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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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310/349

310 カーナリアン王国「年始の祝賀」その後

カーナリアン王国の王城は、まるで蜂の巣をつついたような忙しさに包まれていた。


東西南北、四大陸それぞれ五ヶ国。

計十九ヶ国から、カーナリアン王国へ次々と親書が届いていた。

これまで竜皇国は、世界のどの国とも深入りしない、不干渉の国だった。

しかし今回、竜皇国第二王子とカーナリアン王国のマクアリール公爵家ルノア様との間に『運命の番』婚約が結ばれたことで、両国は世界で唯一の『友好国』となった。

さらに、マクアリール公爵家領と、世界最大のタスワンズ湖を結ぶ『不可侵地域条約』まで締結された。

その知らせが世界中を駆け巡ると、それまで前王の不祥事を理由に距離を置いていた国々から、国交の再開や訪問を望む親書が一斉に届き始めたのだ。

ロバート国王は、目の前に積み上げられた親書を静かに見つめていた。


世界二十ヶ国の国王とは、以前の臨時全世界魔法会議ですでに面識がある。

そのとき、ラルフ公爵から言われた言葉を思い出す。

「これから国を支えるなら、できるだけ多くの国王と直接面識を持っておいた方がいい」

当時は、宰相としての助言だと思っていた。

だが、今になって、その言葉の意味がよく分かる。

先王が罪に問われて退陣し、王位継承権を持つラルフ公爵が体調不良を理由に王位を辞退した。

そして、その後をロバートが継いだ。

さらに今、竜皇国との唯一の友好関係が成立した。

一方、娘であるルノア様が『竜神の愛し子様』であるという事実は、魔法契約書によって厳重に秘匿されている。

世界各国が知っているのは、あくまで竜皇国第二王子との婚約と、それに伴って両国が友好関係を結んだという事実だけだ。

だからこそ、ロバートは届いた親書を慎重に読み進めていく。

我が国と対等な立場で向き合える国か。

それとも、こちらにとって有利な条件を提示し、誠実な関係を築こうとしている国か……

竜皇国との関係だけを利用しようとしているのではないか。

タスワンズ湖や、竜の素材を狙っているのではないか。

あるいは、過去の非礼をなかったことにして、利益だけを求めているのではないか。

一つ一つ、見極める必要がある。ロバートはふと苦笑した。

「……やはり、ラルフ公爵は凄いな……」

やがてロバートは、最後の親書を閉じる。


そして国王として、冷静に判断を下していく。

各国から届く書簡への対応、外交使節への返答、

そして今後の国交についての判断と、次から次へと案件が持ち込まれた。

王宮の文官たちは休む暇もない。

それにもかかわらず、王族たちの様子は驚くほど落ち着いていた。

ロバート国王は、届けられた報告書に目を通しながら淡々と指示を出していく。

「この件は予定どおりに進めよ。こちらの要求については、急いで返答する必要はない」


ハルド王太子もまた、山のように積まれた書類を前にして眉一つ動かさない。


マクド宰相に至っては、各国から届いた申し入れをすでにいくつかの分類に分けていた。


彼らは、何も知らずにこの事態を迎えたわけではない。

いつか、このような日が来る可能性。

世界各国がどのような反応を示すのか。

そのとき、カーナリアン王国がどう動くべきなのか。

そのための準備は、ずっと前から整えられていた。


「こちらは友好的な申し入れです」

ナイド外相が、一枚の書類を取り上げる。

「そして、こちらは……前王の不祥事を理由に、これまで停止していた国交を再開してやろう、という内容です」

その瞬間、室内の空気がわずかに冷えた。

ナイド外相は書面を最後まで読み終えると、静かに机の端へ置いた。

「こちらの国も、除外しましょう」


「理由は?」

ハルド王太子が尋ねる。


「国交の再開を、対等な交渉ではなく、我が国への恩恵として提示しております」

ナイド外相は淡々と答えた。

「前王の不祥事については、我が国としてすでに必要な責任を果たしております。それを今になって持ち出し、自国の都合で国交再開をちらつかせる国と、急いで関係を結び直す必要はありません」

その声音に迷いはなかった。

ナイド外相は、すぐに次の書類へ手を伸ばす。

「こちらも同様です。条件付き」

一枚。

「こちらは見返りを要求しています」

また一枚。

「こちらは過去の件を盾にしておりますので除外」

そして、次の書類へ目を落とす。

「こちらは……今後の動向を見てからでよいでしょう」

一枚。また一枚。

各国から届いた書簡が、ナイド外相の手によって静かに仕分けられていく。


「……ずいぶんと容赦がないな」

ロバート国王が小さく笑った。


「必要なことをしているだけですよ。皆同じ意見ですよね?」

ナイド外相は涼しい顔で答える。

「我が国は、もう相手の都合に振り回される必要はありません。これからは、我が国にとって必要な相手かどうかを、こちらが判断する番です」


その言葉に、ハルド王太子もマクド宰相も異論を唱えなかった。

むしろ当然だというように、次の案件へと目を向ける。

王城の執務室の外では、いまだに蜂の巣をつついたような騒ぎが続いている。

しかし、その中心にいるカーナリアン王国の中枢だけは、驚くほど静かだった。

すべては、ずっと前から備えていたからだ。

そして彼らは知っている。

この国がこれから迎える変化は、これまでの常識では到底測れないものになる。

だからこそ……。

慌てる必要など、どこにもなかった。

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