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10年後に討伐される魔王   作者: うずまき
第3部 円環の騎士団編
61/103

第58章 それぞれの魔王

イオリ「リベリオン…貴女も元女神だと言うならこんな幼い少女の命を奪わないで…」


リベリオン「幼い少女だと…?貴様はこの娘がどれほどの力を持っているのか理解しているのか…?」



イオリの懇願に怒りと呆れの表情を見せるリベリオン


凍結している間に天使の眼でフィディオの冒険者カードを確認した彼女は、そのスキルが現職の魔王や勇者など問題にならないレベルで危険な事を知っており


何としてもフィディオだけはこの場で始末するつもりだった。



フィディオ「わ…私に…貴女が恐れるような力なんてありませんわ…!」


リベリオン「現時点でも魔王以上の攻撃魔法と女神以上の回復魔法を使えると言うのに自覚無しか…尚更危険過ぎる…我と同じ…天性のサイコパスという奴か…」



本人に自覚が無い事を知ると、リベリオンは少し残念そうに右手を上にあげ魔力をチャージした


彼女の魔力によって精製された暗黒の球体は直径3メートルの大きさを持っており

2人まとめて消し飛ばすつもりだった。


イオリ「(せめて…フィディオちゃんだけでも…)」


フィディオ「イオリ…さん…」



勇者としてフィディオの盾となる道を選ぶイオリ…

彼女の前に踏み出したイオリだったが


次の瞬間

ゲートの向こうから出現した白い手によって2人の身体はゲートの中へと吸い込まれていき


リベリオンが暗黒魔法を放った時には既にゲートは消滅した後だった。



リベリオン「逃がしたか…まぁよい…奴があの魔法を習得する前に終わらせれば済む事だ…」


イオリとフィディオを逃がしたリベリオンだったが自身の計画を変更する事は無く

奇跡的に生存した2人は魔王城の個室へと移動していた。


デビルズゲートはマリーの個室へと繋がっており


天使の眼で様子を見ていた彼女は

最善のタイミングで2人の救出に成功していた。



イオリ「マリーさん…助かりました…」


マリー「勘違いしないで勇者イオリ…貴女が殺されたら魔王様が悲しむから…フィディオも待ってて…すぐ怪我の治療を…」


フィディオ「お構いなく…この程度の怪我なら魔法は要りませんわ!」



緊張気味なイオリとマイペースなフィディオ

2人の実力を知るマリーは内心合流出来てほっとしており

イオリは魔王城へと逃げ込んだ事情を彼女に説明する事となった。


イオリから闇魔王リベリオンと量産型ロードリッチーの話を聞いたマリーは、真っ青な顔でカズマサの救援へと向かおうとしたが


それを見たフィディオは彼女を制止していた。



マリー「魔王様に万が一の事があったら私は絶対に後悔します…フィディオは城の防衛を…!」


フィディオ「魔王様なら大丈夫ですわ…ロードリッチーが何体いたところで相手になんてなりませんのよ?」


マリー「魔王様は貴女が思っているほど無敵な存在ではありません!ロードリッチーを同時に相手をするとなれば3体が限界です!」



本人が不在の魔王城にて語られるカズマサの印象


マリーとフィディオとでは彼に対する印象のズレが結構あり

マリーの言葉に対して

フィディオは彼女が知らないカズマサの一面を語った。


フィディオ「だ・か・ら!相手になりませんと言ってますの!魔王様は勝ち目のない相手と遭遇したら撤退を選べる御方ですのよ?」


マリー「撤退…?」


フィディオ「彼は私に剣や魔法を教えてくださる時にいつも言っていましたのよ?闘いで一番大事な事は死なない事…いつでも逃げれる準備をしておく事だって…」


イオリ「ふっ…」



フィディオのエピソードに思わず笑うイオリ


魔王就任前の彼を知るイオリにとっては納得のエピソードであり

彼女は中学時代の出来事を思い出していた。



イオリ「懐かしいな…あいつ…不良グループに絡まれていた私を助けて一緒に逃げてくれたっけ…」


マリー「一緒に逃げる…魔王様が?」


イオリ「基本的にあいつはそういう奴だよ…悪役に憧れてるくせに優し過ぎるんだ…」



イオリの言葉に対してカズマサの言動を思い出すマリー


武術大会ではマヤを助ける為に乱入し

禁術で捕虜を生け贄にした時はそれを激怒


魔王としては優し過ぎる言動であり


彼女は今…

優し過ぎる魔王に甘えてやりたい放題していた自分に気づく事となった。



フィディオ「今の私達に出来る事…それは逃げ帰ってきた魔王様を笑って迎えてあげる事ではありませんか…?」


既に逃げ帰って来る事が前提で話が進んでいく魔王城の3人

そんな事を知るはずもないカズマサは現在プラントにて敵の大軍と死闘を繰り広げており


残念ながら

フィディオの言う通り

魔王城へと逃げ帰る説が濃厚となっていた。




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