237 フォールとマール 4
「おぉ……竜神様の愛し子様か!はじめまして。
クロリナラドの祖父で、先王のフォールだ。
私の番は、お祖母上と呼ぶように。名前を呼ぶことは許可はしない。
……あれ?クロリナラドの番だろ?
何を質問しているんだ。話をさせては駄目だ。表に出しても駄目だ。何をやってるんだ!
そんな短い洋服を着せても駄目だ。足が出てるじゃないか!駄目だ!駄目だ!
ちゃんと言うことを聞かせなさい!」
「ラド様……竜神様は、我儘言ったら……」
「あぁ……ルノア……一応、先王陛下なんだよ。長く眠っていてね?あぁ……ルノア、どうぞ!」
「先王陛下、初めまして。竜神様の愛し子です。
……ところで。先ほど私にお祖母上様の名前を呼ぶ許可はしない、番に話をさせるな、表に出すな、足を出すなと、命令……されましたか?
「言うことを聞かせなさい」とは、随分と横柄な言葉だと思いますが……。
先王陛下に教えていただきたいのですが、私より先王陛下の方が立場は上なんですね?
竜神様に確認した方がよろしいですか?
もう一度確認したいのですが?」
「あっ…いえ。竜神様の愛し子様の方が…あぁ…」
フォールは、ルノアから放たれる怒りの、圧倒的で重く息苦しい全力の魔力に結界も間に合わず、一歩下がった。
長く眠っていたとはいえ、本能が「この者を怒らせてはいけない」と警報を鳴らしている。
「はっきりと聞こえるようにお答えくださいませ。
竜神様からは「我儘を言ったらオハギは無し!と言っていい」と私は言われておりますが…大丈夫ですか?」
「いえ…申し訳ございませんでした。
愛し子様の仰られた通り、私の横柄な言葉と態度でした。」
「竜皇国の王族の皆様とは、お互いに名前を呼び、お話をする、もしくは念話で会話をする、家族全員で食事の時間をもつことになりましたの。
ご家族の間で名前呼びや声を聞かせないなど、嫉妬する心の狭さに、神獣の福様が正しましたの。
こちらの洋服も、ラド様が選んで送ってくださったものですが、私の番に何か意見がありますか?
あと、番の獲ってきてくれたものに文句を言うなんて……。
お祖父上様が獲ってきたお肉に、お祖母上様が文句を言われたことは、ありますか?
はっきりお聞きしておきたいのですが?」
「……一度もありません。いつも感謝してくれました。
マスが食べたい、別の物が食べたい、と言われたこともありませんでした。
…大変嫌な思いをマールに…申し訳ございません」
「私ではありませんよね?謝る相手が違いますよ。
誰に謝らなければなりませんか?
あと、タスワンズ湖製作所のオハギは売り物です。
「くれないかな?」とは、どう解釈をすればよろしいでしょうか?
民の作った大事な生活の糧の商品を?
製作所の者達の顔をしっかりと見られましたか?
怖がってはいませんでしたか?
精霊王様には、なんと言われましたか?」
ルノアは、静かに問いかけた。




