第76章 ゼロ・ワールド
場所は変わってゼロ・ワールドのエターナル・ベース
地上にてカズマサと別れたホルスは、生き残った円環の騎士団のメンバーと行動を共にしていた。
炎魔騎士テスタロッサ
水魔騎士アクエリア
風魔騎士シルフィード
この3名はバルフォースやリベリオンが破壊したこの世界を修復するべく動くつもりであり
その3名に加えて
フォールダウン墓地にて墓参りをしていた最後の1人が加わる事となった。
プレリュード『リベリオン…逝ってしまいましたか…』
光魔王プレリュード…
女神と魔王の両方を経験し
かつて世界征服を達成した光魔王は華奢で儚げな少女であり
長く伸びた銀髪と天使のローブが特徴な彼女は
盟友リベリオンの消滅を知り
涙を流していた。
アクエリア『フォールダウン墓地…この世界の魂はここに集まるわ…』
プレリュード『バルフォースゼロの媒体にされた人間達の魂はこの地に帰ってきました…女神プレリュード…これより魔法を発動します…失われた未来の再誕…』
生け贄となった魂はバルフォースゼロの敗北と共にあるべき世界へと帰還し
プレリュードの魔法によって
その魂は元の肉体を取り戻していた。
ホルス『凄いや…これだけの人数を蘇生するなんて…』
プレリュード『この魔法は魔王軍の禁術と同じですよ…私の生命力と引き換えに発動しているのです…』
ホルス『え…』
テスタロッサ『彼女の生命力だけではない…我々全員の生命力を使って世界を復元するのだ…バルフォースゼロの生け贄になった者全員となればそれでも足りぬがな…』
プレリュードの魔法は魔王軍の禁術とほとんど同じものであり
リベリオンの禁術の生け贄となった人々を蘇らせるべく
4人は自らの生命力を放出していた
幸いにも建造物等は全壊とまではいかずに原型を留めており
人々の手でも復興を目指す事は十分に可能だった。
ホルス『そんな…君達は何も悪い事はしてないのに…』
シルフィード『そんな事はないわ…私達もゲームと称してこの世界の侵略に加担した…』
アクエリア『悪いのはわかっているけどね…その分に関しての修復をするつもりはないわ…』
ホルスの問いに罪悪感を感じていると返す4人だったが
円環の騎士団が復興を支援するのは、あくまでもリベリオンの生け贄となった魂のみであり
バルフォースの侵略に関しては補償しない事を強調していた。
魔王軍や円環の騎士団による侵略の犠牲は、あくまでも必要な犠牲との考えであり
それに関してはホルスも納得していた。
ホルス『人間の冒険者もモンスターを倒して生活してるから…そこはお互い様だよね…』
テスタロッサ『うむ…だがリベリオンの天界襲撃…その為に人間達を生け贄にしたのはルール違反だ…彼女の分だけは我々で補償する必要があるだろう…』
プレリュード『ホルスさん…火の国ブラスターを見に行きましょう…まだまだ少数ですが人々の姿が戻っているはずですよ!』
第1の復元を完了しブラスターへのゲートを発動するプレリュード
ゲートの先には以前の10%程度ではあるものの人間達の姿があり
ブラスターの人々は王子ホルスの姿に歓喜する事となった。
プレリュードはその後も復元魔法を発動し続け
天界での戦争が続いているその裏側で
その日のうちに約半数の人間が地上へと戻る事となった。
サーベラス『王子様…円環の騎士団は!?』
ホルス『彼らとの闘いは終わったんだ…勇者と魔王…そして女神様は…もっと強大な相手と闘ってるよ…』
サーベラス『王子様…』
ホルス『僕は何も出来なかった…対等な仲間になったつもりだったのに…みんなが天界で闘ってるのに僕は…』
エリシア『ホルス王子…敵との戦闘だけが闘いではないわ…私達王族には他に出来る事がある…そうでしょう?』
落ち込むホルスに声をかける雷の国アルザークの王女エリシア
今彼女達に出来る事は王族として国民を先導する事であり
彼女の言葉を聞いたホルスは自ら先導して国の復興を行う道を選んだ。
火の国ブラスター
雷の国アルザーク
風の国シュトゥルムは若き王族達の力ですぐに活気を取り戻したが
王女不在のタイダルだけは、騎士団長のディーネが必死に国民達を先導しており
そんなタイダルに救いの手を差しのべたのは
隣国である草の国プラントの女王フローリアンと魔王軍の幹部であり
フローリアンの家臣でもあるフラワーだった。
ディーネ『フローリアン殿…』
フローリアン『困った時はお互い様ですわ…』
フラワー『水の国には世話になったからな!全力で支援しますぜ!』
フローリアンとフラワーの魔法は戦闘以上に建設や雑務に優れた効果を持っており
特にフラワーのがいこつ兵召喚魔法は水の国のみならず
世界各国で大活躍する事となった。
天界で闘っているメンバーも
自分達が不在の間に地上が復元している事など考えるはずもなく
崩壊していく天界では
今まさに最後の闘いが行われようとしていた。




