第42章 水魔王アビスミラージュ
カズマサ「古の魔王を禁術で復活させたぁぁ!?」
マリー「はい…これなら人間同士が殺し合わなくても魔王様が討伐される理由も…無理に経済を回す必要も無くなりますよね?」
カズマサ「それでは魔王を解任されたのと変わらんではないかぁぁ!!!」
マリーから炎魔王バルフォースの話を聞き激昂するカズマサ
間違いなく怒られると予感した彼女は説明する場所に温泉を選んでおり
怒り狂うカズマサをマリーは泣きながら身体を差し出していた。
マリー「ごめんなさい魔王様…貴方の気が済むまで…私を好きにしてください…」
カズマサ「そ…そういう問題ではない…!!それにそんな奴を召喚したらお前の寿命が…」
マリー「魔王様…こんな時なのに私の事を真っ先に心配してくれるなんて…」
怒りの感情以上にマリーの寿命を心配するカズマサ
魔王では無いマリーの禁術にはカズマサ以上の負担がかかり
魔王より強い者を召喚すればその場で命を落としてもおかしくはなかった。
マリーが今回の世界大戦を起こした理由はそのリスクを回避する為であり
それはブラスターの囚人達が話していた脱走の理由へと繋がった。
カズマサ「せ…戦争中の捕虜達を禁術の生け贄にしたぁ!?お前それでも人間か!!?」
マリー「ごめんなさいごめんなさい…やっぱり痛いのは許してくださいぃ!!」
カズマサ「いや…俺は魔王でお前は側近だったわ…」
マリー「炎魔王バルフォースは海戦で捕虜にしたブラスターの皆さんを生け贄に召喚しました…そしたら言う事を聞いて貰えなくて…」
カズマサ「勝手に行動してると?」
マリー「はい…」
バルフォースがアルザークを襲撃していたのは禁術の生け贄を確保する為でありは
状況はマリーが考えられる最悪の方向に進んでいた。
既に彼女の制御を外れ
自身を召喚した方法を知ってしまった炎魔王はアルザークの捕虜を生け贄に禁術を発動しており
最悪の来客が魔王城へとやってきた。
フラワー「魔王様!!マリー様!!お客様が来訪されました!!!」
カズマサ「来たか…客室に案内しといてくれ…すぐに移動しよう…」
着替えて客室へと向かうカズマサ
そこで待っていたのは話に聞いていた炎魔王バルフォースであり
自身の魔剣と同じ名を持つ魔王の登場に彼は圧倒された。
カズマサ「(うわ…勝てる気がしねぇ…)」
一目でわかる実力と経験差
それでもカズマサは魔王らしく堂々とした態度でバルフォースの挨拶に応じた。
どうやら敵対するつもりは無いらしく
とりあえず一安心と言ったところだった。
バルフォース「貴様が魔王カズマサか…なるほど…確かにゼロによく似ているな…」
カズマサ「炎魔王バルフォース…事情は側近から聞いているがわざわざ挨拶に来てくれたのか?」
バルフォース「一応現職の魔王には話しておく必要があってな…紹介しておこう…」
カズマサ「紹介…?」
バルフォースの言葉と共に姿を現す高い露出度のビキニアーマーと青いロングヘアーの女性
その身長は2メートルとかなりの長身であり
一見優しそうな笑顔を見せていた。
アビス「初めまして魔王カズマサ…私はアビス・ミラージュ…かつて魔王バルフォースを討伐した勇者です…!」
サイズこそ違うものの
アサミと良く似た容姿をしているアビス
彼女がかつて魔王バルフォースを討伐した勇者である事は事実であり
2人が再会したのは数100年ぶりの事となっていた
過去の勇者の登場にパワーバランスが崩れる事はないと安心したカズマサだったが
彼女はその優しそうな笑顔からとんでもない事を言い出した。
アビス「私…今回はバルフォースさんの配下として世界を征服する事になりました!魔王様とはライバルになりますね!」
カズマサ「ふぁっ!!?」
元魔王の配下となる元勇者
つい先日まで自分がやっていた事をそのままやると宣言されたカズマサは頭が真っ白となった
無論アビスの強さもバルフォースと同格なのは間違いなく
瞬く間に世界が滅亡する事が想像出来た。
自分を差し置いて世界を滅亡させられては魔王としての存在意義は皆無であり
これは彼に対する事実上の宣戦布告だった。
バルフォース「それでは我々は各国の挨拶周りに出発する…カズマサ君とは平和的な関係を維持したいものだな…」
目的を果たした2人は魔王城を去り
大惨事となったカズマサは慌ててアサミに連絡を取るべくブラックリングを取り出した。
リングを使えば彼女と会話が可能だったのだが
無情にもリングから反応は全く無く
同じ経験のあるマリーは彼に状況を説明した。
マリー「女神が魔王軍と連絡を取るのには天界からの許可が必要なのよ…こちらからは基本的に届かないわ…」
女神であるアサミは天界からの許可が無ければリングを使用出来ない…
基本的には向こうから連絡が来ない限りは使いものにならない事実をカズマサはこの土壇場で知る事となり
彼はイオリからリングを返却された事を後悔する事となった。
フィディオも魔王軍との関係かバレると不味い為かこちらからの連絡は不可となっており
慌ててブラックドラゴンを召集するカズマサの前に
最強の助っ人が姿を現した。
バルフート「魔王殿…どうやら私の力が必要なようだな…」
カズマサ「バルフート!?そうだ!我が軍にはお前がいるじゃないか!」
竜魔王バルフート
魔王軍最強の幹部である彼は長期に渡って魔王城の防衛を担当しており
バルフォースと面識がある彼もまた非常事態である事を察していた。
2人を乗せたバルフートは全速力で勇者パーティの居る火の国ブラスターへと向かう事となり
現在ブラスターでは1年近くに渡って続いた戦争が、ようやく終わりを向かえようとしていた。




