第81章 カズマサとバルフート
カズマサ『あれ…上手くいかんな
…』
トモスケ『どうした?魔力が送られて来ないぞ?』
カズマサ『参ったな…禁術が発動しない…これでは新たな幹部を召喚する事が出来ないではないか…』
再編成の過程で禁術を発動しようとするカズマサ
本人の意志とは裏腹にトモスケの魔法陣へ魔力が供給される事はなく
慌てる彼の前に
旧魔王軍の生き残りが姿を現した。
バルフート『お困りのようですな…魔王様…』
カズマサ『バルフート!?生きていたのか!?』
バルフート『竜魔王の生命力は不死鳥並…神々が天界の消滅を止めたおかげでこうして生き恥を晒しているわけだ…』
竜魔王バルフート
天界での闘いで瀕死の重傷を負った彼は奇跡的にも生存しており
再び地上へと舞い降りていた。
流石に闘う力は残されていなかったが
彼は魔王の為に自分がやるべき最善手を理解しており
困っているカズマサに救いの手を差し伸べた。
カズマサ『生き恥なんてとんでもない…お前が居てくれれば魔王軍は…』
バルフート『私に残された生命力は数日だ…申し訳ないが戦力にはなれないだろう…』
カズマサ『数日…じゃあ…別れの言葉を伝えに…?』
バルフート『別れの言葉を告げに来たのもそうだが…その前に引き継ぎが必要だと思ってな…』
バルフートの生命力は燃え尽きる寸前で長くは居られない
それを改めて知り悲しい顔を見せるカズマサだったが
そんな彼に対して
バルフートは今の状況を説明し始めた。
バルフート『魔王様…魔王軍には役職があるのはわかりますな?』
カズマサ『無論だ…魔王…側近…幹部…役職によって補正が貰えたはずだ…』
バルフート『今現在…実際に魔王軍を率いてるのは魔王様に間違いはない…だが魔王としての役職はフィディオ殿になっているのだ…』
カズマサ『そ…そうだった…だから禁術が発動しなかったのか…』
バルフートの説明で自らが一般人である事を思い出すカズマサ
1度死亡した事で形式上の魔王には既にフィディオが就任しており
今の彼は
形式上だけ見れば関係者ですらない一般人となっていた。
フィディオ『そんな…魔王様が魔王様で無くなってるなんて…』
バルフート『それはあくまでも形式上の話…魔王軍の面々はフィディオ殿ではなく魔王様に忠誠を誓っているだろう…だがこの世界は神々によって創られた箱庭…形式上の役職が無ければ補正から外れてしまうのだ…』
カズマサ『なるほど…』
バルフート『魔王様…フィディオ様がどうして形式上の魔王に就任したかはわかりますな?』
カズマサ『俺が彼女を後任に指名し…1度命を落としたから…』
魔王軍と役職の仕組みを理解するカズマサ
それに伴い自らが魔王の力を取り戻す方法も理解したが
心優しい彼がそんな事を実行出来るはずもなかった。
フィディオ『私が魔王様を後任に指名して命を落とせば…魔王様は魔王に戻れるのですね…』
カズマサ『そんな事はしないしさせない!!君を失うくらいなら俺は力なんか要らないよ!!』
敢えて自らその方法を口にするフィディオと
それを全否定するカズマサ
そんな2人のやりとりを見ていたバルフートは嬉しそうに笑っており
カズマサの答えを確認せずに
継承の準備を完了していた。
バルフート『さて…どうやらお別れの時間のようだ…』
カズマサ『お別れ…?もう限界が来てしまったのか…?』
バルフート『魔王様…4年後を楽しみにしていますぞ…』
カズマサ『!?』
カズマサの脳裏に蘇る魔王就任の日…
バルフートの身体はその時のゼロと同じ光に包まれており
彼が最期の言葉を告げると
カズマサの身体には魔王だった頃に匹敵する力が戻っていた。
カズマサ『バルフート…俺なんかの為に…傷ついた身体を動かして来てくれたのか…』
フィディオ『竜魔王さん…』
カズマサ『フィディオ…後4年…君には1人前の魔王になって貰う…よろしく頼むぜ?』
フィディオ『はい!魔王様!』
彼の身体に宿った竜魔王としての力
禁術こそ発動出来ないものの
その力は魔王と同程度であり
新たな力を手に入れたカズマサは
魔王軍を再編成して再び魔王としての職務に戻る事となった。
残る任期は4年…
本格的に魔王として活動出来るのが、世界の復元後である事を考えると、実質的な任期は2年程度であり
禁術が発動出来ない彼は
再編成の為の幹部をスカウトするべく
復興を手伝いながら世界各国を巡る事となった。
次章より第4部に入ります。




