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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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309/349

309 アーシャ愛幸国の末路

竜皇国王太子妃ユキノアは、かつての祖国「アーシャ愛幸国」の最期を思い、今も深く心を痛めていた。


ユキノアにとって、アーシャ愛幸国は理不尽に満ちた国だった。

母が天に還ってからは、国を守るための結界をユキノアが一人で張り続けていたのだ。

そもそも、一国の安全を一人に頼り切るなど本来はあり得ない。

ユキノアにはそれを可能にする莫大な魔力があったが、国を守る仕事は本来、王家が担うべき義務だった。

ユキノアの一族はその結界を代々命がけで維持してきたが、その代償はあまりにも大きく、一族には重い負担と全員が短命という悲劇が背負わされていた。

そればかりか、ユキノア自身も当時は無能な王族の婚約者にされ、最後にはその男から「真実の愛を見つけた」と公衆の面前で婚約破棄を突きつけられたのだった。


しかし、その横暴こそが、一族を縛り付けていた呪縛を解く鍵となった。

婚約破棄によって、ようやく国と一族との契約が正式に解消されたのだ。

その際、国が支払うべき数千年分の対価として、地下の金脈や資源がすべて枯渇するまで現物で差し押さえられた。


守り手を失い、富をも失った王家とその国の末路は、悲惨だった。

王家は結界を縮小し、魔壁を作って必死に防衛を試みたものの、困窮し不満を募らせた民衆によって討ち取られてしまう。

従来の国家体制は完全に崩壊し、学問も統治の知識も持たない「ただ魔力が強いだけの平民たち」が力で権力を掌握した。

彼らは、国がこれまで妖精様や精霊様や聖女様の力によって奇跡的に生かされてきた歴史を知ろうともしなかった。自らの浅はかな力だけで世界が回っていると錯覚し、恩人である彼らを見放し、虐げ続けたのだ。

だが、人族の傲慢さに反して、世界の理は残酷なほど正確だった。

妖精様や精霊様、そして聖女様に見放された国からは、ゆっくりと恵みが失われていった。次代の聖女様は生まれず、大地はだんだんと干からび、作物はわずかしか実らず、飢餓と疫病が人々を襲う。

さらに決定打となったのは、国防の要であった魔壁の崩壊である。

知識のない統治者たちは、魔壁を維持するための魔力計算も防衛計画も立てられない。

押し寄せる魔物の大群を前に、ただ力任せに叫ぶばかりで、防衛策はまったく機能しなかった。

「自分たちは強い」と過信していた平民たちは、飢えに苦しみ、仲間割れを起こしながら、魔獣に蹂躙されていった。

魔力が強いだけの傲慢な者たち、精霊様や妖精様、聖女様の犠牲の上に胡坐をかいていた者たちに、救いの手は二度と差し伸べられない。

かつて栄華を誇った人族の国は、自らの愚かさと不誠実さの報いとして、誰に見取られることもなく、跡形もなく滅び去った。


「ユキノア。自分を責めるのはもうやめなさい。君は十分すぎるほど尽くした」

ルディノールは思い悩む彼女に語りかけるように諭した。

「本当にこの結果で良かったのかと、君が長い間、陰ながら支援を続け、苦しんでいたことは、誰よりも私が知っている。

だが、これはあの国が責任を果たさなかった結果の末路だ。私たちはただ手をこまねいていたわけではない。

何度もあの国へ、考えを改めるか、さもなくば国を出るよう助言の使者を送った。そして何より、弱者を、君の強い願い通りにずっと助けてきた。

私たちがやれることは、すべてやった。だからもう、自分を責めないでくれ」

ルディノールはそう言って、彼女をそっと抱きしめた。


「ほら、この手紙を読んでごらん」そう言って、たくさんの手紙を渡された。

「まぁ……懐かしい……。聖女様から……それに、子供たちからも……」

手紙には、隣国に無事たどり着いた彼らが、今は竜神教会で次世代の聖女たちの教育に携わっていることが記されていた。

ユキノアが親を亡くした子供たちに文字や算術を教える書籍や、女の子たちには刺繍の技術を支援したおかげで、みんなが無事に職に就けたこと。

数少ない神官たちも、新しい教会で再出発を果たせたこと。

精霊様や妖精様たちも、それぞれ無事にタスワンズ湖へ向かったこと。

『ユキノア様が支援を続けてくださったおかげで、今の私たちがあります』

便箋には、そんな溢れんばかりの感謝の言葉が綴られていた。

『これからも、せめて自分が助けられる人だけでも救いたい。私もユキノア様のように、支援を続け、命ある限り感謝の心を持って、誠実に生きてまいります』

手紙は、そう締めくくられていた。ユキノアは、ようやく安堵のため息をそっと吐き出した。

「私のしたことは、少しでもお役に立てたのでしょうか……。アーシャ愛幸国からいただいた対価はすべて、その民たちへとお返ししてきましたが……これからも、私にできることをしていきますね。

ルーノ、心配をかけてごめんなさい。それから、ありがとう」

ユキノアはルディノールの手にそっと自分の手を重ね、優しく微笑んだ。

短編 「真実の愛ですか?おめでとうございます」

竜皇国王太子妃ユキノアのお話です。

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