を見つめた。

「私が、その間に入れる者になりたいです」

クロリナラドの目がわずかに見開かれる。

「竜と我々の間に?」

「はい」

風が二人の間を通り抜ける。

「竜たちが痛いと言えば、それを伝える。怖いと言えば、何が怖いのか考える。食事が足りないならどうすればいいのか一緒に考える。病気なら治してあげたいです」

ルノアは胸の前で両手を握った。

「それに……竜たちにも、もっと自由な時間があっていいと思います」

エルナが翼を大きく広げる。


ーーよい。

ーーその言葉、気に入ったぞ。

ーー我らも自由に飛びたい。


次々に白竜たちの声が響き、ルノアは思わず笑った。

「ふふ……皆さんもそう思っているみたいです。でもお仕事も大事ですから……お互いに約束を守り、少しでも良い関係で生活が送れるといいですね。」

「……ノアが竜医になったら、竜舎が大変なことになりそうだな……今まで黙っていた不満まで、全部君に訴えるようになるだろうから」

「それは……」

ルノアは少し考えてから、にっこり笑った。

「楽しそうです」

「やっぱりそう言うと思ったよ」

クロリナラドは呆れたように笑った。


やがて森が見えてきた。深い緑に覆われた広大な森。その上空には、大小さまざまな竜が飛び交っていた。

森の中央には澄んだ湖があり、その周囲には何頭もの竜が翼を休めている。

「ここが……」

「竜の森だ」

ラグナとエルナが高度を下げる。すると、森の中から一頭の小さな竜が飛び出してきた。


ーー新しいやつだ!

ーー誰だ?

ーー白竜と一緒にいるぞ!


たちまち周囲の竜たちが集まってくる。

「わ……」

ルノアが驚いていると、一頭の幼い竜がエルナの背中へよじ登ってきた。

「まあ、あなたも来たいの?」


ーー乗せて!

ーーわたしも一緒に飛びたい!


「ふふ。かわいい……」

ルノアが幼竜の頭を撫でる。すると、さらに別の幼竜がやってきた。


ーーずるい!

ーー私も!

ーー私も撫でて!


「えっ、ちょっと待ってください……」

次々と集まってくる幼竜たちに、ルノアは嬉しそうに目を細める。その光景を見ていたクロリナラドが、ふと口元を緩めた。

「……気に入られたみたいだね」

「はい。とても嬉しいです」

ルノアは幼竜たちに囲まれながら、満面の笑みを浮かべた。その笑顔を見つめていたクロリナラドは、なぜか胸の奥が温かくなるのを感じた。竜たちの言葉を聞くノア。

自分たちが長い間見落としていたものを、当たり前のように拾い上げていく。

そんな未来を想像してしまう。

「……ノア。まだヨーリアンの入学前だから……ゆっくり考えてね。学びたいことをたくさん学んで……ノアが頑張りすぎないようにね。ゆっくりだよ。卒業したら、竜皇国の学院においで。」

「はい」

迷いのない返事だった。

「竜共生医術科で学んで……いつか、竜たちのお医者様になりたいです。長生きですから私たちは……竜神様に感謝しながらラド様と一緒に楽しみたいです。

でも竜にたくさん魔力をあげてしまい……ちょっとラド様ヤキモチ心はないのですか?

ラド様がしていたら……ちょっとだけ私は、モヤモヤしそうです。心が狭くてすみません。」

「……そうか……少しだけモヤモヤしてたんだけどね……私のノアなのにって……でも愛し子だからね。皆竜に愛されるんだ。だから私もいつも竜に囲まれる。でもノアの方が癒しの魔力が強いからか……少し心配でもあるよ。だからこそ学ばなきゃだね」

クロリナラドは空を見上げた。

「ノアがここで学べるように環境を整えなきゃな。頑張るよ」

「え?」

「竜皇国の学院に入るなら、できることは準備はしておくよ。」

ルノアは優しい笑顔をクロリナラドに向けた。

その笑顔を見た瞬間。クロリナラドは、自分でも気づかないほど小さく息を吐いた。

 「困ったな……明日から来て欲しくなったよ……」

彼女がこの国に来る未来を、もう楽しみにしている。 そして、その日が少しでも早く来ればいいと。そんなことまで思ってしまっていた。


ーー我らも楽しみだ!

ーー早く来い!

ーー竜医のルノアが楽しみだ!

竜たちの声が一斉に響く。

「ふふ……」

ルノアは笑いながら、青く澄み渡る空を見上げた。

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