245 王弟ヤヌスの謀反
その様子をリアムとルディノールは別室で映像で見て聞いていた。
「…残念ですね…父上。大丈夫ですか?」
「あぁ…。本当に残念だ。サラが預かった魔力封じだが…買った相手もサラで、渡したのもサラで、凄いなサラ達。大活躍だ。負担が多いが大丈夫かサラ?」
「はい。イヤーカフのおかげでかなり楽になってます。今は殆ど追跡もありませんし、隠密の方が優秀で業務が減りました。ありがとうございます。」
「そうか、良かった。ルディノール。
ヤヌスも私達と同じ古代竜で魔力量も多いはずなのに…。魔道具門では、サンセール以下だったな。
残酷だな…数字化は。孫達もヤヌスになる可能性があったんだな…。」
リアムがまた。映像に目を向けた。顎に手をやり、少し考えたように話しはじめた。
「王妃ともよく話すようになったんだが…。ルディノールとクロリナラドは本当に正しく育ってくれた。
努力して、苦労して、責任を一緒に背負ってくれて、本当に感謝しているぞ。
三兄弟の事をルディノールとユキノアが責任を感じているのは分かっているんだが…少しだけ聞いてくれ。
三兄弟は、お前達とは違う気質があった。
決してお前達の愛情が足らなかったわけではない。
子供達の環境は、悪縁も良縁もあったはずだ。親が監視をしても防げない。
その選択の責任はお前達ではなく、子供達自身にある。
お前達が育てることに手を抜いたからではないんだ。
手を尽くしても、思い通りの結果にはならないのが、子育ての難しいところだ。
今は見守りの時期だが、でも私は途中経過を聞くたびに思っている。
お前達のかけてきた愛情や真面目さの種は、子供の根底に必ず残っていると感じるんだ。
私も疑いながらも、実はヤヌスのことを信じて見てきた。いつか気がついてくれると。
だがまた残念な結果になった。苦しいが、長い時間をかけて、今度は厳しく見守るつもりだ。
こんな年数がたっていても、私は諦めていないんだ。諦めきれないのだ。
だからルディノール。お前達も諦めなければいいんだ。ユキノアにも話して欲しい。
苦しくても時間をかけ、見守り待つことも、私達の出来ることの一つだ。
いつか必ず隣に立ち、同じ責任を背負ってくれると信じ待てばいいんだ。
私も王弟を民から見ても正しく、厳しく、長い時間がかかっても、今は反省と責任を果たしてもらう。良いか?」
「はい。分かりました。そうでしたね…。私達は長命の古代竜でした。気持ちに余裕がなく…期待していた分落胆も大きすぎて…時間があることを忘れていました。
ヨーリアンの学院入学も本当は、慌てなくてもいいのですね。
短期間で結果を出すこと…私達が理想とする王族の姿を押し付けているのですね。
自分達が安心する為に…。誰と比べて…自分達と子供達を比べて、ルノアやルル姫を見て比べて。
十歳で大変優秀ですからね。
気持ちがこうでなければと…気が急く。早く物事を進めたくて落ち着かない。焦燥感に駆られてしまっていました。どうにかしなければと…理想と現実に…悩みが尽きませんでした。
本人の気質や自分達で考え行動、判断させることも大事な経験でしたね。
子供達が自ずと学び、自分に何が不足か考え、行動する。
自分達の人生や目的は、これからも自分で考え行動しなければならないのに…
古代竜は長命で、時間は長いのですから…
肩の力が抜けたようです。父上。
ご心配をおかけしてすみません。心が楽になりました。」




