8.王子様ルート
「ありがとうございます。ギルさん」ローズは花が咲くように、にこりと笑って言いました。
「俺はもう食べ終わったから。じゃあ」そう言うと、銀狼さんはプレートを持って立ち上がると
さっさと片付けにいきました。
そして私の傍を通り過ぎた時にちらりとこちらを見たような気がしました。
(初っ端から私の出番ないじゃない!というか、考えてみたら銀狼さんがあんな風に優しく女の子に接しているのなんて初めてみたよ。今まで自分のことしか考えていなかったけれど、彼自身も誰かを好きになる可能性だってあるんだわ、だってすべてが何事も筋書き通りに行くとは限らないもの)
私は味のしなくなった食事をもそもそと食べながら、そんなことを考えていました。
「それにしても、ローズ王女は素敵な髪色をされていますね。アリシア王国ではそういった髪色の方がが多いのですか?」
レオ王子がにこにこして着席したローズに尋ねます。
「どうぞ、ローズと呼んでください。レオ様。そうですね。私の国ではブロンドやストロベリーブロンドの髪の色が主流ですね。なのでそのように褒められたのは初めてです」
と少し頬を赤らめながらローズは答えます。
「この国は色々な髪色の人がいるけれど、ストロベリーブロンドは稀よね、ねえ夜明姫」
ルークが私の方を振り返って言います。
「そうね、すごく素敵だわ」ねえ、とシャオに同意を求めながら私も賛同します。
彼女はもぎゅもぎゅとステーキを頬張りながら、ふんふんと頷いたのでした。
放課後―――
「ちょっと、リーファさん!」シャオが寄ってくるなり、私の腕を掴んで言いました。
「ど、どうしたの?」私が驚いて尋ねると、「どうしたもこうしたも、貴方は王子様の婚約者でしょ!?彼が鼻の下のばしてデレデレ王女様を褒めるのをなんで普通に眺めているのよ!」
と怖い顔で私に詰め寄ります。彼女は私と婚約者の関係を心配してくれていたようです。
私は友達のそんな彼女がそう思ってくれていることを嬉しく思いつつ、
「いいじゃない、彼女はほんとに素敵な女性だわ。婚約者だからと言ってこの先いちいち女性を褒める度にそれを咎めるわけにはいかないもの」私はそう言いました。
「だけどなぁ」何か思う節があるらしく、彼女はポツリと呟きました。
そんな彼女の様子を見ながら、(でも転校初日に何はともあれ彼女は王子様とランチを食べたから、これで王子様ルートに突入というわけか)私はそんなことを考えたのでした。




