第28章 交差する魔王と勇者
アサミ「それじゃ…私は火の国に行くわ…2人とも無理はしちゃダメだよ?」
ブラドゥークの町で別れる勇者パーティ
ジャックは雷の国に残され
アサミはブラスター王の救援要請を受け火の国へと向かった。
ギルドへと残ったイオリだったが
彼女は今自分がどうしたらいいのか全くわかってない状態であり
そんな彼女に対してマヤは雷の国へ船で向かう事を提案していた。
イオリ「私…勇者として転生したのに…人間同士で闘いが始まっちゃうなんて…どうすれば…」
マヤ「イオリちゃん…私はまずジャックと合流するべきだと思ってる…アサミちゃんには悪いけど戦争において宗教ほど危険なものはないわ…」
イオリ「マヤちゃん…」
マヤ「正直宗教国のブラスターは信用出来ない…現にブラスターから他国に宣戦布告をしてるのだから…」
宗教絡みで動いてるアサミを信用出来ないと語るマヤ
彼女の正体を知っているイオリだったが
今アサミが何を考えて動いているかはわかるはずもなく
マヤの意見に賛同する事となり
大陸南部の港へと到着した2人は早速船でアルザークへと出発
船長とは魔王城に行った時以来の再会となった。
船長「女の子2人で船旅かい?今は戦争中だからね…安全は保証できねぇよ?」
マヤ「構いません!アルザークで仲間が待っていますので!」
イオリ「戦争中でも船を出してくれるんですね…助かります!」
2人を乗せた船はその日のうちに出港
アルザークへの到着は2日後になり
その間
船長は2人に対して不吉な事を語り始めた。
船長「しかし…女の子2人で船旅とはねぇ…」
マヤ「こう見てもイオリちゃんは私を魔王の手から助け出した勇者ですから…心配要りませんよ!」
船長「いや…昔から女を船に乗せると不吉な事が起きるって言うからな!まぁ!勇者ちゃんは男っぽいから大丈夫か!わはははっ!」
イオリ「いやそれ死亡フラグなんですけど!!?」
不吉な発言をする船長…
イオリの不安は見事的中し
航海中の船の回りを深い霧が覆い始めた。
これを危険と判断した船長は1度帆を畳んで停止する事にしたが
そんな船の前にボロボロのガレオン船が姿を現した。
イオリ「ゆ…幽霊船って奴…?」
船長「こりゃガレオン船だ…こっちの4倍はあるぜ…」
元は海賊船だったのだろうか…
ボロボロのガレオン船の中からはアンデッドモンスターの姿が見え
侵略と言うよりは航海を楽しんでるようにも感じられた。
不気味な光景にマヤと船長は思わず嫌悪感を露にしていたが
あろうことか
イオリは単身で幽霊船へと乗り込んで行った。
マヤ「イオリちゃん!?」
イオリ「マヤちゃんごめん!ちょっとやりたい事があるから先にアルザークに向かって!」
マヤ「やりたい事!?なにいっ…」
船長「高波が来る!マヤちゃん捕まって!」
マヤ「イオリちゃん!!!」
幽霊船の中へと消えていくイオリ…
アルザークへと向かっていた船は高波によって流され
イオリを乗せた幽霊船は霧の中をそのまま抜けていった。
幽霊船へと乗り込んだ彼女は中のアンデッド達から懐かしさを感じており
この船の持ち主が魔王であると確信していた。
イオリ「あんた達…私を主のところまで届けなさい!」
がいこつ兵「は…はい…」
船に乗っているのは低級のがいこつ兵ばかりで
彼らは闘う前からイオリの威圧感に負け屈服した。
低級モンスターゆえに主である魔王の弱い部分がモロに出てしまった結果であり
幽霊船が魔王城の島へと近づくと
そこでは似たような幽霊船が多数徘徊していた。
カズマサ「いいぞぉ!この魔導戦艦があれば海戦では無敵!!後は全部ブラフの幽霊船でいいだろう!」
フラワー「ふぅ…良い仕事したぜ…」
がいこつ兵「魔王様魔王様!お客様です!」
カズマサ「客?魔王城にか?」
城には大量のがいこつ兵が見回りをしていたが
そのほとんどが最低限の魔力で召喚されたブラフであり
上陸したイオリのパシりにされたがいこつ兵が指令室までカズマサを呼びに来た。
無論本来なら敵同士であるのだが
今世界は勇者と魔王を無視して勝手に回っている状態であり
偶然か必然か
平行線であるあずの2人の利害は一致していた。




