32 運命の番の魔力の匂い
「はじめましてルノア嬢。私は竜皇国第二王子クロリナラドだ。小さいのにしっかりとご挨拶出来たね。
えらいね。驚かしてしまったかな?魔力が苦しい?
それとも私が怖いのかな?涙の理由を聞いても大丈夫?」
初めて聞いた優しい声に、ますます感動して涙が止まらなくなってしまった。
ヴァリアードがルノアに近寄ろうとしたが、ラルフが首を横に振って止めた。
「あぁ……申し訳…ございません…ただ…懐かしく…温かい気持ちが…湧いてきて…クロリ…ラド…クロリ…」うまく話せなかった。
優しい笑顔で笑いながら言った。
「言いにくいね。ラドと呼んでおくれ。大丈夫だからね」
「あぁ…本当に…申し訳ございません…恥ずかしい…です。私は、竜人皇族の方を…愛称呼びする…
立場ではございません。
怖くないです。私の魔力…も大丈夫ですか?苦手と…思う方もいると…ヴァリー伯父様に…
教えて貰ったのですが…」ルノアは一生懸命呼吸を繰り返し、肩を上下に動かした。
「あぁ…しっかりと礼儀作法も勉強もしているんだね。大丈夫だよ。凄く優しい魔力だよ。
少し試しても大丈夫かな?私がどれくらいの魔力を解放してもいいか、試さないと分からないから。
福様もよろしいですか?」
「クロリナラド!来るの遅い!ヴァリーが生意気だから立場をしっかりと教えて!ルノア〜大丈夫?
分かるんだね。ルノアの運命の番がクロリナラドだよ。直ぐにわかったでしょ。
会いたかった人に会えたと思えた?ほら泣かないの。クロリナラドも早く抱きしめてあげて。」
「少し待ってください福様。魔力を少し解放しますね。」
「ルノアなら大丈夫だよ全開で早く試して」
殿下の魔力の匂いが部屋一杯に広かった。
あぁミントのような…スッキリとした香りの後ラベンダーのような心地よい眠る時に使っていたアロマのにおいだ。
「スッキリとした…優しいお花の匂いに包まれて…安心いたします。
もうお昼寝をする年齢ではありませんが…でもこの中でお昼寝したい…です。」
蕩けるような笑顔でルノアをそっと抱きしめた。
「大丈夫かい?ルノアと呼んでも?」頭を上下に何度も頷くだけだった。
「あっ、ヴァリーとお父様結界間に合った?」
福ちゃんの軽い言葉に、伯父様とお父様は苦しそうに目を瞑り肩で呼吸をしている。
桁違いな魔力の波動を感じ結界も張ったが保たなかった。
そんな中で抱きしめられて、娘が幸せそうに笑っていて…
あぁ…もう嫁にいってしまうのかと寂しい気持ちと、複雑な感情に、強い魔力にも当てられ苦しく感じた。




