152 獣人の聴覚
マリアは久しぶりにゆっくりと目が覚めた。いつもならもう仕事をしてる時間帯だ。隣のベッドには娘のルルが寝息をたてて眠っている。昨日の食事も久しぶりに味がした。心配で食事もほとんど喉を通らなかった。体がどれだけ疲れていたのか無理をしていたのかがはっきりとわかった。
ここ半年ほどレオンの体調異常と感情の起伏の激しさに疲労困憊していたのだ。其処にルルの誘拐事件が起こった。昨日の説明ではルノア様が解毒と言霊呪術毒返しをしてくださり正常な判断が出来ていなかったと説明を受けた。よく耐え強い精神力と身体能力は努力の結果と聞いても身近にいた者達のほうが大変だった。レオンと離れている今の状況にホッとしている自分がいることに驚いた。
「お母様おはよう。ゆっくり眠れましたか?ルルは痛みがなくすっきりしています。このシーツとってもいい匂いですね。」
ノック音がしてサラが顔を出した。
「おはようございます。お食事の準備が整っております。こちらでお二人でゆっくりお食事をしてください。」
さっと洗浄と浄化と身の回りの空気が新鮮な香りに包まれた。
「わぁ精霊様の魔法使い様だ。」ルルの笑顔が可愛いとサラは呟いた。
「サラ様…獣人は耳が良いので聞こえてしまっております。呟きが…」
「あぁ失礼いたしました。ごめんなさい。思わず出てしまいました。」
「サラと呼んでくださいませ。ルノア様がお食事あとお話をしたいと申しておりました。」
ルルもニコニコだ。「もしかしてルル様も?」
「はい。皆様のお噂話も聞こえておりました。恥ずかしいのですが…耳は敏感なので撫でてもらうことは出来ませんが頭なら大丈夫です。そっと撫でてくださいませ。」
「あぁ大変大変失礼いたしましたぁ。」
「皆様の本音を聞けて安心いたしました。暫く滞在させていただきますのでよろしくお願いします。」王妃様が頭を下げられた。
「あの…こちらの寝具はタハナヤ森林国の御品になります。邪気を祓うため悪意や攻撃心のある方には息苦しく別名真意の布とも言われているそうです。今世界的に大変人気な布ですが我が領ではドレス作成もご紹介出来ますから必要でしたらまたお知らせ下さい。」と頭を下げた。




