2 魔法色とは
物語ではルノアは意地悪な悪役だった。
母が六歳で亡くなり、父の重い愛情で溺愛され育った。
欲しい物は何でも手に入ったのに、唯一手に入らない その初めてが、サリド殿下だったのだ。
なぜ拒絶されるのかも分からなかった。
当たり前のように主人公のアテリアナ伯爵家次女マリナの排除に動く。
でも沢山のマリナの運命の相手候補が問題を解決し、尽く失敗する。
そして最後は必ず国境の魔界の森に捨てられEND。
マリナが誰を選んでも魔界の森一択なのだ。
うん。魔物に食べられて終わりなんて、冗談じゃない。
とにかく静かに茶会をやり過ごした。
家に帰ってきてから父に、話がしたいと人払いをお願いした。
「お父様。お話が漏れないように、結界を張ってくださいませ。」
お父様は驚いた顔をして
「なぜ私が結界を張れる事を、気がついたのか教えてくれるかい?」と優しく問いかけた。
「お父様が帰ってくるのを、いつも待っているのに。朝まで私が気が付かないのは、おかしいと思っていたの。
今日のお茶会で、お父様が騎士団長様とお話している時に、急にお父様の回りが薄く光っていたのを見たの。
だからお父様が、結界か?何かの魔法を使っているのかな?と思ったの。」
お父様は「正解!」と手を叩いて、ルノアの頭を優しく撫でた。
お父様が結界を張ってくれた。
「ルノア。今日、私以外にも光っていた人は、たくさんいたのかい?」
「はい。王妃様と、サリド殿下と、ライド殿下と、護衛の方は、ほとんど色がついていました。
参加者は、アテリアナ伯爵家のマリナ様だけで、初めて見た濃い桃色でした。
大人の貴族の方は、お名前が分かりませんが、黒と紫色をした人がいたので、怖かったです。」
お父様は眉間にシワが寄った。
「ルノア。色が見えるようになったのは、いつからだい?なぜお父様に教えてくれなかった?」
「今朝、侍女に起こされた時に、紫色の靄が寄ってきて。気持ち悪いとはじめて気がついたの。
前から侍女が、時々黒い靄みたいなものが、見えたり見えなかったり。
お父様は、侍女のアンナと結婚するの?
侍女は、「私が相応しいとお父様に言え!」っていつも紫色の何かを飛ばしてくるの。
よく分からなかったから、お父様に聞くつもりで、今お話したの。」
お父様の表情は動かなかった。
「ルノア。お父様は、天に還ったお前の母エミリアを、今も愛している。他の誰とも結婚は出来ない。
何と言われても、結婚しないから安心しなさい。
それと、今から話すことは大事なことだから、お父様と約束してくれるかい?誰にも話さないと。
魔法を使う時に色が見えたり、使っている人がわかる人はね。今この世界には一人しかいない。
魔塔の長のヴァリアード様だけだ。エミリアの…お母様のお兄様なんだ。
凄く貴重な魔法だからね。これが知れたら、ルノアの自由は無くなってしまう。
最悪、王様との婚姻を、王命で出されてしまう危険がある。わかるかい?」
本来のルノアは、事の重大さも使い方もわからず。
父も多忙で、結局話せずに魔界の森ENDだったのだ。
「わかりました。お父様。他言しないとお約束します。」




