第56章 止まらない侵略
マリー「魔王様…ごめんなさい…ご迷惑を…」
カズマサ「迷惑なものか…奴を倒せたのはお前の支援魔法のおかげだよ…」
衰弱し震えるマリーの手を優しく握るカズマサ
彼女はその魔法が転生魔法である事を告げる事無く眠りにつき
魔王軍は炎魔王との激闘のダメージでしばらく休養する事となった。
円環の騎士団の中でもリーダー格の炎魔王バルフォースを討伐したのは大戦果と言えたが
その代償は大きく魔王軍はしばらく休養を余儀なくされ
カズマサが風の国シュトゥルムの防衛を放棄した事で、シュトゥルムは円環の騎士団の手に墜ちていた。
炎魔王が倒れた事で攻撃の手が緩むと考えていた彼だったが
むしろ騎士団の侵略は激化する事となってしまい
数日後…
魔王城にて悪夢のような報告が次々と到着した。
トモスケ「まずいぞ!奴ら4大国以外にも侵略を始めやがった!小国から順番に潰していくつもりだ!」
カズマサ「どういう事だ…奴ら…ゲーム感覚で侵略を楽しんでいたものだと思っていたが…」
報告の内容にかかれた世界各国の状況
既に3つの小国が滅亡されられてしまい
状況は明らかに悪化していた。
炎魔王亡き後の円環の騎士団は、征服では無く明らかに滅亡させるつもりで動いており
更に数分後
カズマサは草の国プラントが滅亡寸前との報告を受けた。
カズマサ「プラントは数少ない魔王軍の友好国だ…マリー…1人で大丈夫か…?」
マリー「それはこちらのセリフです!まさか1人で乗り込むおつもりですか!?」
カズマサ「バルフートもロックゲイルも交戦中だ…今闘えるのは俺しかいない…俺が行くしかないんだ…」
魔王の出陣に反対するマリー
消耗した今のカズマサを見れば当然の反対であったが
彼はプラントとタイダルだけは守りきると心に決めており
反対を押しきってブラックドラゴンに跨がっていた。
マリー「魔王様!」
カズマサ「部下の故郷1つ救えないで魔王なんて名乗れないさ…心配するな…すぐ戻るから…」
マリーの制止を振り切って飛び立つカズマサ
プラントに限らず
多くの国が滅亡の危機に直面しており
それは強大な国力を持つブラスターやタイダルも例外ではなかった。
イオリ「どういう事…あの時私が倒したはずなのに…!?」
タイダルの港町で強大な敵と交戦するイオリ
彼女の前にいる敵はかつて自らが討伐した死霊王ロードリッチーであり
レベルアップしたイオリと云えども容易に勝てる相手ではなかった。
騎士団長のディーネが重傷を負い
アサミがブラスターの救援に行った今
彼女の敗北及び撤退は国の滅亡を意味しており
絶対に負けるわけにはいかなかった。
イオリ「(強い…あの時は偶々勝てたけど…単純な戦闘力じゃ今でも敵わないや…)」
ロードリッチーのパワーとスタミナに苦戦するイオリ
更に雪男爵をジャックに渡した事がより状況を深刻にしていたが
状況を有利と見たロードリッチーは何故かかつてイオリに破られた必殺の暗黒魔法を発動し
結果としてそれが反撃のきっかけへと繋がる事となった。
ロードリッチー「セブンソード・オブ・ダークネス…」
上空に描かれた魔法陣より降り注ぐ7本の剣
この魔法には術者の場所が安地となる弱点があり
イオリはその隙を見逃さず
必殺の魔法剣を叩き込んだ。
イオリ「魔嵐斬!!」
風を纏った一撃で身体が崩壊するロードリッチー
何とか倒したものの
彼女の受けたダメージも重く
思わず膝をついたその時…
イオリの眼には現実とは思えない悪夢のような光景が映る事となった。
イオリ「幻術…?違う…全部本物!!?」
彼女の眼に映るロードリッチーの群れ…
何処からともなく現れた5体のリッチー達は消耗したイオリに襲いかかり
その攻撃で幻術の類いではなく
5体全てが本物である事を理解させられた。
イオリ「あああああっ!!」
彼女の身体をズタズタに斬り裂くリッチーの剣
急所は外しているが騎士服から露出した肌からは出血が見られ
このまま闘えば殺されるのは時間の問題なのは間違いなかった。
イオリ「このままじゃ殺される…タイダルのみんな…ごめんなさい…」
勝ち目が無い事を悟った彼女は王宮へと逃げ込むべく走り出し
迫り来るリッチー軍団を振り切り
何とか王宮へと到着した。
王宮の兵士達と協力して自身の体力を回復させる作戦だったが
彼女を待っていたのは
兵士達などではなかった…




