328 家族と誕生日の夕食
夕食の時間になると、ヴァリアードが食堂へやってきた。
「ルノア、お誕生日おめでとう。また背が伸びたな……ますますエミリアに似て……。大きくなった」
そう言って、ヴァリアードは一冊の本を差し出した。
「これはエミリアがよく自分で図柄を書いて刺繍していた図柄集だよ。
かなり珍しい図柄もあったから……ほら、ラルフがいつも使っているハンカチの図柄も、ここの中にあるんだ。また相変わらずエミリアの落書き付きだから。楽しんで刺繍してね。」
そして、もう一つの包みをルノアへ渡す。
「私からは、学院で持ち込みが許されている白いハンカチ用の布だよ。女の人は魔刺繍の授業もあるから、良かったら使っておくれ。装飾品やドレスも駄目だとクローが言うからな。本当残念なんだが……
あと、これは自宅用のポーション作りの魔道具器具一式だよ。学院では必要がないけど、自宅にあれば練習も出来るからね。学院と同じ物を揃えたから、これからの学院生活を楽しむんだよ。
渡したユキライアナ侯爵家の魔導の本は全て習得済と聞いてるから、竜皇国の三兄弟と同じく魔法陣の短縮も終わったんだな。
うん。今年はかなり面白い年になりそうだな。クローも心配だと思うが見守ってくれ。」
「あぁ……分かってる。学生時代にしかできないことばかりだからな……。心配は尽きないが、福様も付いてくださっているからね。ノアなら大丈夫だと思っているよ。」
ルノアを優しく見つめた。
続いて、父からの贈り物が渡された。
一つは、自宅で使うための装飾品がついた魔力ペン。
そして、もう一つは、手紙を開くための小さな手作りの書簡刀だった。
刃には、悪意を返す防御の呪いが施されている。
「大切な手紙を開く道具だからな。誰かが悪意を込めて仕掛けたものなら、その悪意を本人へ返すようにしてある」
そこにはルノアの名前が
小さな澄んだ水色のお父様の魔石で綴られていた。
「ああ……きれいな魔石……ありがとうございます、お父様」
福ちゃんとサラたちからもそっと包みを渡された。
「福はね。福の羽で作った髪がざりだよ。サライとサラクに手伝ってもらって。
サラたち皆からの精霊石。これはちゃんとクロリナラドに許可を取ったからね。クロリナラドとお揃いでクロリナラドは胸飾りにした。クロリナラドのお誕生日は来月だからその時に渡すね。」
サラ、サライ、サラさん、サラクも今日は皆揃っていた。
代表してサラが言った
「ルノア様。お誕生日おめでとうございます!
全員でちゃんと共有してお姿見てますから……
あまり無理をなさらずに安全に学院生活を楽しんでくださいませ。」
白羽を銀色と薄緑の刺繍糸で繋ぎ薄緑の澄んだ精霊石が静かに光っていた。
「福ちゃん。サラたち本当にありがとう。皆も体に気をつけて。これからも、そばにいてくださいね。」
たくさんの愛情に囲まれた、十一歳の誕生日。
母からは、遠い場所から変わらぬ愛情を。
家族からは心のこもった品をルノアは、大切に胸に抱いた。
マクアリール公爵家の家族も、穏やかに笑っている。
そのすべてが、ルノアの小さな胸に、確かな幸福として積み重なっていった。




