第11章 女神マミ
ジャック「あれはレッドドラゴンか!?まずい!炎のブレスに気をつけるんだ!!」
地下3階で出現したレッドドラゴンは、これまでのモンスターとは段違いの強さであり
風圧で飛ばされたイオリとジャックは壁へと叩きつけられ
炎のブレスがホルスに襲いかかった。
思わず悲鳴をあげるホルスだったが彼へのブレスは
アサミの水魔法によって相殺された。
アサミ「アビス!ソリチュード!!」
炎を相殺した水流は消える事なくレッドドラゴンを直撃し
ダウンしたドラゴンに対してホルスはトドメを刺すべく近づいた。
強敵の出現でホルスの目は周りが見えておらず
彼の死角から2体目のレッドドラゴンが炎のブレスを吐いてきた。
アサミ「ホルス君!危ない!!」
ホルスを庇って前に出るアサミ
彼女のワンピースは見た目に反して高い魔法耐性を持っていたが
それでもブレスが直撃すればタダでは済まず
彼女の悲鳴が洞窟に響き渡った。
アサミ「あああああっ!!」
身体を焼かれて崩れ落ちるアサミ
致命傷では無かったがワンピースから露出していた腕や脚が火傷で腫れてしまい
そんな彼女を見たホルスは無我夢中でレッドドラゴンに斬りかかった。
謎の光に包まれたナイフはレッドドラゴンを一撃でダウンさせ
次の瞬間
ジャックがホルスとアサミを抱えてレッドドラゴンから距離をとっていた。
ジャック「今だイオリ!!」
イオリ「ストーム!!ブレイカー!!!!」
イオリの風の斬撃は見事に2体のレッドドラゴンを直撃
辛くも強敵を撃破した4人だったがアサミのダメージは大きく
自分のせいで傷ついた彼女を見たホルスは罪悪感で泣き崩れていた。
ホルス「ごめんなさい…僕を庇ったから…」
アサミ「大丈夫だよ…これくらいの傷…回復魔法で治せるから…」
イオリ「……」
泣き崩れたホルスの前で回復魔法を発動するアサミ
腫れ上がっていた部位こそ治まっていたが
立ち上がった彼女の右脚はぷるぷると震えており
それを見たホルスはアサミに肩を貸していた。
ホルス「全然大丈夫じゃないじゃん…僕の肩を使って!」
アサミ「ホルス君…ありがとう…」
レッドドラゴン以降はモンスターも出現せず
少し時間はかかったものの4人は目的地の泉へと到着した
儀式は泉の奥にある滝に打たれる事で完了するとの事であり
冷たく激しい滝を見たホルスは思わず後退りしていた。
ホルス「う…うぅ…」
ジャック「どうみてもただの泉にしか見えないんだが…本当に女神の加護なんかあるのか?」
イオリ「ジャックさん!これから儀式なのに何て事言うの!?」
アサミ「あるよ…この泉には女神マミの加護が宿ってる…」
ホルス「あ…アサミ…」
後退りするホルスを見たアサミは彼よりも先に泉へと脚をいれた
傷がしみて思わずを悲鳴をあげる彼女だったが
アサミの心に迷いは無かった。
アサミ「ホルス君…一緒に滝に打たれよう!私!滝に打たれるなんて初めてだからワクワクしちゃうよ!」
ホルス「アサミ…」
彼女の言葉を聞き
震える脚を泉へと踏み出すホルス
アサミはそんな彼を優しく抱きしめ
2人は滝の中へと入っていった。
これにて儀式は無事に終了する事となり
儀式を終えたホルスは
自らがイメージする女神マミの姿を
アサミに重ねあわせていた。
ホルス「アサミ…僕…必ず立派な王子になるよ!剣も魔法も修行して!いつか本当に君を守れる勇者になる!」
アサミ「ホルス君…」
ホルス「その時はまた一緒にパーティを組もう!」
アサミ「うん!楽しみに待ってるよ!!」
無事にクエストを終え
王宮にてホルスと別れる3人
王宮を後にした一行は報酬金を使ってブラスターの名物である温泉宿で休んでいく事になり
その温泉もまた女神マミの加護があるとの話だった。
ジャック「また女神の加護か…上手い商売だな…」
イオリ「それじゃ…私は女神の加護を堪能してこようかな!」
温泉で闘いの傷を癒すイオリとアサミ
温泉に浸かったアサミは思わず力が抜けて完全に無防備となっており
そんな彼女に
イオリは核心を突く言葉を放った。
イオリ「随分お疲れみたいですね…女神マミ様…?」
アサミ「そうなのよぉ…真理の奴が天界に戻って来ないから仕事が大変で…って…あ…」
洞窟での言動と転生時に直接会った時の記憶から
イオリはアサミの正体に気づいており
決め手となったのはいつの間に治っていた彼女の右脚だった。
アサミが中々ギルドに顔を見せないのは、天界での仕事に追われてるからであり
早々に身バレした彼女は諦めてイオリに事情を説明した。
アサミ「私…まだ女神に就任してから2年しか経ってないんだよ…だから地上の事を色々知りたくて仮の身体で冒険者として活動してるんだ…」
イオリ「あはは…勇者歴2ヶ月の私と大して変わらないんだね…」
アサミ「この事は内緒にしてね…特にホルス君と…」
イオリ「ストップ!誰か来たみたい!続きはまた今度にしましょう!」
貸し切り状態だった温泉に入場する1人の少女
2人の会話は後日に持ち越され
アサミの正体はイオリの胸の中に
閉まわれる事となった。
入場してきた少女は先日の武術大会で受けた傷で湯治中の身であり
イオリもまた
彼女の顔に見覚えがあった。




