162 マラド殿下の気持ち
今日の午後マクアリール公爵家にマラド殿下がお忍びで来られることをお父様から聞いた。
「本人が直接ルノアに婚約の話をしたいのだろうなぁ…」そして時間通りに移転で来られた。
応接室で先にラルフが殿下に話した。
「殿下申し訳ありません。こちらの魔法契約書にサインをお願いできますでしょうか?実は秘匿案件がございまして…内容をお読みいただいて…」
「あぁ…そうか…了承した。サインしよう。」
契約書をしっかりと読みサインをした。
ルノアが応接室をノックし許可をとってから入室した。
「お久しぶりでございます。マラド殿下。宰相就任おめでとうございます。」ゆっくりと頭を下げた。
「…あぁ…そうかぁ…残念だ。このことは国王様にはいつ?」
ラルフが答えた。「残念ながら私共に話せる許可がまだありません。秘匿案件なのです。申し訳ございません。」
「そうかぁ…この距離で大丈夫だろうか?番の腕輪の契約も…残念ながら私共の親戚筋では分からなかったのか…守りが強く畏怖と感じる者がいなかった…本当に申し訳ございませんでした。寛大な御心遣いもありがとうございました。」
ラルフも「こちらもお話できないことでしたので…此度の件も相手の番様から殿下から謝罪されるだろうとお話されておりました。」
「そうでしたか…お手紙の返信をいただい時にはもう?」
「いえ…お返事をお返して何日か後でした。私も十歳で番などとは考えてもおらず…体調も悪く…皆様にお仕事をお願いすることとなりました。今は幸いなことに領地経営を執事達に手伝って貰いながら頑張っております。」
「そうでしたか…今わたしからは申し上げることは失礼だと承知しておりますが…出来たら婚約を結びたかった。お茶会で会ってお話した時、ゆっくり話しお茶を飲めたことがはじめてだったのです。年齢差はございますが冷静な受け答え綺麗な所作に惹かれました。只々残念です…私も区切りがつきました。」
ルノアは頭を深く深く下げた。
ラルフが話した。「そうでしたか…殿下。殿下にも運命の番がきっといらっしゃいます。ですから諦めずにゆっくりとお待ちになったらどうですか?焦らなくていいと思います。」
「そうですね…家族全員が番婚ですから…私にもいるのでしょうね…でもやはり私は自分の惹かれた気持も大事にしたいと考えている一人です。番婚でも不幸な結婚をしてる方も見ているので…番だからの理由だけでは選びたくない気持ちが強いです。でもきっと出会えると信じてみたくなりました。幸せなのですね?」
「はい。精神が安定し欠けていたものがピタリと埋まるような感覚がありました。よい関係を続けられるように努力しております。番だからと言っても話し合いもできなければ気持ちも離れますから…努力は続けなければなりません。」
「そうなんですね…白銀と紫眼…遠い所に行ってしまうのですね…私の我儘をお聞きくださりありがとうございました。」マラド殿下も深く頭を下げた。
その場でルノアは退室をした。




