第94章 側近
マリー『魔王様…おはようございます…』
カズマサ『マリー…』
翌朝目を覚ましたマリーはフラフラで歩く事すら困難な状態であり
それを見た彼は罪悪感で泣きそうになったが
彼女は幸せそうな笑顔で浴場へと向かっていた。
その後…2人は何事もなかったかのように世界中を観光して回る事となり
自らの使命を忘れた2人は
楽しい時間を満喫する事となった。
マリー『ふふっ…どうです…?』
カズマサ『け…剣闘士としては細すぎるかな…大丈夫?剣持てる?』
マリー『もう!そこまでひ弱じゃありませんわ!私…ここで闘った事ありますよね!?』
各地を回っては様々な服を着るマリー…
タイダルのコロシアムでビキニアーマーを着た時には思わず華奢な手脚に目が向かい
剣を持てるか心配する彼に
自身が魔王軍の側近である事を思い出させた。
各地で暗躍していたマリーにとっては
多くの場所が彼の為に闘った思い出の場所であり
そんな楽しい旅行も終わりが近づく事となった。
カズマサ『後は魔王城に戻るだけか…あっという間だったな…』
マリー『魔王様…最後に聞いてもよろしいですか…?』
カズマサ『マリー…あぁ…いいぜ…』
舞台は再び甲板の上…
マリーはカズマサに最後の確認をする事になり
彼女は震える声で彼に問いかけた。
マリー『間も無く魔王様の任期は終了します…貴方は本当に…討伐されてしまうのですか…?』
既に諦めていたはずの生存ルート…
それでも彼女は最後の時まで彼の生存を望む事となり
そんなマリーの言葉に
彼はカズマサとして答えた。
カズマサ『あぁ…これ以上…お前にダメな姿は見せられないから…綺麗な魔王のままで消滅したいんだ…』
マリー『魔王様…私はダメな貴方でも受け入れます…貴方が望むのであれば…いくら断罪していただいても構いません…それでも…消えてしまうのですか…?』
全てを捧げる覚悟で想いを告げるマリー…
そんな彼女がパートナーだからこそ
彼は魔王である自分が壊れる前に討伐される事を望み
それは自分の信念以上の理由となっていた。
カズマサ『あぁ…俺の道は変わらない…』
マリー『魔王様…そんな貴方だから…私は貴方を好きになったのかもしれませんね…』
カズマサ『マリー…俺は魔王として…自分の死亡ルートを突き進む…だから側近のお前にはその道を照らして…導いて欲しいんだ!』
これまで多くの仲間や友人に伝えてきた彼の想いだったが
マリーに対してだけは問うのではなく
魔王として命令を下す事となり
彼女はその命令を泣きながら承諾する事となった。
マリー『魔王様…側近として…私は貴方を導きます…!』
カズマサ『マリー…ありがとう…』
マリー『魔王様…目的地到着まで約3時間の予定です…お願いしてもよろしいですか…?』
カズマサ『お願い…?』
命令を承諾したマリーから放たれるお願いの一言…
それは決して彼が断る事の出来ないものであり
2人は寝室へと移動する事となった。
マリー『魔王様…魔王を好きになってしまった…罪深き私を断罪してください…』
カズマサ『マリー…』
魔王城到着までの3時間…
魔王は彼女の罪を断罪する事となり
城へと到着した2人を見たフィディオは
明らかに雰囲気が変わっている事に気づいていた。
カズマサ『フィディオ…戻ったぜ…』
フィディオ『お帰りなさいませ魔王様!お楽しみだったみたいですね!』
カズマサ『お楽しみってお前…』
フィディオ『私だって…オ・ト・ナですもの?マリーさんの幸せな顔を見ていればわかりますわ!』
幸せそうな2人をからかうフィディオ…
本人に悪意はなかったが
彼女の言葉を聞いたマリーは赤面して部屋へと引き込もってしまった。
いじめられっ子だった過去の影響が出てしまったのか
その様子は弱々しいものであり
翌日には仕事モードに戻ってきたものの
魔王から受けた断罪の数々は
彼女にとって未来永劫忘れる事のない出来事となっていた。




