第95章 トモスケ
カズマサ『さて…いよいよ明日決行だな…これより最終ミーティングを行う…みんな会議室に来てくれ!』
最終決戦の前日…
魔王カズマサは翌日の作戦に参加するメンバーを会議室に召集し
作戦会議を開いていた。
参加メンバーのほとんどは既に内容を理解している最終確認のようなものであり
この日…
カズマサは魔王軍として最後の禁術が発動する事となった。
マリー『魔王様…やっぱり…魔王様の寿命を使うなんて…私には…』
カズマサ『俺の寿命は早ければ明日だ…それに俺のわがままでマリーに負担はかけられん…』
マリー『魔王様…』
トモスケ『いや…俺の負担も考えて欲しいんだが…』
モニターであるトモスケの魔法陣に送られるマリーの魔力とカズマサの生命力…
作戦の為に召喚されたのはかつて魔王軍の幹部でもあったモンスター
死霊王ロードリッチーであり
リベリオンによって量産化もされている
信頼と実績のモンスターだった。
カズマサ『明日のメンバーは俺とマリー…そしてこのロードリッチーだ…ブラドゥークのアイドルは魔王によって傷つけられ捕虜となる…それを勇者パーティが救出に来る王道ルートだな…』
マリー『残るメンバーは城で待機ですね…最終的には勇者と魔王様が一騎討ち出来る環境を準備するのが任務になります…』
テスタロッサ『なら…俺はあのホルスとか言う王子様と遊んでやるか…殺さない程度に可愛がってやろう…』
アクエリア『僕は盗賊のジャックさん…シルフはマヤちゃんを担当かな?』
シルフィード『大丈夫?戦力的に負ける要素なくて全滅させちゃいそうだけど…』
カズマサ『そこは上手く調整してくれ…勇者パーティに死亡者を出すのはNGだ…ジャックもマヤもホルスも…俺の大切な友人だから…』
各メンバーに一騎討ちの指示を出すものの
殺害はNGだと告げるカズマサ
魔王の個人的な作戦にまで付き合ってくれる部下達へ働きは、彼には勿体無いレベルであり
3人の騎士達は
彼が亡き者となった後も魔王軍の幹部としてフィディオを支えていくつもりだった。
アクエリア『マリー様…ご気分が優れないようですが大丈夫ですか…?』
マリー『大丈夫よ…ちょっと貧血で気分が悪いだけだから…』
アクエリア『辛いようでしたら明日の出撃代わりますよ…?戦力的には僕でも問題ありませんので…』
その夜
体調不良で倒れそうになったマリーはアクエリアに介抱され
寝室へと運ばれていた
元女神である彼女はマリーの状況を察していたが
無論彼女は出撃の交代を拒んでいた。
マリー『明日の出撃は譲れないわ…何があっても…例え命を落としたとしても…』
アクエリア『わかってますよ…一応聞いてみただけです…』
マリー『魔王様には伝えないで…最後の最後で…彼を迷わせたくないから…』
彼女は原因を理解しつつもそれを抱え込む道を選び
最後の夜は
それぞれが想いを胸に自室にて過ごす事となった。
トモスケ『おっ!珍しく早いな!』
カズマサ『出発前に温泉で身を清めておこうと思ってな…そう言えばお前はどうする…?』
トモスケ『俺はお前と心中なんてごめんだぞ?お前の分までマリーを守ってやるから安心しな!』
カズマサ『そう言えばお前…俺を裏切ってクーデターに加担してたな…』
親友であり…優秀なモニターとなっていたトモスケ
彼は魔王が自分をモニターにした理由を知っており
モニターゆえに涙は流せなかったが
その心は確実に彼との別れを惜しんでいた。
トモスケ『そりゃ…あんな良い子がお前みたいなくそ野郎を救おうと頑張ってたら加担するだろ?』
カズマサ『ごもっともな意見だ…俺がお前の立場だったとしてもそうするだろうよ…』
トモスケ『なぁカズマサ…死んだ魔王の魂は循環してリサイクルされるんだろ…?禁術で召喚したらワンチャンお前を引けるのか…?』
カズマサ『そうだな…マリーがバルフォースを召喚したように元魔王の召喚も不可能ではないだろう…だがそれには一国が滅びるレベルの生命力が必要だし俺を召喚出来る保証もない…マリーに頼まれても絶対に断ってくれ…』
トモスケの問いに答えたカズマサは単身温泉へと向かい
彼の言葉はモニターの録音機能によって保存されていた。
モニターゆえに行動には移せなかったが
その内部のフォルダには魔王の召喚や蘇生に関して調べた様々なデータが保存されており
ある意味では
モニターである彼が魔王との別れを一番惜しんでいるようにも見られた。
(T0T)(T0T)(T0T)
これがカズマサとトモスケの最後の会話となり
モニターに表示されたその顔文字は
決して煽りではなく
彼自身の涙の形だった。




