第31章 未来の氷結
タイダル兵「マリー様!敵艦隊を発見しました!ブラスター軍のガレオン船です!」
マリー「フィディオ様…修行成果…見せて貰いますよ!」
ここは火の国ブラスターと水の国タイダルを繋ぐ海域
王女フィディオが自ら希望し率いる艦隊は敵艦隊を発見し
フィディオが魔王城で習得した恐るべき魔法がお披露目される事となった。
フィディオ「わかりました…兵士の皆さん!危険ですので中へ避難してください!」
タイダル兵「し…しかし…」
マリー「貴方もタイダルの兵士なら王女様の性格をわかっているでしょう…?巻き沿いになりたく無ければ部屋に避難しなさい…」
発動前に船員達を内部の部屋へと避難させるフィディオ
他者の苦しむ姿が大好きな彼女が避難させると言う事はそれだけ危険な魔法である証明であり
彼女が魔力をチャージすると
周囲を凄まじい冷気と暗黒のオーラが覆い始めた。
フィディオ「いきますわよ…闇の上位魔法…凍結する未来!!!!』
凍結する未来
それは文字通り周囲を完全に凍結させ擬似的に時間を停止させる恐るべき暗黒魔法であり
タイダル軍の船も含めて周囲の船や海はまとめて凍結させられる事となった。
既に魔法の威力だけならば魔王であるカズマサを凌駕しており
本人は海を凍らせた後に敵船に乗り込んで白兵戦を楽しむつもりだったが
この海戦は開幕の一撃で終わってしまった。
フィディオ「海だけを凍らせるつもりがやってしまいましたわ…」
マリー「私は今のうちに敵兵を捕虜として転送します…フィディオ様は味方の船を解凍してください…」
完全に凍結し動けない敵味方の船員達
メイン属性ではない2人の火炎魔法では解凍に時間がかかり
敵兵達はマリーの魔法陣によって次々と転送されていった。
この闘いに限らず
海戦においては水魔法や氷魔法が得意な水の国が他国を圧倒する強さを持っており
国力では勝る火の国も海戦では苦戦を強いられる事となった。
ブラスター「やはり劣勢だな…しばらくは防衛に徹するべきか…」
アサミ「申し訳ありません…お招き頂いたのに大した役にも立てなくて…」
ブラスター「いえ…アサミ殿のおかげで兵の士気は上がっています…例え3ヶ国全てから上陸されても我々が陥落する事はないでしょう…」
ブラスター王によって招待されたアサミの仕事は、怪我人の手当てくらいで活躍しているとは言い難く
本人も女神就任から初めての事態で何をすればいいのか迷走していた。
ブラスターの防衛をしていれば戦争に負ける事はないが終わらせる事も出来ない為
彼女は自分が出来る事を必死に考えた。
そして…
アサミ「ブラスター王…何とか停戦する事は出来ないでしょうか?」
アサミが選んだ道
それは自らが作り上げた各国との人脈を活かして平和的に停戦させる事であり
無条件の停戦ならばブラスター王も承諾を表明していた。
問題はここから先であり
女神マミの従者もとい本人である彼女は、他国から信用して貰えない可能性が高く
ヘブンズゲートを拒否されているのが何よりの証拠だった。
ブラスター「我々としては問題ないが他国の…特に水の国はアサミ殿を信用してくれるだろうか…?」
アサミ「そ…それは…」
ブラスター「最悪囚われの身となり殺されてしまう可能性もある…その覚悟があるのならば船を出しましょう…」
ブラスターの問いにもYESと答えるアサミ
むしろ彼女としては囚われの身となった方が交渉しやすいとまで考えており
そんな彼女がキャラベル船を出港させると
いきなり事件は起きてしまった。
単身で出港したはずの船に乗り込んだ密航者
それは絶対に密航が許されない人物であり
彼の姿を見たアサミは思わず青ざめていた。
ホルス「1人で出港するなんて凄いね…航海スキルも使えるんだ!」
アサミ「ホルス君!?何してるの!!?」
物陰から姿を現すブラスターの王子ホルス
無論彼がブラスター王から許可など貰ってるはずも無く
得意の隠れんぼで兵士達の目を潜り抜けていた。
当然ブラスター内部は王子失踪で大パニックとなっており
アサミはすぐにUターンしようとした
だが…
ホルス「待ってよ!アサミだけじゃ信用されないかもしれないけど…王子の僕も一緒に行けば話を聞いて貰えると思うんだ!」
アサミ「!?」
ホルスの言葉にUターンを中止するアサミ
彼の言う通り王子であるホルスが同行すれば成功率は間違いなく跳ね上がり
それは彼女が忘れかけていたヒロインとしての美学を思い出させる事にも繋がっていた。
アサミ「ホルス君…約束して…何かあったら私を見捨ててでも逃げる事…いいわね?」
自分の命を最優先とする事を条件に同行を許可するアサミ
2人を乗せたキャラベル船は雷の国アルザークへと向かい
彼女の武器を持たない闘いはこうして始まりを迎えた。




