第34章 裏切りのマリー
カズマサ「う…嘘だろ…こんなところに隠し部屋があるなんて…」
イオリに案内された場所…
そこは魔王城の中にある温泉であり
隠し部屋への入り口は温泉の底に存在していた。
それは1度温泉を抜かないと発見する事は出来ない場所であり
温泉の準備はマリーが行い
彼女より先に入浴した事もなかったカズマサに見つけられるはずもなかった。
ジャック「あぁ…こりゃハニトラにやられてたパターンだな…」
イオリ「少し黙りなさい…」
ジャック「あぎゃあああっ!!」
余計な事を口走り
魔女イオリーンから風魔法による制裁を受けるジャック
実際問題彼の言った事は大当たりであり
イオリに気を使われたカズマサは過去の出来事を振り返り
声を震わせて彼女に言い放った。
カズマサ「ふ…ふははははっ! 魔王として接待を受けるのは当然!後悔なんてあるはずなかろう!!」
イオリ「……」
カズマサ「やめろぉ!!そんなゴミを見るような目で俺を見るなぁぁぁ!!」
笑えない冗談と状況に絶望するカズマサ
失意のままに彼は温泉の隠し部屋へと入場する事となり
そのあまりにも衝撃的な光景に
魔王とは思えない絶叫が城内に響き渡る事となった。
カズマサ「う…うわああああっ!!!!」
只事ではない悲鳴に後を追って入場するイオリ
2人が見た部屋の中にはトモスケと同タイプのモニターがズラリと並んでおり
その数は20にも達していた。
魔王からしてみればこの状況は恐怖としか言いようがなく
更に追い討ちをかけるように
モニターから人間と思われる声が聞こえてきた。
「なんだ…マリー様じゃないのか…」
「どこの誰かは知らないが助けてくれぇ…また死人がでちまうよぉ…」
「死人が出ても代わりが配属されるだけだぞ…俺達はマリー様の奴隷なんだ…」
モニターから声を聞いた事で線が1つに繋がるカズマサ
機械操作が苦手なマリーとトモスケの存在
これらの事から導かれる答えは1つだった。
カズマサ「マリーが禁術で召喚した人間をモニターに変えたんだ…何て事だ…この温泉は最初から…」
不正選挙のハッキングは勿論
既に魔王軍の全指揮はこれらのモニターで管理されており
カズマサの力で解除出来るものではなかった。
マリーが召喚した人間達は素人のトモスケと違い
元いた世界の専門職ばかりであり
彼に残された道は1つしかなかった。
カズマサ「マリーは水の国にいるはずだ…捕まえてキャンセルさせるしかない…」
この戦争は全てマリーによって起こされたもの
彼女を止めなければ闘いが終わる事は無く
カズマサは水の国への攻撃を決意した。
この闘いに勇者パーティのメンバーを巻き込めないと思ったカズマサは約束通りジャック達を解放
ガレオン船をプレゼントして島から脱出させたが
魔女イオリーンは魔王城に残っていた。
カズマサ「イオリ…ここから先は魔王軍の内戦だ…勇者のお前を巻き込むわけにはいかない!」
イオリ「今の私は勇者イオリじゃない…魔王軍の魔女イオリーン…魔王様の側近ですよ?」
カズマサ「お前…何言って…」
イオリ「大丈夫だよ…マリーさんは君を裏切ったわけじゃない…それは私が保証するよ!」
水の国タイダルへの同行を希望するイオリ
彼女はマリーの胸の内を知っており
この戦争を止める為にも魔王との共闘を継続した。
出港前日
彼女はカズマサの計らいで温泉を堪能する事となり
その扱いは側近であるマリーと変わらぬものだった。
フラワー「魔王様…その気になれば混浴しに行けるのでは?」
カズマサ「俺は魔王であいつは勇者だ…今は一時的に協力関係にあるがそれ以上でも以下でもない…」
フラワー「その割には楽しそうに話してましたよね…?」
カズマサ「イオリは俺を討伐する宿命を背負ってこの世界に転生したんだ…これ以上仲良くなったら辛いのはあいつなんだよ…」
あくまでも共闘は一時的なものであると話すカズマサ
最終的には彼女に討伐される意志は全く揺らいでいなかったが
イオリに対する気づかいと優しさは、無意識のうちにどんどんエスカレートしていき
気がつくとお姫様のような扱いになっていたのは
彼女への好意を捨てきれていない証明だった。




