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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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329/353

329 竜皇国の竜舎での出会い

今日は、竜皇国の竜舎への正式な招待状をもらい、クロリナラドど竜舎に向かっていた。


「あぁ……大きい竜!かっこいい!……竜舎!」

ルノアの瞳が竜舎へ足を踏み入れた瞬間、ルノアは思わず息を呑んだ。

「……たくさん、いる……」

広々とした竜舎の奥には、大小さまざまな竜たちが暮らしていた。ルノアの声に反応したのか、一頭が顔を上げる。すると、それにつられるように別の竜もこちらを向いた。

「ラド様、あの子たち……」

「うん。どうやら君に興味があるらしい」

一頭、また一頭と竜たちが近づいてくる。怖がる様子はない。むしろ、鼻先をルノアへ差し出し、何かをねだるように見つめている。

「魔力を、欲しがっているのですか?」

「そうだね。竜は人間の魔力の質に敏感なんだ。気に入った魔力なら、自分からもらいに来ることもある」

「少しだけなら……」

ルノアが手を差し出すと、一頭の竜が鼻先を触れさせた。淡い魔力が流れる。竜は嬉しそうに目を細めた。

「ふふっ……くすぐったい……」

すると、待っていた別の竜まで我先にと近づいてくる。

「ちょっと、みんな順番ですよ」

ルノアが笑うと、竜たちが一斉に喉を鳴らした。その様子を眺めていたクロリナラドが、ふと奥へ視線を向ける。


「……来たね」

ゆっくりと歩いてきたのは、二頭の白竜だった。

「こちらがラグナ。僕の竜だ。そして、隣にいるのがエルナ。ラグナの番だよ」

「白い……綺麗な竜……」

白竜の鱗は雪のように白いのに、光を受けると銀や淡い青に輝いている。大きな翼、長い角、そして澄んだ紫眼の瞳。

「白竜は珍しいのですか?」

「うん。数が少ない。王族はなぜか白竜に好まれて……今全員白竜なんだ。魔力への適性が高くて、ほとんどの属性を扱える。飛ぶことも、戦うことも、結界を張ることも、治癒もできる」

「そんなに?」

「白竜は万能竜と呼ばれているんだ。ただし、何でもできるからこそ、個体ごとに得意分野が違う。ラグナは戦闘と飛行、エルナは魔力操作と治癒が得意だね」

そのとき、ルノアの頭の中に声が響いた。


ーークロリナラドは、我らを褒めすぎる。

「え?」

ーーラグナ、それは事実だろう。

「今のは……ラグナ様とエルナ様ですか?」

「え?何か聞こえたの?」

クロリナラドが驚く。

「はい。はっきりと」

ルノアは二頭を見る。

「ラグナ様が、クロリナラド様は自分たちを褒めすぎる、と」


ーー我はそのようなことを言っていない。

ーー言った。


「ふふっ」

ルノアは思わず笑った。

「僕にも念話は聞こえるんだけど、ノアほどはっきりじゃないんだ。何となく意味が分かる程度で……」

ラグナが二人を交互に見る。


ーー祝福の違いだ。


今度はクロリナラドにも、その言葉の断片が届いた。

「祝福?」


ーークロリナラドの祝福は、竜と力を分かち、共に戦うためのもの。

ーールノアの祝福は違う。

エルナがルノアへ顔を寄せる。

ーールノアの祝福は、我らの魔力を受け入れ、整える。精霊や竜の声を、より近くへ届けるもの。

「だから、私には言葉が分かるのですね」


ーーそうだ。

ルノアがエルナの首へ手を伸ばす。

「では……私の魔力が、皆さんにとって美味しいということですか?」


ーーうむ。

ーーとても。

即答され、ルノアは嬉しそうに笑った。ところが、その直後だった。竜たちの声を聞きながら、ルノアがエルナの前に立つと、白竜は静かに彼女を見つめた。

淡い紫色の瞳が、まっすぐルノアを映している。

「エルナ様?」

呼びかけると、エルナは一歩だけ近づいた。そして、ルノアの胸元へ鼻先を寄せる。

「どうしたのですか?」

ルノアがそっと手を伸ばす。触れた瞬間、エルナの身体から温かな魔力が流れてきた。ルノアの中にある精霊王の祝福が、それに呼応する。淡い光が二人の間で揺らめいた。

「……きれい」ルノアが呟く。エルナはしばらくそのまま動かなかった。やがて、ゆっくりと頭を下げる。

「え……?」

ルノアが戸惑って一歩後ろへ下がる。

「ラド様……?」

クロリナラドの表情が変わった。

「動かないで、ノアにエルナが頭を下げている」

ルノアはエルナを見る。白い頭が、ルノアの目の前まで低く下げられている。

「これは……どういう意味なのですか?」

「竜が誰かに頭を下げることには、大きな意味がある」

クロリナラドは静かな声で説明した。

「竜は誇り高い生き物だから、誰にでも自分から頭を下げたりはしない」

ラグナが隣で低く喉を鳴らした。

「認めた相手にだけ、自分の身を預ける意思を示すんだ。そう……乗り手として認めるということだ」

ルノアの瞳が大きくなる。

「私を……エルナ様の乗り手に?」

その瞬間、頭の中へ声が響いた。


ーーそうだ。

ルノアは驚いてエルナを見つめた。

ーー我は、お前を選ぶ。我が背に乗ることを許す。我が翼と力を、お前に預けよう。

「エルナ様……」


ーーそして、お前の力を我にも預けてほしい。

ルノアの目に、嬉しそうな光が浮かぶ。

「私でよいのですか?」


ーーお前がよい。

迷いのない答えだった。

ーーお前の魔力は心地よい。

ーーお前の祝福は、我の中の魔力を穏やかにしてくれる。

ーーお前の声も、心も、我は好ましく思う。

ルノアはそっとエルナの頭に両手を置いた。

「ありがとうございます」

エルナが顔を上げる。その瞬間、白い光が二人を包んだ。

「……!」

クロリナラドが息を呑む。

「これは……」

光は一瞬だけ強く輝き、やがてエルナの白い鱗へ吸い込まれていった。

「竜の誓いだ」

クロリナラドが呟いた。

「竜の誓い?」

「竜が自ら選んだ相手を、乗り手として認めたときに結ぶ誓いだよ」

その横で、ラグナが低く鳴いた。


ーーよい番を持ったな、クロリナラド。

ーーこれほど良い相手を選ぶとは。我が番ながら、見事だ。

「……そうだね」

クロリナラドが笑う。

「君にもそう言ってもらえるなら嬉しいよ」

ーーお前は昔から竜を見る目だけは悪くない。

「だけは、って何?」

ルノアがくすりと笑う。

ラグナがクロリナラドへ視線を向けた。


ーーそして、よく竜の誓いを結んだ。

クロリナラドが少し照れたように目を逸らす。

「僕だって、ラグナを選んだときはそれなりに苦労したんだよ」


ーー苦労したのは我だ。

「ラグナ!」

竜舎に笑い声が響く。

ルノアが二人を見比べる。

「ラド様とラグナ様も、竜の誓いを?」

「ああ」


ーーあの頃のお前は、今よりずっと生意気だった。

「ラグナ!」

クロリナラドが苦笑する。

エルナはそんな二人を眺めてから、再びルノアへ頭を差し出した。


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