第26章 世界大戦
イオリ「……」
アサミ「いおりん…ここに居たのね…ちょっと付き合って欲しいのだけど…いいかな?」
勇者イオリ
19歳となった彼女はフォールダウン墓地にてブラドゥークで犠牲になった冒険者達の祈りを捧げていた。
魔王軍が侵略を中断し世界が平和になっている間
彼女達は戦闘以外の採取や警備等のクエストで生活資金を稼いでおり
そんなある日の事
アサミはパーティメンバーに高額な警備クエストを持ちかけていた。
イオリ「雷の国にてお城の警備…随分高額だけど…何か理由があるの?」
ジャック「あの国は少し変わった国でな…王家の家臣を決めるのに4年に1回…選挙による多数決を行うんだ…この警備は選挙中の暴動やテロを防ぐものらしい…」
マヤ「ふ~ん…そんなところまで日本にそっくりなんだ…」
雷の国アルザークでは4年に1度の選挙で4人の家臣…四天王を決めており
選挙そのものには全く興味のない女性陣3人だったが
その高額な報酬額には興味を持っていた。
クエストの受注を決めた勇者パーティは、アサミのゲートにて雷の国アルザークへと移動する事となり
現地のギルドにてクエストを受注した。
マヤ「前に来たときとあんまり変わらないけど…ここで本当にあってる?」
ジャック「おかしい…4年前に来た時は今日の倍以上人が居たぞ…どうなっているんだ?」
早速警備クエストが始まったものの予想外に人が少なく困惑する4人
ジャックの話によると会場となっているお城に来ている人間は前回の半分以下との事であり
これにはある理由があった。
イオリ「カード投票…?」
アルザーク「うむ…今回の選挙からモニターを導入した事で直接会場に足を運ばなくても冒険者カードで投票出来るようになったのだ…」
冒険者カードによる選挙の投票とモニターによる票数管理の導入
これによって選挙の手間と時間は大幅に軽減されており
アルザーク王から説明を受けた4人は納得した様子でクエストをやり遂げた。
高額な報酬を受け取った勇者パーティは、満足そうにアルザークのギルドで宴会を開催していたが
ギルドの中は選挙結果に納得してない多数の冒険者が不満を口にしていた。
冒険者男A「あのゴエモンとか言う男…本当にこの国の人間なのかね?聞いた事ない名前だけど…」
冒険者男B「こっちのマサカズとか言うのも知らねぇ奴だな…本当にちゃんと投票結果数えてるのかね…」
ゴエモンとマサカズ
どうやら当選したこの2名は雷の国では馴染みの無い人間らしく
ギルド居た者以外にも多くの人間が不満を口にしていた。
少数の人間が口にするだけなら大した問題では無かったが
今回の選挙に関しては明らかに半数以上の人間が不満を口にしており
これが気になったジャックはこれを調べる為に雷の国への滞在を希望した。
ジャック「悪いな…2週間後くらいに迎えに来てくれ!」
アサミ「2週間ね!了解!任せてよ!」
彼の申し出を快く承諾するアサミ
宿で一夜を過ごしたパーティはジャックを残してブラドゥークへと帰還する事なるのだが
彼との再会が2週間どころか2ヶ月近く先になってしまう事など
この時は夢にも思っていなかった。
2週間後…
イオリ「どういう事…ゲートが開かないなんて…?」
アサミ「おかしいなぁ…アルザークのギルドから拒否されてるみたい…」
アサミのヘブンズゲートは雷の国へとワープする事が出来ず
困った彼女はブラドゥークのギルドへと駆け込んだ。
受付嬢の話によると
どうやらアルザークのみならず
今アサミのヘブンズゲートはタイダルとシュトゥルムへのワープも封印されているようであり
理由を訪ねると
衝撃の返答が帰ってきた。
受付嬢「現在火の国ブラスターは他の3大国と交戦状態にあります…戦闘区域へのゲートは基本的に使用不可となっているのです…」
アサミ「交戦中!!?」
受付嬢「先日…火の国ブラスターから雷の国アルザークへ宣戦布告がありました…それに伴い風の国シュトゥルムもブラスターへ宣戦布告…更に水の国タイダルに至っては3ヶ国全てに宣戦布告しました…」
ブラスターからアルザークへの宣戦布告で始まった世界大戦
雷の国にて原因を突き止める事に成功したジャックだったが
それを仲間に伝える手段は遮断されてしまい
彼はアルザークにて孤立…
ブラドゥークの3人もどうするべきか意見が割れる事となり
勇者パーティ最大の危機が訪れようとしていた。




