296 運命の番の発表の時期
王族の皆様のお話が落ち着き、ラルフは表情を引き締め、国王陛下へと向き直った。
「陛下。まずはクローとルノアの、二人が『運命の番』であるという真実を、どの好機に広く国内外へ公表すべきか、その時期をご相談したく存じます」
国王陛下は深く頷き、言葉を待った。
「ラルフ。もうリアムと呼んでくれ。ほら……敬語もなし。今は家族だけじゃ。ヴァリアードもな。お前は大丈夫そうだな。」
「分かりました。……リアム。よろしく頼みます。」
「リアム。俺はもう呼んでるだろ?」ヴァリアードが笑った。
リアムが話し始めた。
「闇ギルドからは、マクアリール公爵領、タスワンズ湖には今後一切手を出さないとは謝罪の親書を貰ったがな……現状、タスワンズ湖には精霊協会ならびに魔術協会の双方から『立入禁止』の触れを出していても、それでもなお、竜の素材を求めて境界を越える冒険者が後をたたん。
まぁ近づけないがな……この不穏な動きを牽制するためにも、公表の場が必要不可欠だな。
ラルフの草案を元に、我が国はカーナリアン王国と新たに友好を交わし、タスワンズ湖を中心としたマクアリール公爵領全域を、他国が侵すべからざる『不可侵地域』とする条約を結んだ。
その上で、我が竜皇国から防衛のための十分な兵力と補助をそちらへ送ること……というか、もう送ってあるから大丈夫だ。」
その言葉に、ラルフは深く目を見張った。
「もう……。結ばれていたのですね……」
「あぁ……。ラルフから貰った手紙の朝にな。すぐにカーナリアン王国へは親書を送った。
というよりも、竜に手を出すやつを管理できていない現状と失態を叱責したかったがな……。竜皇国に平気に物が言える奴はリオンブラン王国だけだな。あそこは、遠慮がなさすぎだが……。」
国王陛下はどこか悪戯っぽく、しかし力強く口元を緩めた。
「我が国の原則は不干渉だ。しかしな、第二王子であるクロリナラドの『運命の番』が生まれ育った生家を、そして愛すべき家族の領地を守ることは、祖父として、また国を統べる王として当然の義務ではないか?」陛下の迷いのない英断と、家族を想う温かい言葉。
その場にいたルノアとクロリナラドは互いに顔を見合わせた。
ラルフもまた、この上ない安堵と共に、深く頭を垂れるのだった。
国王陛下は真っ直ぐにクロリナラドを見据え、威厳に満ちた声で告げた。
「クロリナラド。お前が国王代行として、カーナリアン王国へ赴くのだ。
ラルフ、カーナリアン王国のロバート国王からは二人の公表については、来月に自粛があける『年始の祝賀』の夜会でと提案を受けた。
全貴族と次代を引き継ぐ者が集まるからとな……。
そこでだな。クロリナラドしっかりと魔力を解放して公表しなさい。ルノアもカーナリアンの貴族らがしっかりと話を聞ける倒れないように、ギリギリを維持させてくれ。
魔力の減った者がカーナリアン王国は、多くなったからな。鍛えなければどんどん退化していくことを知らせるにもいい機会だ。」
国王陛下は深く頷き、力強く微笑むのだった。




