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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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31/442

31 二年会いたくても会えなかった人

執務室に、コンコンとノックの音が響いた。


「どうぞ」


ラルフが声を掛ける。


扉が開き、ルノアが入室した。


そして、入ってすぐに、一人の男性と目が合った。


体格の良い白銀の髪。

頭には竜の角。

そして、こちらを見つめる大きな紫眼。


その姿を見た瞬間、ルノアは、右手の掌を左胸に当て、太腿の近くまで深く腰を下げた。竜皇国の正式な礼だった。




「竜皇国において至高たる高貴なお方に目通りを賜り、誠に光栄に存じます。

カーナリアン王国、マクアリール公爵家長女、ルノアでございます」


ルノアはそのまま、返答を待った。


「頭を上げよ」


静かな声が響く。


ルノアはゆっくりと頭を上げた。


そして、大きな紫眼を見つめる。


――分かる。


目の前にいる、この人が誰なのか。


何度も、何度も、何度も。


リセットを繰り返して、それでも会いたいと願い続けた人。


田中祐希として二年間もの時間を費やしても、一度も会うことができなかった相手。


前世で、新しいWEBゲームの案内画面を見た時のことを思い出す。


画面の右上には、悲しそうな顔をした彼がいた。


『私に早く会いに来て。ずっと待っている』


そんな文章は、一行たりとも表示されていなかった。


ただ、彼の表情を見た瞬間、なぜかそう言われたような気がした。


まるで、本当に自分を待っているように見えたのだ。


だから私は、勝手に決めた。


この人が、自分の運命の相手なのだと。


それから、ひたすらゲームにのめり込んだ。


会いたかった。


どうしても会いたかった。


けれど、攻略したくない相手まで攻略しなければ、必要な情報を手に入れることができなかった。


課金することもできない。


時間だけが、ただ過ぎていった。


そして、最後に残された手掛かり。


攻略情報の書き込みには、こうあった。


――悪役令嬢ルノアが参加する夜会に、彼が現れる。


けれど、ルノアに近づきすぎれば断罪の時期が早まり、魔界の森ENDへ進んでしまう。


反対に、遅すぎれば運命の相手候補たちがルノアの断罪を始めてしまう。


実際に、彼と出会えたプレイヤーは少なかった。


それでも、書き込みにはこう記されていた。


会う時期と、声を掛けるタイミング。


その二つさえ揃えば、会える。


何度も試した。


何度もリセットした。


それでも、私は最後まで彼に会うことができなかった。


――なのに。


今、その会いたくて仕方がなかった人が、目の前にいる。


実物の彼が、確かにここにいる。


そう理解した瞬間、ルノアの瞳から涙が零れた。


一度流れ始めた涙は、止まらなかった。


会いたかった。


ずっと、会いたかった。


前世では、どれだけ願っても届かなかった。


それなのに今、自分はこの人の目の前にいる。


ルノアは、胸の奥から込み上げてくる感情を抑えることができなかった。


そして心の中で、ただ一人の存在に深く感謝した。


――私を、この世界へ転生させてくれた誰かへ。


ようやく、会えました。


ずっと会いたかった人に。


ルノアは涙を流しながら、目の前の紫眼を見つめ続けていた。


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