第66章 崩壊する円環の騎士団
リベリオン『ふぅ…残ったのは炎魔騎士テスタロッサと風魔騎士シルフィード…2人だけか…』
シルフィード『円環の騎士団はバルフォース様の下に結成された集団です…仕方ないかと…』
エターナルベースにて最終決戦の準備を整える闇魔王リベリオン
既に円環の騎士団は3名を残して拠点から姿を消しており
彼女もそれは想定内と言った様子だった。
リベリオン『確かに…バルフォースの力は騎士団の中でも抜けていた…奴と肩を並べるアビスが失踪したのも痛手だろう…だが…我の目的は天界への復讐だ…その為の戦力に騎士団を使おうなどとは考えておらぬ!』
テスタロッサ『リベリオン…』
リベリオン『既に天界を滅する最強の軍団は完成した…貴様らに問う…我と共に来るか…ここで果てるか?』
最終決戦を前に残った2人に問いかけるリベリオン
無論…バルフォースに忠誠を誓っていた2人がリベリオンの特攻に付き合うはずもなく
その答えはNOだった。
テスタロッサ『俺達はバルフォースに忠誠を誓っていた…リベリオン…貴様と敵対する理由はないが特攻に付き合う理由もない…』
シルフィード『右に同じです…』
リベリオン『そうか…なら貴様らに良いものを見せてやろう!!』
2人答えを聞いたリベリオンが地面に魔法陣を描くと
魔法陣から恐るべきモンスターが出現した。
その姿は2人が忠誠を誓っていたバルフォースと同一であったが
その眼に光は無く
鎧の色は紫を中心とした物に変わっていた。
テスタロッサ『ば…バルフォース!!?』
リベリオン『そいつは貴様らの知る炎魔王バルフォースではない…奴のデータを元にこの世界の生命力をかき集めて完成させた最終兵器だ…』
シルフィード『何て事を…』
リベリオン『我の禁術を持ってしても奴の炎までは再現出来なかった…だが炎の代わりに闇を搭載すればその力は互角…そしてオリジナルと違い余計な感情は持ち合わせて居ない…名づけて闇魔王バルフォース・ゼロと言ったところだな…』
テスタロッサ『姿形は似ていても…俺達は偽物に忠誠を誓いはしないぞ?』
リベリオン『そんなつもりはない…ただの性能チェックだ…それ…もう1体呼んでやる!!』
2人に襲いかかる2体のバルフォース・ゼロ
リベリオンの言葉通り
その強さはオリジナルの炎魔王バルフォースに匹敵するレベルであり
2人の力を大きく凌駕していた。
テスタロッサ『この強さ…本物と変わらない…!?』
リベリオン『そういう事だ…炎魔騎士テスタロッサよ…貴様はまだしも…シルフィードの小娘はどうかな?』
テスタロッサ『くっ…』
風魔騎士シルフィード
彼女は円環の騎士団の中ではアクエリアの妹分的な存在であり
身長160センチと普通の少女と変わらぬ体格に、緑色のビキニアーマーとミニスカートで身を包んだ少女は強敵を相手に必死の防戦をしていた。
彼女が過去前線に出てこなかったのは、リーダーのバルフォースが気を使っていたからであり
それなりの実力は持っていたが
バルフォースゼロと闘えるレベルには達していなかった。
シルフィード『きゃあああっ!!』
テスタロッサ『シルフ!!』
容赦の無い拳がシルフィードの腹部を捉えており
無防備な部位を狙われた彼女は目に涙を浮かべて崩れ落ちた。
彼女の戦闘不能は明らかであり
そんなシルフィードの前に立ったバルフォースゼロは
左手に大砲を装備し
魔力をチャージした。
シルフィード『い…嫌ぁぁぁぁ!!』
大砲から暗黒魔砲が放たれると彼女は悲鳴をあげて絶叫…
直撃を受ければ間違いなく消滅していたが
その暗黒魔法は炎魔王バルフォースを彷彿させる真紅のマントによって弾かれており
次の瞬間には2体のバルフォースゼロが水の球体の中に捕らわれていた。
カズマサ『大丈夫か…?』
シルフィード『は…はい…』
傷ついたシルフィードを抱えて間合いを取るカズマサ
力を得ても尚彼は敵の撃破よりも少女の救出を優先しており
人間としての優しさを捨てきれていないのは間違い無かった。
リベリオン『魔王カズマサよ…そこのスパイから話を聞いたのだろう?我の目的は天界への復讐…ここで貴様と闘うのは本位ではないのだが…』
カズマサ『ふっ…随分と評価されたものだな…前に会った時は眼中にも無かったように見えたが…?』
リベリオン『うむ…我は貴様の力を見誤っていたようだ…アクエリアにバルフォース…ゼロにバルフート…この世界の者は皆貴様に味方する…恐るべき力よ…』
その場に現れたカズマサに対して
最大級の評価を下すリベリオン
魔王である彼が円環の騎士団を崩壊させたのは紛れもない事実であり
そんなカズマサに対して彼女がかけた言葉は
思いもよらぬものだった。
リベリオン『魔王カズマサよ…我と共闘しろとまでは言わん…これより3日間の休戦を申し出たい…』
カズマサ『休戦…だと…?』
リベリオン『既にこの世界の魂は我がバルフォースゼロ軍団の糧となった…後は天界の神々を滅亡させるのみ…ここで貴様が我を倒したところで何の意味がある?』
カズマサ『この世界の人間やモンスターはお前の玩具じゃないんだぞ!?人間もモンスターも他の世界と変わらず精一杯生きてるんだ!お前はそんな彼らを個人的な理由で皆殺しにした…それを黙認しろと言うのか!?』
リベリオン『個人的な理由で大量虐殺をしたのは貴様の側近も同じであろう…?この世界の魂が循環している事は貴様もアクエリアから聞いているはず…復讐が完了すれば糧となった魂は解放される…女神の力ならば再び元の世界に戻す事も出来るのだ!』
カズマサ『何を…お前は天界を滅亡させるつもりなのだろう!?』
リベリオン『安心しろ…女神マミとアクエリアだけは生かしてやる…ここで我を倒せば貴様とて神々との連戦だ…それでも我を滅ぼすと言うのか…?』
リベリオンから告げられる休戦の提案
先手を打たれ既に魂を糧とされた事で彼女と今闘う理由が無いのも事実であり
魔王であるカズマサは彼女の提案に乗るしかなかった。
リベリオン『これより24時間後…我は全戦力を連れて天界へと乗り込む…そうならばエターナルベースを含めて好きにするがいい…勝敗に関わらず…我はこの世界には戻らないだろう…』
カズマサ『良いだろう…ならば俺はこの場に残り見送らせて貰う…』
リベリオン『休戦成立だな…魔王以外の者は去れ…我が満足に休息をとれぬ!』
アクエリア『リベリオン!』
カズマサ『アクエリア…ここは俺に任せて先に麻美ちゃん達と合流してくれ!』
アクエリア『魔王君…』
カズマサ『バルフート…皆を頼む…』
バルフート『うむ…了解した…』
休戦が成立しエターナルベースにて2人きりとなるカズマサとリベリオン
バルフートはテスタロッサとシルフィードを含むメンバー全員を連れて本拠地へと出発する事となり
エターナルベースにて
剣を交えぬ前哨戦が始まりを迎える事となった。




