146 氷水と伏せ
娘の匂いがする部屋に走って入った。
「何処のどなたか知りませんがノックをすることを忘れていませんか?怪我人が眠っているんです。」
「うるさい。私の娘だ!ずっとずっと探していたんだ!抱きしめさせろ!」
子供に触ろうとした瞬間レオンは吹き飛ばされた。
あぁ…クロリナラドは頭を抱えた。やっぱりノアを怒らせてはいけない。
「ラド様この失礼な方は?礼儀を何処かに忘れてきているようです。我が子と会えなくとも怪我をしている子を抱きしめるなど…先程まで生死を彷徨っていたんですよ。殺す気ですか?頭を冷やして冷静になりなさい!」
氷水がレオンの頭上から落ちてきた。周りにはかからない結界付きだ。
「ガオ〜ン…ガッ…ガッ」 「うるさい!伏せなさい!」レオンは全く声も出せず伏せから起き上がれない。絶対的な強さにようやく気がついた。まさか…自分より強いものなど竜人位だと…こんな小娘に伏せをさせられるなど屈辱的な経験はレオンには初めてだ。それでも立ち上がろうとしたが、また反省してないことに怒りに触れたのか更に重い重りが体全体に乗った。
「ラド様お仕事お疲れ様でした。お父様と離れないと約束したのに…ごめんなさい。心配をかけて。罠かもとも考えずにすぐに助けたくて体が動いてしまいました。サラクには怒られましたが共有してもらえないそうです。サラ達に一人一人怒られて反省します。二度目がないようにします。許してくれますか?ラド様。」上目遣いのノアに「はぁ…許すよ。大丈夫。反省してるのも分かるから。優しいノアが大好きだからね。でも本当に気を付けてね。ノアに何かあったら私もあぁなるから…レオンも許してあげて。」
「反省の態度がありませんからあのままです。誰であろうと私が保護したんですから。命を守る責任が私にあります。親であろうと触ることも今は駄目です。傷を修復したところなんです。体の負担がないように眠ることが必要な時間です。子供の怪我より自分の抱きしめたい気持ちを優先するのは傲慢ではありませんか?本当に我が子を思うなら我が子が一番にゆっくり休めて回復するように騒がず静かに見守る謙虚さが必要です。力でねじ伏せる事が一番わかりやすいですから反省したら解ける魔法です。」
あぁ…ヴァリアードもラルフもクロリナラドもため息をついた。




