116 マクアリール公爵家の善意
サガンナ伯爵家、ラニデア伯爵家、クレーン侯爵家に、記憶魔法と言う特殊魔法の映像付きの抗議文が届いた。
その日はクレーン侯爵家でハーマイル公爵家と婚姻関係を結ぶ為の親戚筋会議が行われていた。
その映像は当主のいる場所で勝手に映像が流れるため会議会場は騒然となった。
その中で最も高位貴族のクレーン侯爵家当主は、頭を抱えすぐに全員の前で謝罪した。
「朝学園に行く前にも国益を損なうとあれほど口うるさく娘には伝えていたが…全く理解できていなかったようだ。
本当に申し訳ありません。皆様に御迷惑をおかけすることとなりますので。
今後の事を含め退室いたします。全ての処罰を受け入れます。
私は長男に家督を譲り領地に隠居いたします。
娘はプリュオノール修道院に入れます。
サガンナ伯爵家、ラニデア伯爵家も、今すぐに謝罪を…。
ハーマイル公爵家の親戚筋との婚約もこの場で辞退致します。
誠に…誠に申し訳ございませんでした。」深く三家当主が頭を下げた。
ハーマイル公爵家の次男が出席していた為その場で言った。
「父は国王を譲られただけですよ。優秀なマクアリール公爵様はこの国を…前国王を見限って自ら宰相も国王の地位も手放したのです。
あれ程伝えておいたのに…公爵家が隣国に国替されたり、精霊様がこれ以上離れたら…。
公爵家の商会がカーナリアン王国を離れたら…。
この国の経済はどんな最悪な状態になるかも分からない者がいるとは本当に残念だ。
ハーマイルからも謝罪文をすぐに出す。
今後三家は無期限の社交界の参加、王城立ち入りを禁止する。
追って沙汰を出す。同じ場所に入ればまた問題を起こすかもしれない。別々の修道院に。」
学園から顔色悪く帰宅してきた娘に言った。
「あれほど国益に関わると話していたのにお前は十五歳になっても全く勉強してこなかったのだな…。
プリュオノール修道院に行きなさい。
クレーン侯爵家から籍を抜く。他の二人と揃えばまた何かしてもいけないから別々の修道院にとまで言われた。
私も長男に家督を譲り領地で隠居する。三家とも無期限の社交界、王城立ち入り禁止だ。…我が家は終わった。
高位貴族が下から侮辱されて放置するはずがなかろう。
そんな事も分からないのか?お前もされたら黙って放置するのか?
よく考えれば分かることなのになぜなんだ?
なぜそう浅慮なのだ!?」
「お父様…私は何も話していません。北大陸の最北端の修道院なんて…お許しください。
どこにでも嫁ぎますから…この処罰は厳しすぎませんか?あの子達が勝手に話しかけただけなのに…」
「お前が一番高位貴族だからだ。愚かな者を止める立場にいたんだ。
ハーマイル公爵家の親戚筋との縁談話も軽々しく二人に話したのだろう?
マクアリール公爵家が陸続きのヨーリアン帝国に国替されたら?
我が国の食料庫とも言われ水源もあるんだそ。
それも無償で派閥も関係なく水路も引いて下さって…我が国の為に今も延長して下さっているんだぞ。
無償でだ!無償の意味をわかっているのか?
感謝を伝える為の声かけならともかく…もう今更だ 遅いんだ。
取り返しのつかない行動をしたんだと理解しなさい。
分からないからそんな行動で我が国の危機を作ったんだ!
自分の行動に責任を取りなさい!部屋から一切出すな!最後の旅となる。
家紋のない馬車で修道院まで娘の家庭教師と母親も一緒に同行させなさい!」




