第51章 光魔騎士アルテミス
アザエル「動力が止まらないならブレーキをかければいいじゃないか!」
ジャック「船にブレーキなんかあるわけないだろう!目的地に近づいたら動力を止めて自然に止まるのを待つんだ!!」
アルテミス「なら畳んである帆を逆側に広げればいいじゃない!空気の力で相殺するのよ!!」
暴走するキャラベル船の上でパニックになる3人
魔力動力で動いている船の帆は畳んであり
アルテミスはブレーキの代わりにするべく勝手に広げてしまい
ジャックの悲鳴が響き渡った。
ジャック「馬鹿!やめろぉ!!」
アルテミス『あっ…』
ボキッ…
無惨な音ともにへし折れるマスト
これによって仮に船が停止した場合に船を動かす手段が無くなる事となり
ジャックは膝から崩れ落ちた。
ジャック「もうダメだ…」
アザエル「れ…冷静になれ!魔力動力なんだろ!?魔力が無くなれば止まるんじゃないか!?」
ジャック「魔力動力には俺が開発した薬品が使われていてな…2つの液体で化合と分解を繰り返す事で永久的に魔力を出し続ける事が出来るのだ!」
アザエル「何それ凄い!!」
ジャックから語られる永久式魔力動力の秘密
無論これは彼が様々な知識を得て作り上げた試作品であり
処女航海で使った今回の結果がこの大惨事であった。
動力を壊せば船は沈没するのみであり
詰んだ事がわかったアルテミスは
船の先端へ向かうと
不吉な行動をとり始めた。
アザエル「お…おい…何してるんだ…?」
アルテミス「船といったら先端で両手を広げるものでしょ…?」
ジャック「やめろぉっ!フラグを立てるなぁぁ!!」
最悪のフラグを立てるアルテミス
案の定船の先には氷山が確認され
慌てて舵を切ったジャックだったが
高速の水圧に耐えられず破損してしまい
大事故は起きた。
ジャック「ぎゃああああっ!死ぬぅぅぅ!!?」
氷山に激突し木っ端微塵となるキャラベル船
ジャックは勿論
アザエルも鎧のせいで泳ぐ事が出来ず
2人は飛行出来るアルテミスによって救助され
氷山の回りに広がる氷土の上に上陸する事となった。
アルテミス「うぅ…どうしてこんな事にぃ…」
事故のダメージを負った状態で何とか2人を引き上げた彼女は翼を痛めてしまい
しばらくの間飛行能力を失う事となった。
辺り一面には海と氷のみが広がっている状態で地上に生物の類いは全く見られず
アルテミスのゲートもアザエルを追う為にしか使えない一方通行なものだった。
ジャック「すまない…俺のせいで翼が…」
アルテミス「気にしないで…船を壊したのは私だから…」
アザエル「しかし…草の一本も無い氷土とは…まさに無の世界って感じだな…」
地獄のような光景に唖然とする3人
氷土の気温は-20度を下回り
その場にいるだけでも体力を奪われた
特に翼を痛めた上にレオタード1枚のアルテミスはみるみるうちに衰弱してしまい
ジャックは防寒の為、自らのマントを彼女にかけたが
このままでは凍死するのも時間の問題だった。
ジャック「アザエル…何かいい魔法はないか?永遠に消えない黒炎を出す的な暗黒魔法とか…?」
アザエル「黒炎か!!よし任せろ!!」
ジャック「おおっ!さすがは堕天使!」
アザエルの暗黒魔法に期待するジャック
彼の右手から放たれた黒く輝く炎は見るからに熱そうに見えたが
氷に着弾すると数秒と持たずに鎮火した
それは見た目が黒いだけのブラフ魔法であり
燃える物が無ければ火の維持も不可能だった。
アルテミス「それ…着色しただけの下級魔法よ…」
ジャック「何の為に着色したんだよ!?」
アザエル「決まってるだろう?暗黒魔法に見えるからだ!」
どこかの魔王と似たようなスキルを習得しているアザエル
結局のところ
単発で何かが出来る魔法やアイテムは誰も持っていなかったが
ジャックはあるものを持っている事に気がついた。
ジャック「そういえば…こいつをイオリから借りてたんだっけ…」
ジャックの首にかかっていた宝石
それはイオリが持っていた雪男爵の核であり
この地であれば本領を発揮する事が出来た。
ジャック「魔力なら薬で出せる…頼むぜ雪男爵!!」
魔力ポーション(仮)によって出現する雪男爵
辺りの氷を媒体に精製された彼は本来の姿で登場する事となり
その圧倒的なパワーを遺憾無く発揮する事となった。
アザエル「おっ!召喚獣か!?」
ジャック「こいつは雪男爵…うちのパーティの勇者がフォールダウン墓地で入手した召喚獣だ!」
ジャックの指示で氷を掘る雪男爵
氷しかないのであれば
氷で何とかしようと言うのが彼の出した結論であり
氷土での過酷なサバイバル生活は
こうして始まる事となった。




