250 ヴァリアードの懸念
ヴァリアードは顎に手を当て、少し目を閉じ下を向いた。ルディノールとリアムに視線を向け静かに話しはじめた。
「何点か懸念がある。三人の王子たちに優秀な執事長をつける慣習に意見はない。
完全に道を踏み外さない防波堤にはなるしな。
だが、今の『崖っぷちの絶望』が薄れてしまう。
真面目で優しいフォルは、『まだ自分は見捨てられていないのではないか?』と自発的な思考を止めるかも。
サンセールは脳筋で甘ちゃんだから。『うるさいのがきた!又何かさせるのか?そんなに俺は駄目か?』と反発か、自虐か、逃走か、だな。
逆に、勘の鋭いジュストは『なぜ継承権から外された自分に執事長が付く?実はまだ王位継承権の道が残っているのか?』と正しい勘違いをするな。
逆に見張られ完全な失脚を狙われているのかと裏読みもする。王家に不信と苦痛と寂しさで悪い怒り…とならないか心配だ。
敵認定…警戒するだろうなジュストは。あれは危機で覚醒した。探究心が高いし自分の不安を一番に改善しないと気がすまない執着質な性格が厄介だ。
ジュストはもう自発的な考えになってる。
ヨーリアン帝国の留学も目標設定をしたから短期間で資格を得てる。執事ではない者の寄り添いの方が、懸念なく養育者としては適しているように思う。」
リアムが答えた。「あぁ…。そうだったのか…ジュストはもう…なるほど。セバス。ヴァリアードに話して良い。伝えなさい。」
セバスが答えた。「ご心配ありません。私の息子達は殿下達とは一切の面識がなく名前を知りません。
なぜか?ルディノール殿下が自分達で子供を育てると決められましたから…。
あの日、ルディノール殿下との面談が無くなりました。
竜皇国の家族史に基づき陛下が準備だけは怠るなと、私達に仰られました。
侯爵家も慣習に基づき面識なく其々のやらなければならない準備をしながら、隠密として側についておりました。
何人にもなれます。私達は…。ご提案させていただけるのであれば…。
まず来月はじめのヨーリアン帝国の魔術学院の魔導適性考査を平民の皆様と同じ試験会場で受けさせた方が良いです。
その結果が次の試験を受けるか来年にするかの平民の皆様の判断基準点となります。
王族、貴族は学園の推薦があれば免除ですから…。改めて自分達の立場を知ることになります。
そこの試験会場で私の三兄弟と自然と面識を持ち、殿下達が入学出来ればそこから魔術学院の厳しい学友として側で鍛えます。
合格できなかった場合は、次の試験の一年後までは同じ落ちた者同士、平民と同じ下働きの職業を斡旋しながら鍛えます。
学院卒院資格がなければ王城内での仕事にはつけませんから。平民の皆様と市井の仕事をさせるべきです。
それまでは今まで通り隠密として護らせます。
まず学力、魔術確認には明確な数値と結果が必要です。」




