277 結果発表
ついに運命の合格発表が、魔術学院の入口に張り出された。
圧倒的な実力を見せつけた上の兄二人、フォルとジュストは、文句なしの最優秀の格付けである「特級クラス」で合格。
一方、兄たちより三学年下で、これまでの遅れを必死に取り戻そうと食らいついたサンセールは、なんとか合格基準の端に滑り込み、「下級クラス」をもぎ取った。
「やったな、サンセール」「……はい、兄上! 本当に良かった……。本番の試験も、合格してみせます」
ぎりぎりの合格ではあったが、自分の努力でつかんだ結果だ。
これで、魔術学院の本試験に進む資格を正式に手に入れた。
サンセールは受験票を強く握りしめ、これまでにない達成感に胸を震わせながら、次の戦いへ向けて静かに闘志を燃やしていた。
しかし、合格の報せを受けたマクアリール公爵家は、お祝いの雰囲気ではなく、緊張感に包まれていた。
ヴァリアードとラルフから、次の課題を突きつけられたからだ。
そこには、彼らの弱点や、試験で間違えた部分が、容赦なく赤文字でびっしりと書き込まれていた。
本試験に向けた、問題点の「徹底的な洗い直し」が始まったのだ。
「サンセールは帝国の歴史と法律の記述が壊滅的です。このような生ぬるい知識では、本試験の筆記で確実に落とされます。魔法の統御は合格点ですが、騎士団長に言われていた通り残りの魔法陣をしっかりと覚えて下さい。」
ラルフの指摘が飛ぶ。
「いいですか。今回の試験は、優秀な平民の方々を見つけるための基礎的な内容でした。本番は内容ががらりと変わり、本当のこれまでの勉強の質を問われます。
点数によって、学院で学べるクラスが違い、クラスにより内容の深さや教科書も違ってくるのです。
フォルとジュストは次も特級クラスでの合格を。
サンセールはクラスはどこでもいいですから、とにかく『合格』だけを目指してください。
入学さえすれば時間はあります。今は時間が足りないだけです。いいですね。
兄たちに無駄な感情を向ける時間はありません。努力すれば、必ず合格します。時間がありませんから今日から開始です。気を引き締めていきましょう」
その言葉に、三兄弟は机にかじりついて猛勉強を始めた。
特にサンセールには、絶対に合格しなければならない理由がある。
番と会うためにも、番の隣に立つためにも、合格しなければならない。
最強の「シルバーライオン」が率いる獅子族の国。リオンブラン王国へ婿入りし、ルル姫の結婚相手になると誓ったのだ。
「ただ魔力が多いだけでは、あの厳しい実力主義の国で、王女の伴侶として国を支えることなんて絶対にできない。頭脳も必要だ。」と、彼は深く悟っていた。
ラルフ様からも「合格だけでいい」と言われたサンセールも含め、今の彼らの目標はただ一つ、全員での合格だ。
それぞれの弱点を完ぺきに克服し、彼らは、次の本試験に向けて、その知性とやる気を完全に研ぎ澄ますのだった。




