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転生したのでレアアイテム集めたい…えっヒロイン退場してしまいました  作者: 5H


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24/441

24 測定不可能

「…………………………」


「…………………………」


二人とも、完全に絶句していた。


そんな二人を、ルノアが不思議そうに見つめる。


少しだけ左に首を傾けて、俺とラルフを交互に見ていた。


――褒めて。


――褒めてほしい。


そんな無言の圧が、ひしひしと伝わってくる。


ラルフが、ようやく口を開いた。


「凄いな、ルノア……」


そして、すぐに心配そうな顔になる。


「体調はどうだい? 気持ち悪くなったりしていないかい? 頭が痛かったり、ふらふらしたりは?」


「はい、お父様。大丈夫です」


ルノアは素直に答えた。


「全部、魔力を使ったと思うんですが……魔空間のタスワンズ湖から、自分の魔力が水流みたいに体へ流れてきました」


「タスワンズ湖から……?」


「はい。湖が半分くらい減りました」


「…………半分?」


ラルフの声が固まる。


「はい。でも、たくさん魔力が戻ってきたので、体が楽になりました。

やっぱり、魔力を貯めすぎていたみたいです」


俺とラルフは顔を見合わせた。


どう説明すればいいのか分からない。


俺は困惑したまま、ラルフに念話を送った。


『ルノア。多分、ラルフも凄く驚いていると思う。どう伝えたらいいのか……何と言えばいいのかな』


『俺も分からない……』


ラルフが頭を抱えるようにして、ルノアを見る。


『どうしようか。ルノアはどう思う?』


ルノアは二人の困惑した顔を見て、不安そうに尋ねた。


「……えっ?

何か、まずいことがありましたか?」


ラルフは下を向き、顎に手を当てて目を閉じた。


しばらく考えたあと、静かに顔を上げる。


「ルノア。ヴァリー……」


そして、覚悟を決めたように続けた。


「うん。全部、包み隠さず話そう」


「……はい」


「かなり、まずい状態だ」


「だな」


俺も頷いた。


「まず、この糸巻きだ」


俺は、ルノアが作った白銀の糸巻きを見つめた。


「世界中を探しても、こんなに細い魔力糸を作れる人間は、まずいない」


指先で糸巻きを確認しながら続ける。


「この量だって、俺なら細縄にするだけで三年はかかる。

いや……無理だな。

途中で魔力が尽きて死ぬ」


「えっ……」


ルノアが目を丸くする。


「それに、さっき『もっと硬くできる』と言っただろ?」


「はい」


「それも、普通ではあり得ない。

さらに問題なのが付帯効果だ」


俺は三つの魔石を見る。


「五種類の付帯効果なんて、まず存在しない。

普通は一種類。多くても二種類だ」


俺は自分の手を見せた。


「ほら。俺も四つ指輪をつけているだろ?

それぞれ別の効果を持たせている」


「はい」


「それを、ルノアは一つの魔石に全部入れた。

しかも三つ同時に、ほとんど間を置かずに作った」


俺は頭を抱えた。


「『イメージすれば、何でもできる』なんて言っていたが……それができる人間自体、まずいない。

俺だって、無理をすれば四つくらいは付けられるかもしれない。

ただし、そのあとしばらく起き上がれない」


ルノアは、目をぱちぱちさせている。


ラルフが今度は、完成した魔石を手に取った。


「そして、この魔石だ」


じっと見つめる。


「ランクは……測定不能になると思う」


「測定不能?」


「そうだよ」


ラルフは魔石の色、透明度、軽さ、込められた魔力量を一つずつ確認していく。


「色も、魔力量も、軽さも、透明度も……すべてが今の基準から外れすぎている。

今ある魔道具では、正確な数値を出せないだろう」


そして、三つの魔石を並べた。


「それに、同じものを三つ連続で作った。


糸巻きと合わせれば、合計六個だ。


こんなことも、普通はあり得ない」


「…………」


ルノアは、ようやく少しだけ不安そうな顔になった。


ラルフは優しく娘を見る。


「それから、もう一つ。

ルノアは『魔力を全部使った』と言ったね」


「はい」


「普通の人間なら、魔力が完全になくなった時点で命に関わる。

魔力切れは、そのまま命を失うことにつながるからだ」


「……え?」


「それなのにルノアは、魔空間から魔力が水流のように戻ってきたと言った。

そんな現象は、俺も聞いたことがない」


ラルフが俺を見る。


「ヴァリー。できるか?」


「……ああ」


俺は少し考え、魔空間へ意識を向けた。


「今、やってみる」


魔空間にある魔力へ意識を伸ばす。


そして、自分の体へ引き込むイメージを作った。


すると――。


「……できた」


俺自身が驚いた。


「魔空間から魔力を引き込める。

これは……新しい魔空間の使い方だ」


ラルフも驚いた顔をする。


「もし魔術学会で発表したら……」


「歴史が変わるな」


俺は苦笑した。


「魔力タンクの仕事も、かなり減るかもしれない」


そしてルノアを見る。


「ルノア。これは学院で発表したほうがいい。

この発見だけでも、大きな研究成果になる」


「はい」


ルノアは頷いた。


ラルフが、ふと何かを思い出したように言った。


「……いや、最初の話に戻ろう」


「最初?」


「ヴァリーの魔導初期本だ」


俺は頷いた。


「そうだった」


ラルフは本を思い出しながら話す。


「そこに書かれていた魔法は、詠唱なしでは使えない。

少なくとも、俺たちはそう思っていた」


「エミリアも、詠唱を短くすることはあったけど、声には出していた」


俺も続ける。


「俺もラルフもそうだ。


どれだけ短くしても、詠唱そのものは必要だった」


「無詠唱ができるのは、竜人皇族の方くらいだな」


「頭の中で魔法をイメージすれば発動できる、という話を聞いたことはある。

でも、実際に試した人間も、成功した人間も知らない」


俺はルノアを見る。


「それをルノアは、お母様の絵を見ながらやったというのか……」


「はい」


「なら……」


俺は自分でも半信半疑のまま、魔法をイメージした。


水。


水が出る。


ただ、それだけを頭の中で強く思い浮かべる。


「…………」


何も起こらない。


さらにイメージを強くする。


「……ああ」


水が、手のひらから溢れた。


「できた」


思わず声が漏れる。


「水が出たぞ……」


だが、次の瞬間。


「……うっ」


頭に鋭い痛みが走った。


「痛っ……」


俺が額を押さえる。


「ヴァリー!」


ラルフが慌てる。


その瞬間、ルノアがすぐに俺のところへ駆け寄った。


「伯父様、大丈夫ですか?」


そして、さっき作ったばかりの魔石を一つ、俺の手に握らせる。


「これを持ってください」


「ルノア……これは?」


「元気珠です。

お父様と伯父様が元気でいられるように作ったんですから」


俺は手の中の魔石を見つめた。


「…………」


さっきまでの頭痛も忘れてしまうほど、胸が熱くなった。


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